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雪まつり国際雪像コンクール
【北の国からのエッセイ】 2009年02月13日

暦の上では立春を過ぎたとはいえ、北国は今が一番寒い時期です。この時期を元気に乗り越えようと5日から開かれていたさっぽろ雪まつりには、連日内外から大勢の観光客が訪れて賑わっています。

会場の一つ、大通会場には一方通行の観光客の太い流れが、時には快晴のもと、時には吹雪の舞う中でも絶え間なく続いています。お目当ては高さ15メートルもある大雪像です。徳川家康が築城した浜松城、韓国の国宝第一号のソウルのナンデムン(南大門:写真右)など、これが雪で作られたのかと思うほど、細かな部分まで丁寧に刻まれた雪の彫刻に、観光客はさかんにカメラを向けています。

甲子園並み?の開会式
会場の一角に外国人が参加して雪像を作るコーナーがあります。名づけて国際雪像コンクール。コンクールは大会です。

雪まつりの開幕を翌日に控えた今月4日、開会式が行われました。甲子園球場かと間違えるようなマーチの流れる中、ミスさっぽろの先導で、参加国の入場です。中華人民共和国・フィンランド・香港・韓国・リトアニア・マレーシア・メキシコ・ニュージーランド・シンガポール・スウェーデン・アメリカ・タイの12の国と地域です。必ずしも雪がある地域だけではありません。マレーシアやメキシコ、さらには南半球からも参加しています。前年度優勝国からの優勝旗返還や、選手宣誓も行われました。また、これから作るということで、こんもりとした雪山に参加各国の代表がスコップを入れる日本の行事、地鎮祭も行われました。

雪まつりの大通会場ではすでに大小280ほどの雪像は完成しています。これに対し、国際雪像コンクールはこれから雪像を作ります。まつり本番を翌日に控え、実にのんびりした話です。

私は、外国人は雪まつりというのは、すでに作られたものを見て楽しむのではなく、祭り期間中に雪像を作って自らが祭りを楽しむという考えなのかと思っていました。ところが、大会規定では祭り期間中の4日間で雪像を作り、その雪像作りの模様を、訪れた観光客に見てもらおうというのが目的であることが、あとになってわかりました。

さあ、開会式を終えた参加各国は、3メートル四方の大きな雪の塊に向かって作業開始です。

始まった雪像づくり
参加選手は1チーム3人です。まず、白い雪に大まかな設計図を書いていました。(写真右)私はボランティアで毎日会場を通るたびに、次第にでき上がっていく様子を見物していました。

「何を作るの?」
スウェーデンチームに聞いてみました。

「トラを作るんだ」という返事が返ってきました。雪像の題名は「魅惑」だそうです。トラと魅惑とどういう関係があるのか、よくわかりません。

参加者には関係する団体から、いろいろ激励の差し入れがあるようです。スウェーデンチームにも、スウェーデンハウスの街がある隣町・石狩当別町のスェーデン交流センターから、名物「いも団子汁」が差し入れられました。冷え込む外での作業に、温かい食べ物は喜ばれていました。

二日目:少しづつ雪の塊は削られてきましたが、まだ全貌はわからず、トラも見えません。(写真左)コンクールに参加した外国人は、札幌在住や留学生などで構成されているのかと思っていました。ところが参加した3人のスウェーデン人は、大会のために本国から来札した氷の彫刻のプロだと聞かされびっくりです。他のチームもほとんど氷彫刻のプロが参加していると聞かされ、さらにびっくり。

たしかにマレーシアやメキシコなど雪や氷と縁のない国も参加しています。参加した皆さんはホテルなどで氷彫刻を作っているプロばかりなのでしょう。

三日目:ようやくトラの姿が見えてきました。(写真下右)雪の台の上にトラがあごを乗せているような彫刻で、トラはなんとなく眠そうです。眠りに魅惑されたトラの姿を作ってるのかな。まだ荒削りです。


四日目:ついに完成しました。(写真下左)トラのしま模様もついています。なんとなくユーモアなトラです。


五日目の8日、審査が行われました。スウェーデンチームは残念ながら選から漏れました。ちょっとのんびりしすぎたテーマだったのでしょうか。

優勝したのはタイでした。タイの作品「ガルーダ(半人半鳥)とナーガ」は前日に私が見て回ったとき、これが優勝だなと思うほど秀逸でした。(写真右)

春を迎えるマイバウム
国際雪像コンクールが行われた大通会場には、大きなポールがたっています。(前の開会式の写真参考)夏冬のオリンピックが同じ年で行われたご縁で、姉妹都市となったドイツのミュンヘンから贈られたモニュメント「マイバウム」です。このマイバウムを取り囲むように、参加12カ国の雪像が作られました。マイバウムはドイツ語で「5月の木」を意味し、春を迎える喜びを象徴しているそうです。高い木を切り出して飾り付けをしたマイバウムを立て、その周りで歌や踊りを楽しむそうです。

札幌は8日新たに21cmの雪が積もりました。現在(9日)、雪は74cmとなり、この冬最高の積雪を記録しました。作られた彫刻はみな雪帽子をかぶってしまいました。

雪まつりは11日に閉幕しました。札幌では雪まつりが終わっても徐々に春というわけにはいかないようです。寒さの正念場、もうしばらく厳しい寒さが続きます。(完)
望田 武司(もちだ・たけし)
1943年生まれ 新潟県出身
1968年NHK入局 社会部記者、各ニュース番組デスク・編責担当
2003年退職し札幌市在住、現在札幌市の観光ボランティアをしながら自然観察に親しむ。