第2回夏合宿 まとめ

 第2回「創造性の育成塾」夏の合宿は、山梨県の富士山の麓で繰り広げられた。
全国から選ばれた理科好きの中学二年生40人はノーベル賞受賞者の白川英樹さん、李遠哲さん(台湾)をはじめ、女性宇宙飛行士の山崎直子さん、メーカー企業の研究者、それに中学校の理科の先生たちによる講義と実験、さらに財界のトップの講話に接し、多くのことを学んだ。9日間の合宿を運営に携わった全国中学理科教育研究会の龍崎邦雄会長と当ブログで連日、講座の模様を報告した報道担当伊奈恵子の2人が振り返った。

塾を振り返って =龍﨑 邦雄・全中理会長

 この合宿の一日八時間にもおよぶ集中授業は、期待以上の成果を上げることができたように思います。

 有馬先生の「なぜ」の話から始まった授業は、ノーベル賞受賞者の白川英樹先生、李遠哲先生を始め、各界の著名な方々、観察・実験名人の先生方など、普段の授業では決して受けられない素晴らしい授業でした。
 全国から選ばれた42名は、どの授業も目を輝かし、必死に理解し吸収しようとする意欲が感じられ、日増しに質問も増えてきました。そして、素晴らしい授業に歓声が上がるなど多くの感動と体験を通して、講師の先生のねらいを的確に理解するとともに、科学の楽しさや大切さを実感したものと思います。
生徒の多くが、授業を通して「発想の転換」を余儀なくされたと述べていました。これこそ正に創造性の育成に繋がるものではないかと感じました。また生徒は、学習や研究の目的は自分の利益のみでなく、多くの人の幸せのためだと認識を新たにするとともに、将来の夢や目標を明確にしたことと思います。

この塾で学んだ42名が、生涯にわたり友情を深め良き友として、科学技術の発展に共に寄与してくれることを期待しています。

豪華な講師陣に、120%で応えた塾生たち =伊奈 恵子・事務局スタッフ

 ノーベル化学賞受賞者から宇宙飛行士まで、望むべくもない豪華な講師陣による授業は、中学生に対するものだったが、かなり高度な内容だった。それを塾生たちは、目を輝かせて聞き、ノートにとった。塾生一人一人に響いたようだった。

 何より印象に残ったのは、9日間通して、塾生の集中力である。実験の間は、一目盛りの狂いも出すまいとビーカーや量りに向かう。また授業の最後には必ずといっていいほど質問が飛び出し、講師の先生方もそれに対して時間も忘れるほど真剣に応えて下さっていた。そして授業の合間には、寸暇を惜しんで外に出てはバレーボールなどに興じ、ピアノやバイオリン、絵を描くなど、何に対しても全力投球な彼らの姿に、大きなエネルギーを感じた。
 ノーベル化学賞受賞者の李遠哲、白川英樹両氏は、「ノーベル賞は目指すものではない。結果についてくるもの」と、目標は広く持つようにと指針を示す。そしてこの両氏や、黒田玲子東大教授など、多くの先生方がアドバイスしていたのは、「広くいろいろなことに興味を持つ」ということ。
示し合わせたわけではないのに、「科学」というテーマの下に集まった講師の先生方がさまざまなところで同じことをおっしゃっていたのが印象に残った。
そして講師の先生方にアドバイスされるまでもなく、広くさまざまなことに興味を持つ塾生たちを、頼もしく思った。

 8泊9日という長いようで短い日程であったが、この間、塾生はとても密度の濃い時間を過ごした。たくさんのことを学び、スポンジのように吸収していく塾生を見ていて、科学の楽しさを改めて感じ、これをきっかけにまた新しい分野にも興味をもち、さまざまな場面で花開いていってほしいと期待した。

※「創造性の育成塾・夏季合宿レポート」(2007年)の記事を事務局にて再編。再収録しました。
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