8月6日 (月) 1時限目~2時限目

 

09:00~

北澤 宏一

科学技術振興機構 顧問、東京大学 名誉教授

講義 「超電導と自然エネルギー地球革命」

実験 「液体窒素を用いて高温超伝導体と磁石の相互作用を考察する 安定磁気浮上の体験など」 

 

【授業レポート】

 

 


大学院生でも正確に理解することが難しいという超伝導の仕組みを解説。摩擦や抵抗がゼロになるマイスナー効果は、それまでの物理学の常識では起こるはずがないため、北澤先生自身、「完全に摩擦がないなどということがあっていいのか?」と疑ったという。

 

 

 


これまで日本は温暖化対策として原発を推進してきたが、リスクも大きかった。世界では再生可能エネルギーへの転換が始まっている。北澤先生は、電気抵抗のない超伝導の電力ネットワークを地球全体に張り巡らせ、自然エネルギーによる電力を全世界で共有する、という夢を持っている。計画は100年先を見つめ、少しずつ始まっている。

 

 

 


宇宙線から地表を守っている地磁気は時間と共に減ってきている。まだその仕組みはわかっていないが、赤道に何重にも超伝導ケーブルを巻いて電気を通すことで、減っていく地磁気も維持できるはずだという。北澤先生の壮大な計画だ。

 

 

 

 


休憩を挟んで、超伝導の実験。実験に使う強力なネオジム磁石や液体窒素、超伝導体の取り扱い方についてレクチャーを受ける。

 

 

 

 


液体窒素で冷やした磁石に超伝導体を近づけてみる。強い反発が起こり、超伝導体は飛び出してしまう。磁石の向きや温度を変えて色々やってみる。

 

 

 

(↑動画を再生できます)

 


試行錯誤の末、ついに静止した状態で浮かせることができた。超伝導体は動かそうと持ち上げると、磁石の方もついてくる。軽くつつくと回転を始めた。

 

 

 


夢中で記録撮影。目の前で見るのは、やはり面白い。

 

 


北澤先生の解説。どのように実験してどのような結果を得たか班ごとに発表し、正しく現象を再現できたのか検証していく。磁石に近づけた時の超伝導体の温度によって、現象の起こり方が変わってくることが分かった。

 

 

 


磁力を記憶するピン止め効果など、超伝導体になにがおこっているかを学んでから再び実験。原理がわかると、超伝導体を浮かせることも簡単にできた。

 

 


超伝導現象の体験とともに、実験・観察・考察・検証という「研究」の正しい形も体験した。午前中をめいっぱい使った授業は、北澤先生への感謝の拍手で終わった。

 

 

 

 

 

 

【講師ご紹介】

略歴:
1943年長野県生まれ。
1968年 東京大学工学系大学院工業化学専攻修士課程修了。72年 MIT(マサチューセッツ工科大学)冶金および材料科学専攻博士課程修了。同校・セラミックス部門研究員 DSR staff(Division of Sponsored Research) 、東京大学工学部助手、講師を経て、87年 東京大学工学部教授。
2002年 5月 科学技術振興事業団 専務理事
2003年10月 独立行政法人科学技術振興機構 理事
2007年10月 同 理事長
2011年10月 同 顧問

工学博士。専門分野は物理化学、固体物理、材料科学、磁気科学、超電導工学と幅広い。特に高温超電導セラミックスの研究で国際的に知られ、80年代後半には、高温超電導フィーバーの火付け役を果たす。
日本学術会議会員。96年 超伝導科学技術賞、2002年 紫綬褒章受賞。