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クリスマスの花には毒がある!
【北の国からのエッセイ】 2008年12月12日

師走も半ばを過ぎるとなんとなく気ぜわしいです。外を歩くと、ジングルベルのメロディーが背中を押すように流れています。大通公園のホワイトイルミネーションのクリスマスツリーも、一段と輝いて見えます。(写真右)

ヒイラギ
クリスマスには花がつきものです。この時期花屋さんの前を通ると、クリスマス用の鉢であふれています。普段はあまりお目にかからないヒイラギがありました。(写真下左)ヒイラギもいろいろな仲間があるようです。

ヨーロッパではヒイラギはクリスマスホーリー(聖木)ともよばれ、クリスマスの飾り物の定番です。波状で縁に棘がある楕円形の葉が互生しています。常緑で真冬に目立つ赤い実をつけることから、ヨーロッパでは古くから枝を玄関などに飾るそうです。最近ではリースにして飾られているのをよくみかけます。

このヒイラギは有毒です。サポニンという有毒物質を含んでおり、食すると嘔吐や胃の粘膜がただれます。棘に刺さると疼くような痛みや痒みがするのも毒性のせいでしょうか。ヒイラギの棘はキリスト受難の象徴とされているようです。

ポインセチア
クリスマスの花には毒があるのが多いようです。

真赤な深紅の花のポインセチア、これもクリスマスの代表的な花です。ポインセチアの茎を折りますと白い液体が出ます。これがとても有毒で、とくに眼に入ると危険です。

ポインセチアは中南米原産です。アメリカの初代メキシコ公使ポインセットが見つけたことからポインセチアという名がつきました。原住民は有毒な白い液体を解熱剤として使っていたそうです。

ポインセチアの真赤な葉のような部分は、葉でも花でもありません。苞(ほう)と言われている部分です。ちょうどミズバショウの棒のような花を包んでいる白い部分にあたります。実際の花は中央といいますか、付け根の部分に小さくある黄色い部分です。

黄色い部分をよくみてください。(写真左)一つ一つが分厚い唇状になっています。ブラジルでは「ネグロの唇」と言ってるそうです。

ポインセチアは情熱的な花です。花言葉もいろいろあるようですが、その一つに「私の心は燃えている」私もそのような気持ちになりたくても、公的美術館などが無料の年令ではお相手がおりません。

「私の心はセピア色」です。

南国の花のせいでしょうか、寒さ厳しい北海道では部屋にポインセチアの鉢が置いてありますと暖かい空気を感じます。

シクラメン
ポインセチアと並んで、クリスマスの花としてはシクラメンも欠かせません。ピンクから白・ブチのものなど、色とりどりのシクラメンです。この球根に毒があるそうです。けどシクラメンの塊根を口にする人はまずいないでしょう。

「シクラメンのかほり」という歌が一世を風靡しました。なかなかいい歌です。メロディーと共に良い香りが匂ってくるのかなと思ったら、「かほり」というのは、歌を作った小椋佳の奥さんの名前だということを、昔聞いたことがあります。亭主が歌うならいざしらず、多くの人が見知らぬ小椋佳の奥さんを称えて気持ちよく歌っていたんだとおもうと滑稽です。

ヤドリギ
すっかり落葉した冬の森に行きますと、木の高いところに鳥の巣のようなヤドリギがとても目立ちます。高木に寄生して生きています。大地に根を持たず繁殖するヤドリギは、神聖な不思議な力を持つ「再生のシンボル」とか「永遠の命のシンボル」として、欧米で古くから尊重され、クリスマスのときに飾られるそうです。また。クリスマスのときは「ヤドリギの木の下にいる女性とはキスしてもよい」という慣習があるそうです。

そのせいか、幸せを呼ぶ木とも言われています。確かに真冬に常緑の葉に黄色い実を無数につけていると、そのような気持ちになります。

赤い実をつけるヤドリギもあります。アカミノヤドリギです。(写真右)

ヤドリギはなぜ高いところに寄生するのでしょう。

ヤドリギの実は鳥の好物で、とくにヒレンジャクが好んで食べます。ヤドリギの実の中にある種には粘り気があります。ヒレンジャクはヤドリギの実を食べた後、くちばしについた粘り気を木の枝でぬぐう習性があるそうです。その時に種が付着して繁殖につながっているようです。

このヤドリギも実に触れますと、敏感な人はウルシかぶれのような発疹を起こすため、植物としては毒性があるものと考えられています。

こうみてくるとクリスマスの飾り物は有毒なものばかりです。縁起でもないとキリストさまにお叱りを受けるかもしれません。けど毒と薬は裏腹です。ポインセチアは解熱剤として使われ、ヤドリギは生薬として鎮静剤に使われ、腰痛に効くと言われています。お金がなくなったらヤドリギを拾って薬種商にもっていくと、結構な収入になったと聞いたことがあります。

それにしても、きれいな花には毒があるということでしょうか。

逆説も成り立つならば、私の周りには毒のある人は余りいません。

花をじっくり「毒見」するのもクリスマスの新たな楽しみかもしれません。(完)
望田 武司(もちだ・たけし)
1943年生まれ 新潟県出身
1968年NHK入局 社会部記者、各ニュース番組デスク・編責担当
2003年退職し札幌市在住、現在札幌市の観光ボランティアをしながら自然観察に親しむ。