夏合宿 塾生によるまとめ 2

【夏合宿レポート】

2009年8月31日


「日本の未来を開き、世界に貢献出来る創造性豊かな中学生の育成」を目的として、開講された「創造性の育成塾」。
「発明・発見」をテーマとした第4回夏合宿で、今年も豪華な講師陣に恵まれ、充実した9日間を過ごした塾生たち。
彼らが何を学び、何を得たのか、塾生の感想文を掲載します。

創造性の育成塾
ぼくが「創造性の育成塾」で学んだことは、研究者になるには自然をじっくり観察することと、疑問に思ったことはわかるまで追求することが大切だということです。例えば、中村日出夫先生が講義のとき、「人間は鳥を研究して飛行機を作った」とおっしゃっていました。また、岩崎俊一先生の講義で「学生がわからないことをわかるまで調べると、良い発見をしている」と聞きました。だから、自然をじっくり観察することや疑問に思ったことをわかるまで調べることが大切だということがわかりました。

富士山に登って、たくさんの石を写真で撮ったり、植物の説明を聞いたりしました。そのときぼくは、富士山に生えている木々は高山植物だと思いこんでいました。しかし、北澤先生に「高山植物は氷河期に平地にいたが、氷河期が終ると高山植物は北や、高い山の上の方へ逃げていきました。そのときは、まだ富士山が今のように高くなかったので、高山植物は生えていなかった。だから今でも富士山には高山植物が生えていません。」と聞いてびっくりしました。

リニアモーターカーを見学して、リニアモーターカーが走っているところを何回も見ることができました。よくみると、リニアモーターカーの前と後ろで形が違うことに気づきました。また、ぼくはリニアモーターカーを見学するまで、車体の下に磁石があって、その極と同じ極の磁石が線路にもあってそれで浮いていると思っていました。しかし、側壁の両側に二つずつコイルがあってリニアモーターカーが通過することで、コイルが電磁石となり、押し上げる力と引き上げる力によって浮いていると知って驚きました。

それに、普段経験することのできない「パスタで橋造り」や「家庭でできる水の電気分解の実験」などたくさんの貴重な体験をすることができました。「パスタで橋造り」では、ワーレントラスの三角形がしっかりしていたので、ぼくたちの橋が予選を通過することができたと思います。しかし、一番たくさんの重りにたえることができた作品は、天井の上に山のような形だったのでよかったのだと思いました。

「家庭でできる水の電気分解」の実験は、学校などの実験室でしかできないとぼくは思っていました。なぜなら、特殊なH型ガラス管や電源装置や電極などが必要だと聞いていたからです。だから、身近なものを使って「水の電気分解」ができると聞いて、ぜひ家でもやってみたいと思います。
(6番  上島稔之 )

合宿で学んだこと!
今回の合宿で一番印象に残っているのは実験です。育成塾の実験では、最近あまり感じることがなかった、新しいことを知るわくわく感を感じました。また、知識を得るだけでなく、実際に実験をし、さらに実験で出た結果がなぜ起こるのか考える楽しさを知りました。

例えば、超伝導物質の実験では、まずネオジム磁石と物質を近づけてみましたが、反発もしないしくっつきもしないので、これは磁石ではないんだ、と思いました。しかし、超伝導物質を液体窒素で冷やしていくと磁石と反発して、磁石が空中に浮き、さらに磁石を持ち上げると一緒にくっついてくるのです。

この実験の結果は、自分の予想と全然違いました。原理は難しすぎて理解できなかったけれど、自分で「これって、磁力線を図に表わしたらどうなるんだろう」とか、「もしかして半磁石(?)なんていうのがあるんだろうか!?」と考察するのはとても楽しかったです。温度が下がるだけで性質が変わる物質が存在するなんて考えたこともなかったので、とても新鮮でした。

次に、印象に残っているのは、先生がおっしゃっていた「偶然はよく準備した人に微笑む」という言葉です。今まで私は、すごい発見・発明をした先生方が一瞬ぱっと閃いて、その発見をしたような気がしていました。しかし、今回たくさんの先生方の講義を聴いて、先生方は並大抵では無い努力をし、その上で出来たという事に気付きました。私も将来のために今から少しずつ努力しようと思います!!

そして、何よりも嬉しかったのは全国に友達ができたことです。私は東京都に住んでいて、地方に出る事はあまりないので、生で方言が聞けたのもとても面白かったです。休み時間に先生が貸してくださった布製の凧で友達と遊んだのはとても楽しかったです。普段東京にいると凧あげをする機会なんてほとんどないので、風がどっちから吹いてくるか考えたりするのも面白かったです。

せっかく出会った友達とたった9日間で別れるのは寂しかったけれど、今回の合宿を時々振り返りつつ、学んだことを今後の生活や勉強に役立てたいです。また、いつか先生がおっしゃっていた通り、「人のために研究をする」を実践したいです!!
(7番  牛込結理 )


バイオテクノロジーと人類
今回の育成塾で特に心に残った授業は、軽部征夫先生の「生物の優れた機能を応用する」です。

バイオ技術や分子生物学という内容がとてもおもしろく、今まで化学にしか興味がなかった僕は、生物の楽しさも知ることができました。現在人間は、物作りだけでなく、バイオテクノロジーという、生物本来の力を積極的に利用していることを学び、とても感動しました。私達人間が生まれながらにして持っている機能にも素晴らしいものがありますが、細菌のおかげでバイオ技術が作られたということも驚きです。とても小さいため、普段は気にもしない単純な細菌ですが、それらが私達の明るい未来を作ってくれるのだから、本当の縁の下の力持ちだと思います。

