夏合宿 塾生によるまとめ 5

【夏合宿レポート】

2009年9月3日


「日本の未来を開き、世界に貢献出来る創造性豊かな中学生の育成」を目的として、開講された「創造性の育成塾」。
「発明・発見」をテーマとした第4回夏合宿で、今年も豪華な講師陣に恵まれ、充実した9日間を過ごした塾生たち。
彼らが何を学び、何を得たのか、塾生の感想文を掲載します。

忘れられない九日間
私は昨年の夏、調べ学習をしている時に育成塾のホームページを偶然見つけた。昨年の合宿は生物がテーマで、全国から選抜された中学生たちが、第一線で活躍している先生方の講義を受けている動画を見て、興味がかき立てられた。私は生物が好きだったので、昨年からずっとこの合宿に参加したいと思っていた。

第四期生に選ばれたことは嬉しかったが、今年のテーマは私が一番とっつきにくいと思っていた電子工学系の内容が多く、授業についていけるか少し不安だった。しかし、先生方は自分の研究の楽しさを熱く語ってくださったので、思わず授業に引き込まれ、時間があっという間に過ぎてしまうほどだった。育成塾が終わって数日経った今、この合宿で受けた講義の素晴らしさ、恵まれた環境、素敵な友達との出会いなど、一つ一つの体験の重みを感じている。

講義では、今現在の工学系の研究が、これほどまで進んでいるのかと驚かされることばかりだった。

「はやぶさ」の授業では、サンプルリターンのための高度な技術に驚いた。未知の小惑星イトカワでのあらゆる状況を想定し、研究が進めらていく中で、ターゲットマーカーにお手玉の性質を利用するという発想は面白いと思った。また、空気抵抗のない宇宙では推力が5gでも信じられないほどの速度を得ることができるなど、宇宙にはこれまで私が考えも及ばなかった不思議な空間が広がっていることを知った。

「光ファイバー」の授業では、レーザー光が全反射する様子がとても美しく、光の性質に初めて興味を持った。なぜ半導体が光るのかという解説も面白かった。すでに生活の中で実用化されている光ファイバーだが、その原理はまだ理解できないことが多かった。光についてこれから勉強していきたいと思った。

ところで、私はこの合宿で、北沢宏一先生の超電導の講義と実験が一番心に残った。特にマイスナ―効果の現象の不思議さに取りつかれて、心の底から感動していた。そして、実際にリニア見学センターに行き、磁石の極が猛スピードで入れ替わってリニアが進む仕組みや、その安全性を目の当たりにして興奮していた。

それで、家に帰ってその内容を両親に話すと、分かっていたつもりのことが、本当には分かっていなかったと気付き、もう一度自分で調べてみた。するとやはり、分からないことばかりなのだ。たしかに、沢山の科学者たちの研究の積み重ねの上にある現在の技術が、すぐに理解できるわけがない。この合宿で受けた講義は、その分野の研究の触りなのである。しかし、それを第一線で活躍されている先生方から教わったことは、本当に貴重な体験だったと思う。

私は今まで、光や磁力、宇宙などにあまり興味を待っていなかったが、実際に研究されている先生方の話には引きつけられた。様々な分野の研究が未来のためにしようとしていることの面白さを知った今こそ、たくさん勉強して色々なことを知りたい。それが私の可能性を広げてくれるだろう。だから、私は合宿で学んできたことをもう一度じっくり考えたい。

また、この合宿では全国各地に同学年の友達ができた。沢山の楽しい仲間とともに、刺激的で魅力あふれる講義を受けたこの九日間を、私は一生忘れない。先生方が私たちに送ってくださったメッセージを心に刻んで、好奇心を持って自分の世界を広げ、疑問は徹底的に追求していく姿勢で、科学者を目指したいと思っている。
(15番  菊池惟子 )

人生最高の科学塾
僕はこの「創造性の育成塾」で過ごした数日間の間に、先生方や運営委員の方々、そして塾生のみんなからたくさん大切なことを学びました。そしてこの塾で過ごした9日間は、僕の人生の中で最高の体験であり、最高の宝物です。

ここでの講義や実験はどれも楽しいもので、飯島澄男先生のカーボンナノチューブの話、津田雄一先生の小惑星探査機はやぶさの話や北澤宏一先生の超伝導体の実験、実際に外に出ておこなった天体観測やパスタをまとめてつなげて橋を造ってコンテストをしたりと1つ1つの講義の中で驚いたり、深く考えさせられたりと、とても心に残っています。

