合宿2日目の1時限目は、人工知能、深層学習、ウェブマイニングが専門の松尾豊先生による、人工知能×進化生物学がテーマの講義です。
松尾先生によると、現代における多くのことは、進化生物学とAIで説明することができるとのこと。
例えば、人間の性質のうち、好奇心などの「知能によるもの」は、AIにも模倣できますが、生存に直結する本能や感情などの「進化によるもの」は生き物にしかなく、模倣できないといいます。
ということで、今回は、人間行動学、生物人類学、進化生物学が専門の森田理仁先生とともに、知能やAIに関する様々な疑問に迫ります。
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まずは、松尾先生の講義です。
「人工知能を知ることは、人間を知ることとほぼ同じです。」とのこと。「知能って、なんだと思います?」と塾生たちに問いかけます。
実は、この答えはまだよく分かっていないそうです。ただし、人間の脳が私たちの思考や認識を生み出していることは確か。脳の働きを人工知能で模倣することが、知能そのものへの理解に繋がると言います。
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続いては、人間総合科学大学の森田先生の講義です。
生物の一種としての「ヒト」を理解したいという森田先生。初めに、進化生物学の考え方について説明してくださいました。多くの動物の行動は、生存と繁殖が優先されるというルールでほぼ説明・予測ができるそう。ただし、ヒトは完全には当てはまらず、例えば少子化のように、生き物として一見不思議な行動をとることがあるとのことです。
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後半は、松尾先生と森田先生の対談形式で人工知能と進化生物学について考えます。
松尾先生がよく質問を受けるという、「人工知能が進化したら人間を襲うのか?」「人間の仕事はなくなってしまうのか?」「人間は何を勉強したら良いのか?」などのトピックスについて話し合っていきました。
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また、夏合宿の重要なテーマである「創造性」にも触れ、”AIも創造ができるようになってきたが、人間との違いはどこにあるのだろう?”といった疑問を投げかけました。難解ですが興味深い議論に、塾生たちも必死でついていっているようでした。
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質疑応答では、「人間は今後も進化しますか?」「脳とコンピューターの違いはどのように現れるのですか?」といった質問が活発に飛び出しました。
AIと生物学という一見関係のない二つの分野が、どちらも人間を理解するうえで重要であることを示してくださった講義でした。
(15期生 日吉雪乃)