_blank
     
冬至 冬中冬初め
【北の国からのエッセイ】 2008年12月22日

本日21日は冬至、1年でもっとも昼間の短い日です。

札幌の日の出は午前7時3分、日の入りは午後4時3分、昼はちょうど9時間、夜は15時間です。朝はともかく、午後3時過ぎで暗くなり始め、夕方4時にはすっかり日が暮れると一日がとても早く、ちょっと戸惑いを感じます。

昔から、冬至 冬中冬初め と言われています。冬至は立冬と立春のちょうど中間にあるけど、実際には寒さがこれから厳しくなるんだよ、と言っていることかと思います。


暖かい師走
実際にはこの冬の札幌は異常な暖かさです。師走も下旬に入っても積雪ゼロ、気温も朝は氷点下でも、日中は5度前後まで上がります。昨日の最高気温は7度5分でした。あさの挨拶も「きょうはあったかいね」で始まります。防寒服で身を包んで歩いても、例年なら頬をなでる冷たい風が今年は余り吹いてません。なんとなく厚いコートが重く感じます。

いつもは雪の帽子をかぶる街路樹のナナカマドも、この時期趣きが違います。(写真左20日、右昨年12月)


札幌に一冬で降る「累計降雪量」は平年で6m30cmです。人口100万以上の都市でこんなに雪が降るところは世界中どこを探してもありません。ダントツです。例年冬至までには1m18cmの雪が降り、すでに根雪となっています。ところが今年のこれまでの降雪量は68cmと平年の半分、もちろん根雪にはなっていません。11月末には倉庫にしまいこんだ自転車を、もう一度取り出したくなります。

雪あっての札幌の冬
各種の国民世論調査で、住んでみたい所のトップはいつも札幌です。

札幌に終の棲家を求めて7年、実際に住んで見ますと、四季がとてもはっきりしているのが大きな特徴です。そして毎日天気予報を、気温も含めて気にしながら生活するようになります。まるで農業者のようです。

夏は涼しくて快適な札幌ですが、冬は11月下旬からから4月上旬までの5ヶ月間、雪とお付き合いする生活です。ところが今年のような天気が続くと、雪とのお付き合いは1月から3月までの3ヶ月で済むかもしれません。気候の上では、ますます札幌は住みよくなるのでしょうか。

ただ、札幌は雪があっての札幌です。せめて3ヶ月くらい雪はあってほしいという気持ちにもなります。雪祭りを楽しみ、雪の中を黙々と歩く気持ちは、啄木ではありませんが恋心を感じます。

春を待つ冬芽
近郊の森に行ってきました。静かな冬の森です。森は一度降った雪はなかなか消えません。木々の葉はすっかり落ちて、色彩感の乏しい冬の森です。木の枝の先端にウサギのような表情をした冬芽が観察されました。

オオカメノキです。


ウサギの顔の部分は花芽で、耳の部分が葉芽です。春になると花芽からはお皿状の白い花が、葉芽からは大きくて丸い葉がでてきます。(写真右上:06年5月)

これらの芽は冬になると出てくるのではありません。落葉する秋にすでにすっかり準備されており、冬の間はじっとしていて春先の気温の上昇を待っています。次の世代に託する植物の先々の周到な準備には本当に驚かされます。オオカメノキの冬芽は、すべてウサギの顔があるとは限りません。耳しかないのもあります。それらの冬芽からは葉だけが出てきて、花は咲きません。

なぎなたの先のような冬芽に出会いました。ホオノキです。


ホオノキはおにぎりを包めるような大きな葉と、国内ではもっとも大きい花をつける広葉樹です。(写真右上:07年6月)そのエキスがこの冬芽にきちんと収められています。独特の強い芳香が漂うホオノキはとても存在感があり、この花をみつけますと森の徘徊人はまず立ち止まります。

穏やかな師走の森です。週間天気予報ではさすがに雪だるまが多くなってきました。

この森もすでに歩くスキーを楽しむ熟年夫婦や親子連れで賑わっています。狭い雪道です。リュックサックを背負って、双眼鏡をぶら下げている森の徘徊人は、スキーヤーに出会うたびに道を譲ります。そして雪の上についた二本のレールに沿って、再び徘徊します。

札幌市内もそろそろ雪が積もらないと、来年の雪祭りに支障がでるのではないかなと思っていると、テレビの天気予報は夜に入って雪がしんしんと降ってきていると伝えていました。気温も下がってきました。午後9時現在氷点下2度7分です。このままいきますと、明日の朝は雪一色のメルヘンティックな世界になりそうです。

そして今年のクリスマスイブは、雪をかぶった自然のクリスマスツリーがあちこちで見られそうです。北国の冬も楽しからずやです。(完)
望田 武司(もちだ・たけし)
1943年生まれ 新潟県出身
1968年NHK入局 社会部記者、各ニュース番組デスク・編責担当
2003年退職し札幌市在住、現在札幌市の観光ボランティアをしながら自然観察に親しむ。