各分野で活躍する講師陣を順次ご紹介。(時間割順)
五神 真 創造性の育成塾 塾長・理化学研究所 理事長
現職:
国立研究開発法人理化学研究所 理事長
東京大学大学院理学系研究科 特任研究員
東京大学未来ビジョン研究センター 客員教授
略歴:
1976年私立武蔵高校卒業、1980年東京大学理学部卒業、1982年同大学院理学系研究科物理学専門課程修士課程修了。
1985年理学博士(東京大学)。
1983年同大学理学部助手、1998年東京大学大学院工学系研究科教授、2010年同理学系研究科教授、2012年同副学長、2014年同理学系研究科長を経て、2015年4月から2021年3月まで東京大学第30代総長。
2021年4月から同理学系研究科教授、2022年4月から理化学研究所理事長。2023年3月東京大学定年退職。
その他、
日本学術会議会員(第23、24期)、未来投資会議議員、科学技術・学術審議会委員、産業構造審議会委員、知的財産戦略本部本部員、内閣府・量子技術イノベーション会議・座長、Beyond5G推進コンソーシアム・会長などを務め、
現在は、経済産業省半導体・デジタル産業戦略検討会議・有識者委員 他。
研究業績:
専門は光量子物理学、物性物理学。
光量子物理学研究の第一人者であり、光と物質の相互作用と量子現象の研究、コヒーレント光技術、ナノ構造と光の相互作用に関する研究といった、光量子科学の広い分野を研究対象とし分野をリードする研究を推進。これら学術の産業応用への重要性、最先端の国内外の研究者連携のプロジェクトも多数統括してきた。
受賞歴・著作など:
第15回日本IBM賞(2001年)、第14回松尾学術賞(2010年)
Fellow of the American Physical Society(2012年)、Fellow of the Optical Society of America(2013年)。「電波の日」総務大臣表彰(2021年)。
著書:
『変革を駆動する大学:社会との連携から協創へ』(東京大学出版会) (2017年)
『大学の未来地図:「知識集約型社会」を創る 』(ちくま新書)(2019年)
『新しい経営体としての東京大学』(東京大学出版会)(2021年)
The University of Tokyo as a New Type of Management Entity: The Challenge of Creative Collaboration for the Future (University of Tokyo Press). (2021年)
中島 研吾 東京大学情報基盤センター教授、理化学研究所計算科学研究センター 副センター長
現職:
東京大学情報基盤センター・スーパーコンピューティング研究部門・教授
理化学研究所・計算科学研究センター・副センター長
略歴:
1985 東京大学工学部航空学科卒業,株式会社三菱総合研究所入社
1993 テキサス大学オースティン校航空宇宙工学専攻修了(MS)
2003 博士(工学)(東京大学)
2004 東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻
2008 東京大学情報基盤センター
2018 理化学研究所計算科学研究センター副センター長
研究業績:
数値流体力学,大規模並列アルゴリズムの研究に従事,近年は「自動チューニング機構を有するアプリケーション開発・実行環境(ppOpen-HPC)」 「計算・データ・学習」融合に向けた取り組み(h3-Open-BDEC),「量子・HPCハイブリッド連携」のためのシステムソフトウェア (JHPC-quantum)の研究開発を実施している。
受賞歴・著作など:
HPCN Europe 2001最優秀論文賞
平成20年度山下記念研究賞(情報処理学会)
平成22年度地盤工学会賞(地盤環境賞)
IEEE ICPADS 2014最優秀論文賞
HPC Asia 2018最優秀論文賞
PDCAT 2022最優秀論文賞
SCA(Supercomputing Asia)HPC&Achievement Award(Japan)(2023)
令和7年度文部科学大臣表彰(科学技術賞(科学技術振興部門))
梶田 隆章 東京大学卓越教授(宇宙線研究所)/ノーベル物理学賞
現職:
東京大学卓越教授(宇宙線研究所)
略歴:
昭和56年(1981年) 3月 埼玉大学理学部卒業
昭和61年(1986年) 3月 東京大学大学院理学系研究科物理学専門課程博士課程修了
昭和61年(1986年) 3月 理学博士(東京大学)
昭和61年(1986年) 4月 東京大学助手(理学部附属素粒子物理国際センター)
昭和63年(1988年) 4月 東京大学助手(宇宙線研究所)