その中でも特に興味を持ったのは、軽部征夫先生の「生物の優れた機能を応用する」という講義でした。クローン技術を利用して将来的に食糧の確保や希少・絶滅危惧動物の保護、更には恐竜などの絶滅した動物の再生までもできるかもしれないと知った時、とても驚いて「科学技術の進歩はこれまでの常識を大きくくつがえして行くんだなぁ」と感心しました。また、キメラ動・植物の仕組みやその技術の応用先などを聞いて、キメラを作る技術は幅広い可能性と相応のリスクとデメリットを合わせ持っているということを知りました。

科学技術というのは、進歩すれば進歩するほど便利さに比例して使い道を誤ったときの危険性も上がっていきます。だから、これからを生きていく僕たちはよく理解して自然界とのバランスを大切にしていかないといけないと思いました。

富士山五合目の自然観察では、普段生活している中では絶対に触れることのできない富士山の自然にふれる事が出来て、雲海など生まれて初めてみる景色がとても感動的でした。また、リニアモーターカー見学では初めて見るリニアモーターカーのスピードと風と迫力に圧倒されました。いつかリニアモーターカーが今の新幹線のように乗客を乗せて街の中を走っている姿を想像して、ワクワクしました。

坂村健先生の「ユビキタス・コンピューティング‐どこでもコンピュータの世界‐」で、いつか町中様々な場所にマイクロコンピュータを埋め込めば、更に僕たちの生活が便利になっていくという、少し昔なら夢物語だったような世界が実現するかもしれないという話を聞きました。科学というのはどんな世界でも実現していけるような力を持っているんだなぁと感心しました。

そして塾で長期間自主生活をして、集団生活やルールの大切さを学びました。その中での、仲間たちとの新鮮な関わり合いも僕にとって大きな刺激になりました。

この創造性の育成塾に参加して感じた感動や驚き、先生方の講義から学んだこと、塾で出会った仲間のことを僕は決して忘れません。この塾で学んだことを活かして、また講義をして下さった先生方のようにしっかりとした信念と意志を持って、これからの人生を歩んで行きたいと思います。
(25番  苗加俊毅 )


創造性の育成塾
僕は、この合宿で学んだことが、4つあります。

1つ目は、初めて汽車と新幹線に乗ったことです。僕は、汽車と新幹線に乗ったことがなかったのでいろいろ不安でした。そして、汽車と新幹線に乗っているうちに、乗り物に弱い僕は、だんだん酔っていってしまい体調が悪くなってしまいました。しかし、ちゃんと乗り換えできて、無事に着くことができてので、とてもいい経験になりました。

2つ目は、有馬朗人先生の開塾式で、「科学技術は面白いし美しい」という講義を聞いたことです。そのなかで「ゆとり教育は間違っていなかった」という内容がありました。この話を聞いて、今まで、ゆとり教育で学力が下がったとマスコミの人たちが騒いでいたので、僕は、とても驚き、じゃあどうしてそんな風にマスコミの人たちが騒いでいたのだろう?と思いました。その答えは、話を聞いていくうちにだんだんわかってきました。それは、マスコミの人たちがよくデータを見なかったためだったそうです。僕は、この話を聞いてとても安心したし、もっと向上するといいなと思いました。

3つ目は、「生物の優れた機能を応用する」です。この講義の中に、古代に絶滅した恐竜を生き返らせられるかもしれない、という内容があったからです。僕は、恐竜が好きなのでこの話を聞いて、自分でも恐竜を生き返らせたいと思いました。だから、もっと技術が進歩して早く恐竜を生き返らせられるように頑張ってほしいです。

4つ目は、「炭素繊維にかける夢」です。炭素繊維の織物は、鉄より10倍硬くて、鉄の4分の1の重さと、とても変わった製品です。この製品を使った飛行機をつかうと、Co2の排出量が1年間でおよそ140トンも減るそうです。この話を聞いて、僕は簡単な話ではないけれど、もっとこの炭素繊維の織物を利用してほしいと思いました。僕はこの製品を利用して、潜水艦を作ってもっと深海の生物を見てみたいと思いました。

最後に、とてもいい経験をさせていただいて、本当にありがとうございました。
(26番  野口高寛 )


「創造性の育成塾」夏合宿に参加して
僕はこの合宿に参加できてとてもよかったと思います。改めて、この合宿のために力を尽くしてくださった皆さんにお礼を言いたいと思います。ありがとうございました。

僕は全国から集まる40人の仲間が、どの選考問題にどんな回答をして選ばれたのかとても興味がありました。だから、僕の希望としては研修所でみんなのアイディア(回答)が壁新聞みたいに貼ってあって見ることができたらよかったと思いました。

この合宿の中で、僕が一番感銘を受けたのは、榊原定征先生の「炭素繊維にかける夢」という講義でした。何に感激したかというと、炭素繊維で作った飛行機を飛ばそうという「クロウプロジェクト」に研究者たちが一丸となって取り組んだ「企業としての情熱」に心をうたれました。やはり研究や技術は人や社会の役に立ってこそ輝くものだと思いました。

