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札幌 春らんまん 
【北の国からのエッセイ】 2009年05月08日

大型連休に入って、札幌はぱっと明るくなりました。都心の公園、公共建築物の植え込みの木々が一斉に花を咲かせました。一斉に咲くというのが、北国札幌の特徴です。

2日は観光ボランティアの日でした。札幌をもっと知りたいという札幌在住の中国人ご夫妻と一緒にウオーキングガイドしながら、私のホームグランド、大通公園界隈を散策しました。

モクレンです。大通公園には12丁目の各コーナーに1本づつ、計4本あります。ちょうど今が満開です。紫色の大きな花びらが遠くからでも目立ちます。満開とはいえ、花を上に向けて咲くモクレンは決して全開はしません。人妻が着物の裾を気にするような、そそと咲くお色気のある咲き方です。

同じモクレン科でも、キタコブシの咲き方は対照的です。健康的な乙女が、四肢を一杯に伸ばすかのように咲きます。北海道の高木の中で、もっとも早く咲くのがキタコブシです。早いものはもう終わりかけです。ぱっと咲いてあっという間に散るのがキタコブシです。大通公園のあちこちに見られました。






珍しい花が咲いていました。アンズです。都心では大通13丁目の札幌資料館裏庭と、14丁目の知事公館前庭にそれぞれ1本ずつ、計2本しかありません。アンズはもともと北海道の自生種ではありません。杏の実の大好きな人が、本州から持ってきて植えたのでしょうか。ウメのようでウメでなく、サクラのようでサクラでないアンズの花はとても清楚で、心が洗われます。





ウメといえば、咲きはじめのコウバイ(紅梅)を観察できました。知事公館です。北海道の知事公館の庭はオープンです。中国人ご夫妻はびっくりしていました。「道産子に悪い人はいませんから」と言ったら、「そうですね。とても親切にしていただいてます」と調子を合わせるご夫妻です。夫は滞在5年目、若奥さんは2年目ですが、日本語がとてもうまいです。



札幌ではウメは、サクラとほぼ同じか、サクラの後に咲きます。花札の2月と3月を逆にしなければなりません。

5月1日、札幌管区気象台は札幌のサクラの開花を宣言しました。開花宣言をする対象のサクラは、ソメイヨシノです。けど、札幌のサクラの主役は、エゾヤマザクラです。エゾヤマザクラはもう満開から散りはじめです。気象台の開花宣言は、気の抜けたビールのようです。 写真のエゾヤマザクラは、6丁目の重要文化財・旧北海道庁本庁舎(通称赤レンガ庁舎)の前庭です。

この赤レンガ庁舎の近くに北大植物園があります。黄色い花一杯の高木が植物園の垣根越しに、歩道に出ていました。北海道の木ではありません。
♪ 庭のサンシュユの木に  鳴る鈴かけて ヨーホイ・・♪

宮崎県の民謡「稗つき節」で知られたサンシュユです。北大植物園によりますと、サンシュユの木は園内に2本あり、うち1本が道路縁に植えられて歩道に覆いかぶさったそうです。この花が咲きますと、そこだけ春を独り占めするかのような黄金の花です。

木の枝につぼみが一杯ついている木がありました。よくみると、つぼみがはじけ始めたのもあります。ボケです。一般家庭の庭木としてよく植えられています。ボケには白と赤の花がありますが、写真の木は白です。

咲き始めのボケを、初めて写真に収めることができました。資料館裏庭のカッコウの森です。凹凸があって締まっており、とても素敵に見えます。満開のボケは、眠たそうでボケている感じがします。

ボケの木に鳥が止まりました。大きな鳥です。よく見かける鳥ですが、鳥は余りよく知らず、さっそく自然観察仲間の鳥博士に写真を送って教えてもらいました。ヒヨドリだそうです。

札幌は大型連休にあわせるかのように、春爛漫です。本州方面からこの時期見える観光客は、花見が2度できたと喜びます。これらの花が散ると、札幌は初夏の花ライラックが一斉に咲き始めます。


そのライラックがもう咲いているところがあります。札幌で一番早く咲くライラックを、中国人ご夫妻に案内しました。14丁目の角にあるライラックです。(写真右)

他のライラックがまだ蕾なのに、このライラックの木だけはもう蕾が膨らみ、数輪花が咲き始めています。「なぜこの木だけ早いのですか」中国人ご夫妻がたたみかけてきました。種明かしをすると、元も子もありません。けど、正直に答えました。

「この下を通る地下鉄の温風排出口が、そばにあるからです」

写真のレンガつくりが通風口の側壁です。

理由を知ると「なあんだ」と大笑い。

ちょっと気温が上がると、マスコミは「早くも初夏到来」と報じて、ここのライラックの花がいつも紙面を飾ります。その筋ではちょっと有名な露出度抜群のライラックの木です。

ハルピン出身の中国人ご夫妻は大満足、また来るから名刺をくれと言ってきました。普段は名刺は出さないのですが、かわいい奥さんでしたので鼻の下を長くしました。

街は春らんまん、ボランティアを終えた私も春のような気分でした。(完)
望田 武司(もちだ・たけし)
1943年生まれ 新潟県出身
1968年NHK入局 社会部記者、各ニュース番組デスク・編責担当
2003年退職し札幌市在住、現在札幌市の観光ボランティアをしながら自然観察に親しむ。