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8月8日の時間割 2時限目

 

10:10~12:00

北澤 宏一(きたざわ こういち)先生

(科学技術振興機構 理事長)

実験「液体窒素を用いて高温超電導体と磁石の相互作用を考察する。安定磁気浮上の体験など」 

授業内容

リニアモーターカーの見学と仕組みの解説、超伝導についての講義を受け、いよいよ超伝導実験の時間です。
北澤先生は、初めに「理科はすでに分かっていることを学ぶこと。科学は分からないことを分からせていくこと」と前置きし、実験を始めました。

課題は「超伝導体と磁石の違いを考える」こと。 超伝導体を液体窒素で冷却し、強力な磁力を持つネオジウム磁石を上から近づけてみます。すると磁石は反発し、超伝導体の上に留まることができません。何とか磁石を超伝導体の上に固定しようと試みる塾生たち。どうにかすべてのグループが、磁石を浮かせることに成功し、押したり持ち上げたり回転させてみたりと、思い思いの方法で実験してみました。

しかし夢中になりすぎたのか、「実験結果を言葉で発表してください」と言うと、方法や結果をうまくまとめることができないグループも。
「色々な実験の結果をうまくひと言でまとめる人がどこかに出てくることで、次に調べるべきことがわかります。そうして科学は発展していきます。」

北澤先生は、実験の「結果」と「感想」「推論」を区別しながらそれぞれの発表を聞き、「超伝導体は磁石との距離を記憶する」という仮説を提示。その上で、再度実験を行いました。
前回の反省から、実験の方法や結果について塾生同士で議論する姿も。今度は、角度の違いや回転などについてまとめ、落ち着いて発表することができました。

北澤先生はこの結果を、超伝導の不思議な性質「ピン止め効果」として解説。また、超伝導技術によって地球の磁力線を補完しようという壮大な構想も語ってくれました。
超伝導の第一人者による実験授業。
塾生たちにとっては「科学」の考え方に触れ、人に伝えることの大切さを学ぶ貴重な機会となりました。

授業はストリーミング動画で公開中。ぜひご覧下さい

動画で見る

動画の公開は終了しました。

講師プロフィール

1943年長野県生まれ。68年 東京大学工学系大学院工業化学専攻修士課程修了。72年MIT(マサチューセッツ工科大学)博士課程修了。工学博士。87年東京大学工学部教授。専門分野は物理化学、固体物理、材料科学、磁気科学、超電導工学と幅広い。特に高温超電導セラミックスの研究で国際的に知られ、80年代後半には、高温超電導フィーバーの火付け役を果たす。日本学術会議会員。96年 超伝導科学技術賞、2002年 紫綬褒章受賞。