榊原先生が夢を持ってから、実現するまでに40年かかったそうです。夢を実現することは、簡単なことではないけれど、それだけ長い間追い続けるほどの夢を持てたら、幸せなことだと思いました。そして、榊原先生の次の夢は炭素繊維で自動車を作ることだそうです。どんどん夢が広がっていくのがすごいと思います。

僕は大好きなロボットや乗り物に関係することで、人や環境の役に立つ仕事をしたいので、そのためにいろいろな勉強をすることが大切だと実感しました。

他の講義や実験でもいろいろなことを学びました。難しいものもありましたが、どれも内容が濃くて、あっという間の9日間でした。「パスタでブリッジ」のコンテストでは、高倉君と作った作品で本選に出場できてうれしかったです。

講義以外にもたくさんのことを学びました。合宿に参加する前と後で、変わったことは、自分の視野が広くなったことだと思います。やはり、全国から集まった仲間はレベルが高いと感じました。

世界はとても広いので、人間関係でも成績でも学校という狭い世界の中で一喜一憂していてもはじまらないと実感しました。同時にのんびりしてもいられないと思いました。沖縄は離島というハンデがありますが、志を高く持って努力していかなくてはいけないと改めて思いました。

また、決められた時間内で作業することやグループでの作業に、自分の課題があることもわかりました。その点はこれから努力していきたいです。

僕はこの合宿で出会った仲間たちとこれからもホームページなどで交流し、刺激し合いながら成長していきたいです。

そしていつか僕も、社会に貢献できるような仕事をしていきたいと思います。
(27番  早川匠 )


創造性の育成塾
僕が創造性の育成塾を知ったのは、「知りたいやつはついてこい!」を読んだことがきっかけです。本を読んで、授業のレベルの高さに驚き、「中学二年生になったら僕も絶対に応募しよう」と、その時に決意しました。

応募した時は「全国から四十人しか選ばれないから、僕は無理かな」と思っていました。だから、理科の先生から「選考に通った」と聞いた時は本当にうれしかったです。

僕の周りには科学好きな友達があまりいません。だから塾生のみんなに会うのが本当に楽しみでした。合宿前にみんなの自己紹介を読んだ時は、個性豊かなメンバーに早く会いたくて、新幹線に飛び乗って先に待っていようかと思ったくらいです。

合宿は、想像していた以上にすごい経験の連続でした。世界的な先生方のぜいたくな講義や、小さい頃からの夢だったリニアモーターカーの見学、普段はできないような面白い実験など…。どの授業も忘れられません。

中でも僕が一番楽しみにしていた授業は、津田雄一先生の「小惑星探査機・はやぶさの冒険」でした。前に、先生が学生時代に開発した小型衛星についての本を読んでいたからです。僕はこの本を読んで、将来は人工衛星を作る仕事に就きたいと思いました。なぜなら、僕は小さな頃から宇宙と「ものづくり」が大好きで、自分に向いている気がしたからです。

実際に授業を受けてみて、先生のお話はとても心に響きました。世界中を探しても今まで一度も作られたことのないような、新しいものを作る…やはり「はやぶさ」の開発はすごいと思いました。最後に先生はこうおっしゃいました。

「ものを作っていく中での発明・発見が勉強であり、机の上の勉強だけが勉強ではない。発明・発見の過程が勉強なのだ。」

僕はこの言葉を聞いて、「僕も宇宙での『ものづくり』、発明・発見を目指してがんばろう」と思いました。

「ものづくり」については、有馬朗人先生は「変圧器を作ってごらん。」坂村健先生も「コンピューターを作ってみなさい。」とおっしゃいました。他の先生方も、自分で工夫すること・自然から学ぶことの大切さについて話して下さいました。僕は、「創造性」は机の上の勉強だけでは育たないんだと気づきました。

合宿では他にも大切なものを得ることができました。それは、理科好きな仲間達です。日本全国離れていても、お互いのことを報告しあったりして、これからも交流を続けていきたいです。

飯島澄男先生は「偶然はよく準備した人に微笑む。だから、準備をすればみんなも科学者になれるよ。」と言って下さいました。これから塾生みんなで刺激しあって、将来は同じ志を持った科学者になって、世の中に貢献することができたらいいと思います。

最後に、これまで素晴らしい講義をして下さった講師の先生方、スタッフ及び関係者の方々、四期生の仲間たちに感謝したいと思います。ありがとうございました。
(28番  平山健太 )
   
   

 


+ 夏合宿のトップページ

+ 合宿時間割
(各授業の詳細はこちらからご覧下さい)

+ 創造性の育成塾のトップページに戻る

 


ページおよび動画の閲覧にはWindows Media Player9以上Adobe Readerが必要です。各サイトからプラグインをダウンロードして、ご利用ください。