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北の国からのエッセイ
さっぽろ雪まつり
【北の国からのエッセイ】
2010年02月12日
立春が過ぎたというのに、今年の北海道は厳しい冷え込みが続きます。2月に入って札幌では久しぶりに日中の最高気温が氷点下10度を下回る日を経験しました。北海道内陸部では氷点下20度、30度が珍しくありません。
氷点下の世界はどんな世界でしょう。-8℃で水道管が凍結し、-10℃で窓に霜がつき、-15℃でダイヤモンドダストが観察され、-20℃でひげや眉が凍り、-25℃で樹木が縦に亀裂が入る凍裂がおき、-30℃でウオッカも凍るとされています。
そして立春の4日、今年の最低気温を観測した上川南部の占冠村(しむかっぷ)の-34.4℃は、バナナで釘が打てる気温だそうです。一年を通してもっとも寒いこの時期に、今年もさっぽろ雪祭りが開幕しました。
巨大な大雪像
さっぽろ雪まつりは、大雪像などが作られた「大通会場」、氷の彫刻の「すすきの会場」、それに巨大な滑り台など雪と遊べる「つどーむ会場」の3会場に分かれています。このうち今年はどんな大雪像が作られたのだろうと大通会場を覗いてきました。
ひときわ大きい大雪像はドイツ・ドレスデン市にある
フラウエン教会
です。高さが26m、実物の3分の1の縮尺です。61回を重ねた雪まつりのなかで、最高の高さだそうで、ざっと8階建てのビルに相当するでしょうか。
チェコの国境に近いところにあるフラウエン教会は11世紀に建てられ、バロック様式の石造り建築物の傑作と言われていましたが、第二次世界大戦の末期連合軍による空襲などで崩壊しました。この歴史的遺産の再建の動きは、紆余曲折の末、東西ドイツの統一で初めて現実のものとなり、旧連合軍諸国を中心とした世界中の寄付などで10年以上の歳月をかけて再建されたそうです。
去年がベルリン崩壊20年、今年は東西ドイツ統一20年、来年が日独国交樹立150年という記念の年に制作されました。運ばれた雪は5トントラック439台分、延べ4,730人の自衛隊員が31日間かけて作り上げました。
北の動物園
全国的に注目を集める2つの動物園、旭山動物園(旭川市)・円山動物園(札幌市)のスターが一堂に集まりました。
雪上の北の動物園です。
愛くるしい姿のホッキョクグマ親子、しなやかで美しい身のこなしのユキヒョウ、かわいらしいペンギンの散歩、堂々としたオラウータン、遠吠えするオオカミ、鋭く尖った嘴のオオワシの雄姿などが観光客の前にお目見えしました。
とくにホッキョクグマの目がすばらしい。奥行き50cmほど掘りこんだ先に、もう一段20cmほど掘りこんで段差を付けることで濃淡をつけ、瞳に見えるようにしたそうです。
母親が双子の子供をやさしく見守る眼差しがリアルに迫ってきます。
またユキヒョウの身体の模様が雪を凸凹にして、緻密に出来上がっています。前にのめりこむように作られた姿は、今にも襲い掛かるような威圧感を感じさせます。これがほんとに雪でできているのかと疑いたくなります。
動物を単に檻の中で見せる動物園から、動物の動きをみせる「行動展示」で高い評価を受けている北の動物園の魅力が伝わってきます。
気温が低いのは観光客にとってはつらいところですが、雪像にとっては融ける心配がなく、作られた動物一つ一つを見ますと、今年のできばえはここ数年で最高のように思えます。
会場にはこの他、「韓国百済王宮」や、「ちびまる子ちゃん」などの大雪像のほか、市民が作った小雪像200余点も並べられています。一方通行の人の波に押されてほぼ1時間ちょっと、寒さを忘れて見入りました。
夜に入ると雪像はライトアップされて、昼とはまた一味違う雰囲気を醸し出しています。途中、食の広場もあって出店が立ち並び、暖かいラーメンから、ホタテやジンギスカンなどもお皿で食べることができ甘酒も一杯100円で提供されていました。
三寒四温
さっぽろ雪まつりは、11日に閉幕しました。雪像は翌日惜しまれて一斉に取り壊されます。
雪まつりは1年で一番寒い時期を選んで開かれるお祭りです。今週末にはバンクーバーオリンピックが始まりますが、35年以上前の札幌オリンピックもこの時期に開催されました。
冬まつりなどのイベントで、自然の一番厳しい時期を乗り越えますと、すでに日も長くなってきた北国は三寒四温、徐々に氷点下の世界から抜け出します。
しかし、寒さに耐えている硬い木の芽が膨らみはじめるまでには、あと50日はかかりそうです。
春はまだまだです。(写真左:ちびまる子ちゃん) (完)
望田 武司(もちだ・たけし)
1943年生まれ 新潟県出身
1968年NHK入局 社会部記者、各ニュース番組デスク・編責担当
2003年退職し札幌市在住、現在札幌市の観光ボランティアをしながら自然観察に親しむ。
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