「SDGs・VUCA・AI 時代を生きる君たちへ」鈴木 寛 創造性の育成塾 塾長代理

4時限目は、創造性の育成塾の塾長代理であり、さまざまな方面でご活躍されている鈴木寛先生の講義です。
(*今回は、急遽オンラインでの講義になりました)
先生が主宰するすずかんゼミは1000名を越え、そのゼミ生たちはメディア、教育、ITなどさまざまな分野で活躍しています。「なんでもいいのでぜひ質問してください」と、塾生たちに講義中いろんなことを思考するよう呼びかけて講義は始まりました。

先生は高校3年生まで理科と数学が好きで、脳科学をやりたいとも思っていたが、そういった研究を応援する側になりたいという思いが芽生え、このような道を歩まれたとのこと。高校で一生懸命学んだ数理に関する知識は、研究者がどのような研究をしたいのかなどを理解することに有用であり、決して無駄にはならなかったと話されました。
現代は、技術革新が起こり、社会構造も安定した「卒近代」。「皆さんは、まさに新しい時代を作っていく世代『エポックメイカー』である。どんな時代も無名の若者が時代を変え、のちに有名になった」と話されました。

近年、生成AIが急速に発展したAIについて。
AIネイティブとも言える塾生たちに、ある問いを投げかけました。それは、コロナ患者を受け入れる際、優先順位をどう決めるかということ。選択肢には、重症度、治癒にかかる期間、治癒の可能性、治癒後のその人の社会における有用性、治療後の余命の長さ、これまでの社会貢献度、先着順、抽選などが挙げられ、塾生たちは、優先順位を1から3まで決めました。ペアで話し合って結論を出しますが、最初から2人の意見が一致しているペアはいませんでした。

こうした哲学的な要素が含まれる問題を生成AIに問うと、有名な生成AI同士でも回答は異なるそうです。「自分の正義についての考え方は、どういう考え方なのか自己認識してほしい。自分と違う考えの人は、間違っているのではなく、自分もその人も正しい。」と塾生に訴えました。

他にも、受験生への認知増強薬物の処方や家庭内暴力常習者への医療介入などの措置の是非についても塾生に問いました。答えはやはり人によって大きく異なり、これは国によっても大きく異なるそう。このような疑問が科学哲学や科学倫理、法学に繋がっていくと最後に締められました。

また「人間の尊厳とは」という塾生の質問には、「どんな人もこの世に生まれている限り、大切にされること」と答えられ、塾生たちに「人間の尊厳が輝けるような科学がどのようなものであるか考えてほしい」と問いかけました。

(13期生 五十嵐瑶希)