8月6日 (月) 4時限目

 

15:00~

山下 俊一

福島県立医科大学 副学長

講義

科学技術文明の光と影;原発事故と放射線の健康影響

 

【授業レポート】

 

 


育成塾での講義に原爆記念日を選んできた、という長崎出身の山下先生。「原子力発電と原爆は根本的に違うもの」として、今日は「リスクを理解する」をテーマに講義を始めた。

 

 


科学の進歩がもたらした惨禍の代表例である、長崎の原爆被害について耳を傾ける。当時は被曝者に対する偏見も強く、不当な差別も多かった。

 

 


レントゲン博士が発見したX線は当初はとても便利に使われたが、放射線被曝による障害や、白血病が多発した。被曝すると、放射線の電離作用により体内で「フリーラジカル」(水素の不安定な原子)が発生し、細胞や遺伝子を傷つけるが、フリーラジカルはミトコンドリアの活動によっても、日常的に発生している。

 

 


強い放射線が人体にどのような影響をもたらすか、真剣に聞く。グレイ・ベクレル・シーベルトといった放射線と放射能に使われる単位の正しい見方を学ぶ。また、リスクを正当に評価することについて、物理学者・寺田寅彦の「正しく怖がる」という言葉も紹介された。

 

 


細胞が増殖する様子と、放射線で傷ついた細胞が増殖しなくなった様子を映像で見る。どのくらいの放射線被曝が危険かは、増殖によって細胞が修復されるかどうかに関わっている。

 

 


塾生からは、原発は怖いと思っているが「正しく怖がる」ということは勉強になった、という感想も。山下教授は、科学技術には光だけでなく影の部分もある。そのリスクを正しく理解してほしいと述べた。

 

 

 

 

 

【講師ご紹介】

略歴:
1952年長崎市生まれ。
1978年長崎大学医学部卒業。1984年から3年間米国UCLA-Cedars-Sinai Medical Center留学(ホルモンの分子生物学研究)、1990年長崎大学医学部原爆後障害医療研究施設教授。
その後チェルノブイリ医療協力、セミパラチンスク核実験影響地域改善プロジェクトに参画し、2005年から2年間WHOジュネーブ本部放射線プログラム専門科学官として勤務。
2009年から長崎大学大学院医歯薬学総合研究科長。
2011年3月福島原発事故後県のアドバイザーとして招聘され、7月以降福島県立医科大学副学長として県民健康管理調査事業を担当。現在日本甲状腺学会理事長、WHO緊急被ばく医療センター長、日本学術学会会員。
専門分野は内分泌学・甲状腺学・国際放射線保健学。英語論文431編、邦文論文222編。

受賞歴:
ロシア友好勲章、フランシスカ・スカリナ勲章(ベラルーシ)、日本甲状腺学会三宅賞、日本医師会最高優功賞、朝日がん大賞など