私が、バイオ技術に期待していることは、バイオ技術によって難病がこの世界からなくなることです。何万人に一人しかかからないような難病があります。発症する人が少ないため、治療方法が見つからないのではと思います。しかし、このバイオ技術を利用すれば、「一人一人の遺伝子に合わせて薬を作ることも可能だ。」と軽部先生がおっしゃっていました。もし実現できれば、治療できない、または治療されない苦しみがなくなるのです。私は、いつかこの研究にたずさわれるような仕事に就きたいと思いました。

また、ある授業の中で、「君たちはもう科学者です。」という言葉がありました。立派な先生にそう言っていただいたので、とてもうれしく思ったと同時に、その言葉に恥じないよう、これから少しずつ色々な分野での知識を深めていこうと思います。

今回の合宿中、勉強を教えてくれたり、話し相手になってくれた塾生の皆さんに感謝しています。授業以外でも楽しい時間を過ごすことができました。この先色々な形で、また皆さんと会えることを楽しみにしています。

最後に、塾長の有馬朗人先生をはじめ、先生方や事務局の方、合宿を支えて下さった多くの皆様に感謝の気持ちでいっぱいです。貴重な体験をさせて頂いた9日間、本当にありがとうございました。
(9番  大塚祐太 )


「創造性の育成塾」を振り返って
私がこの塾に応募するきっかけになったのは、たまたま母が見つけた地元の新聞の小さな記事でした。私の理科好きを知っていた母は、その記事を私に見せてくれました。応募用紙を書いている時、“もし、塾生になれたらきっと何かが変わるのだろうな”、と期待していました。そんなこともあり、合格通知を受け取ったときは、とてもうれしかったです。

合宿初日。私の心は大きな期待と少しの不安でいっぱいでした。さらに、私は自宅から直接、研修センターに来たので、東京駅からバスで来た人達が仲良さそうにしていたのを見て、もっと不安になりました。でも、すぐに打ち解けることができたので、不安は消えてしまいました。

約一週間の著名な先生方のご講義は、どれも興味深く、私の好奇心をそそるものばかりでした。特に、宇宙やカーボンナノチューブ、そして、世界を結ぶ技術についての講義は、とてもおもしろかったです。

リニアモーターカーの見学では、実際に走行中の車両を見ることができ、その速さに驚きました。

しかし、このようなすごい技術でも、まだ改善していかなければならない課題があることを知り、その課題を解決するのが未来の科学者なのだろうな、と思いました。

また、「富士山五合目自然観察」では、雲海などの神秘的な現象を見ることができました。

私にとってさらにうれしかったのは、全国各地に友達ができたことです。良い友達がいたから、九日間を楽しく、有意義なものにすることができたのだと思います。

この育成塾で、私は理科についての知識を広げ、大切な友達をもつことができました。

これも、運営委員の先生方をはじめ、仲良くして下さった塾生のみなさん、そして、陰で支えて下さったみなさんのおかげです。本当にありがとうございました。

この貴重な体験を胸に刻み、人生を歩んでいきたいと思います。
(10番  岡澤なみ )


合宿を終えて
私はこの合宿に参加するまで、「ユビキタス・コンピューティング」や「カーボンナノチューブ」などについて、言葉の意味ぐらいしかわからず、具体的に、誰によって考えられ、どのように開発したものか、いかに役立てるのかまではまったく知りませんでした。しかし、坂村健先生の「ユビキタス・コンピューティング」の授業の講義や実演で、商品の賞味期限や薬の情報を小さなコンピュータを使って読み取るのを見たりして、これからこの技術の実用化が楽しみになりました。

榊原定征先生の授業では、実際に炭素繊維でできた釣竿や、車のボンネットに触ったり、飯島澄男先生の授業では、カーボンナノチューブの模型を見たり、放射線や超伝導についても、実験などをして、より深く学ぶことができました。また、以前は興味があまりなかった宇宙についても、JAXAの立川啓次先生や、的川泰宜先生や、津田雄一先生の人工衛星やロケットの歴史、小惑星イトカワの探査についてなど、宇宙開発の話を聞いて、宇宙のことに興味をもち、もっと学んでみたいと思いました。

まだ、今の私は、自分が将来何になりたいのか、自分に何ができるのかもわかりません。でも、「創造性の育成塾」という、一生に一度しかできない貴重な合宿に参加する機会を得られて、今までにない、充実した夏休みを過ごすことができました。その中で、私は多くの講義から、「夢を持つ」ことや「なんにでも果敢に挑戦」することの大切さを学びました。

また、この合宿で、私が得たものは、最新の科学の知識や滅多にできない実験をしたという体験だけではなく、一緒に富士登山をし、結果について共に考察し、パスタの橋造りや凧作りや天体観測をした多くの友達を作ることができました。

最後に、今回、難しい話もわかりやすく解説し、講義をしてくださった先生方、この塾を運営してくださった運営委員の先生方、この合宿にかかわったすべての方々に心から感謝します。九日間本当にありがとうございました。
(12番  奥田あずみ )
   
   

 


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