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札幌に冬がやってきた
【北の国からのエッセイ】 2008年12月02日

カウントダウン10・9・8・7・6

師走に入るカウントダウンではありません。大通公園でミスさっぽろの伸びのある声が響きます。

5・4・3・2・1 スイッチオン

札幌市長をはじめ関係者がスイッチを押すと、40万個の電球が一斉に灯されました。(写真右)

「わあ きれい」

見守っていた観光客や市民から、歓声が上がりました。札幌ホワイトイルミネーションの点灯式です。

エコロジーの輝き
週末会合が午後4時過ぎに終わり、外に出ますと大通公園から音楽が流れてきました。そして人の波がどんどん大通公園に流れていきます。何かあるのかなと思って近づきますと、きょうからホワイトイルミネーションが点灯され、まもなくその点灯式が行われるということでした。

ホワイトイルミネーションは毎年見ていますが、たまたま点灯式に居合わせたのは数年ぶりです。地元高校の合唱部の女生徒が一足早く「きよしこの夜」や賛美歌を歌い会場を盛り上げていました。(写真左)

緯度の高い札幌は日没が早く、午後3時半ころから薄暗くなり、4時半にはすっかり暗くなります。新聞を見ますとこの日の日の入りは東京16:08、大阪16:48、那覇17:37に対して札幌は16:02、ずいぶん違うものです。夕方の気温は3.4℃、それほど冷え込みは強くありません。

ホワイトイルミネーションのオブジェは毎年おなじみのものですが、今年は少し中身が違うようです。北海道洞爺湖サミットの主要課題であった「環境問題」にちなんで、日中の光を蓄積した太陽光発電が登場しました。太陽光によって発電されたクリスマスツリーがお目見えです。(写真下左)


また、白色灯よりはエネルギーが格段に少なくてすむ青色の発光ダイオードが、去年よりずいぶん多くなりました。エコロジーの輝きといったところでしょうか。(写真上右)発光ダイオードは冷たさを感じさせますが、同時に落ち着きと豪華さも感じます。

札幌のホワイトイルミネーションは今年で28回を数えます。全国に先駆けて、北の札幌から発信された電飾の芸術です。雪が積もってますと、文字通りのホワイトイルミネーションですが、今年はすでに初雪はあったものの、根雪には至っていません。けど、雪がなくても、ホワイトイルミネーションは冬の訪れを強く実感させます。(写真下)

点灯式で挨拶した上田文雄札幌市長曰く
「さあ皆さん、札幌の冬の始まりです。大い楽しみましょう」


ヨーロッパの冬の香り
このホワイトイルミネーションにあわせ、6年前から「ミュンヘンクリスマス市 in Sapporo」 も同時に始まりました。

ミュンヘン・札幌・ミルウオーキー というコマーシャルが、昔一世を風靡しました。共通項はビールの町ですが、冬季オリンピックが日本で初めて札幌で行われた1972年に、ミュンヘンで夏季オリンピックが開催されました。これがご縁で姉妹都市を提携しています。当時は夏と冬のオリンピックが同年開催でした。

会場のテレビ塔前の大通公園にはログハウス風の出店が立ち並び、温かい飲み物からソーセージ、軽食、それに観光土産などが販売されています。ミュンヘンから栗毛髪の売り子も出張?販売です。(写真下左)


中でも人気なのがホットワインです。(写真上右)ワインは冷たいまま飲むものだと思っていましたが、ホットでも飲むものだということをこのミュンヘンクリスマス市で知りました。以来この時期ホットワインを楽しんでいます。

札幌は北国といわれてますが、札幌よりも寒いところがヨーロッパ、特に内陸部に多いということを知らされます。札幌は北緯43度、ヨーロッパでは地中海のモナコとほぼ同位置です。観光ボランティアでこの話をしますと多くの観光客は「えっ」と驚きます。

電飾のねぐら
ギャーギャーギャー

ホワイトイルミネーションと同じ会場の大通公園の一角から鳥の大合唱が聞こえてきました。ムクドリの大群です。その数、数千羽、すっかり落葉したプラタナスの木に鈴なりになってとまっています。(写真左)冬場のねぐらを求めてやってきました。

ムクドリは25メートルほどあるプラタナスの高木がよほどお気に入りなのでしょうか、他の木にはとまりません。夕方ですので黒いシルエットとなったムクドリが、繁った葉のように見えます。ぶら下がっているプラタナスの丸い実が印象的です。(写真下)


人工の電飾のそばに、どうしてムクドリがやってくるのでしょうか。この時期、毎年やってきます。専門家によりますと、ムクドリは天敵から身を守るために、人通りの多い場所にねぐらを構えるそうです。大通公園には赤く実ったナナカマドの実などの好物がたくさんあり、ムクドリにとって居心地の良いねぐらになっているようです。プラタナスの木の下では、観光客が空を暗くするほどとまったムクドリを見上げています。

ムクドリは知ってか知らずか、フンをお構いなしに落とします。

「わあ いやだ」フン害です。

観光客らは憤慨しています。

プラタナスの近くにある野外彫刻の人物像には、事前準備宜しくビニールがかかっていました。

大都市のど真ん中で自然の営みが観察できるのも、札幌ならではでしょうか。

大通公園のホワイトイルミネーションは、新年早々で取り払われます。このあと大通公園は2月の一大イベント「さっぽろ雪まつり」の準備に取り掛かります。いろいろなイベントを作り上げることによって、寒くて厳しい冬を乗り切ろう、北国の住人の知恵ともいえるかもしれません。(写真左:札幌市の花  スズラン)
(完)
望田 武司(もちだ・たけし)
1943年生まれ 新潟県出身
1968年NHK入局 社会部記者、各ニュース番組デスク・編責担当
2003年退職し札幌市在住、現在札幌市の観光ボランティアをしながら自然観察に親しむ。