平成 4年(1992年) 4月 東京大学助教授(宇宙線研究所)
平成 7年(1995年) 4月 東京大学助教授(宇宙線研究所附属神岡宇宙素粒子研究施設)
平成11年(1999年) 9月 東京大学教授(宇宙線研究所附属宇宙ニュートリノ観測情報融合センター)(令和6年3月まで)
平成11年(1999年) 4月 東京大学宇宙線研究所附属宇宙ニュートリノ観測情報融合センター長(平成28年3月まで)
平成20年(2008年) 4月 東京大学宇宙線研究所 所長(令和4年3月まで)
平成28年(2016年) 1月 東京大学特別栄誉教授
平成29年(2017年) 3月 東京大学卓越教授
令和 元年(2019年) 12月 日本学士院会員
令和 2年(2020年) 10月 日本学術会議会長(令和5年9月まで)
令和 6年 (2024年) 3月 東京大学定年退職
令和 6年(2024年) 6月 東京大学名誉教授
研究業績:
カミオカンデとスーパーカミオカンデで宇宙線が生成するニュートリノに関して研究し、世界で初めてミューニュートリノが長距離を走ると約半分に減っていることを発見し、ニュートリノ振動とニュートリノの質量の存在を発見。
受賞歴・著作など:
平成11年(1999年) 12月 第45回仁科記念賞
平成24年(2012年) 6月 日本学士院賞
平成27年(2015年) 11月 基礎物理学ブレークスルー賞(2016年)(スーパーカミオカンデ共同実験グループとの共同受賞)
平成27年(2015年) 11月 文化勲章受章、文化功労者
平成27年(2015年) 12月 ノーベル物理学賞 など
鈴木 寛 創造性の育成塾 塾長代理
現職:
東京大学公共政策大学院教授、慶應義塾大学政策メディア研究科特任教授、 社会創発塾塾長、日本サッカー協会参与、OECD 教育政策アドバイザー
略歴:
1982年3月 灘高等学校卒業
1986年3月 東京大学法学部卒業
1986年4月 通商産業省入省(~1999年3月)
1999年4月 慶應義塾大学環境情報学部助教授(~2001年3月)
2001年7月 参議院議員(〜2013年7月)
2003年11月 参議院文教科学委員会理事(~2007年、2009年1月~2009年7月、2011年10
月~2013年)
2004年8月 裁判官訴追委員(~2005年10月)
2007年9月 参議院政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会委員長(~2008年12
月)
2009年9月 文部科学副大臣(二期)(~2011年9月)
2014年2月 慶應義塾大学政策・メディア研究科教授(~現在)
2014年2月 東京大学公共政策大学院教授(~現在)
2014年10月 文部科学省参与(~2015年2月)
2015年2月 文部科学大臣補佐官(四期)(~2018年10月)
研究業績:
政策形成過程、政策デザイン、教育政策、医療政策、情報政策、NPO マネジメ ント、社会起業、情報社会、知価社会、ネットワークコミュニティ、医療・教育などのソーシャルヒューマンサービスの公共政策、科学・社会・イノベーシ ョン、情報教育などを 1997 年以来、ほぼ継続して教鞭をとり続ける。とりわけ、 「情報社会におけるソーシャル・イノベーション、ソーシャル・プロデュース」 をテーマに、通産省時代の 1995 年に自主ゼミを設立。中央大学総合政策学部、 慶應義塾 SFC、東大駒場キャンパスで続けてきた、いわゆる「すずかんゼミ」 の卒業生はじめ教え子は 1000 名を超え、IT ベンチャー、社会起業家、NPO 活動 家、官僚、メディア、教育、医療、産業界などで活躍中。例えば、被災地復興 ボランティア(人づくり、まちづくり)に関わる有力な活動をしている人材の 多くが、ゼミ出身者かゼミと強い関係をもっている。
受賞歴・著作など:
著書
『先生復活―にっぽんの「先生」を再生する 』(2007 年 ヒトメディア)、 『「熟議」で日本の教育を変える』(2010 年 小学館)、 『テレビが政治をダメにした』(2013 年 双葉新書)、 『熟議のススメ』 (2013 年 講談社)、 『ドラえもん社会ワールド 政治のしくみ』(2015 年 小学館) 『「卒近代」宣言』(2025年、エッセンシャル出版社) 他多数
坪倉 正治 福島県立医科大学 放射線健康管理学講座 主任教授
現職:
福島県立医科大学 医学部放射線健康管理学講座 主任教授
略歴:
東京大学医学部を卒業後、亀田総合病院や都立駒込病院などで血液内科医として臨床経験を積む。2011年の東日本大震災と福島第一原発事故後、福島県内の複数の医療機関で非常勤医として活動を開始し、南相馬市立総合病院では長年にわたり被災地の医療・公衆衛生に携わってきた。2018年4月より福島県立医科大学特任教授に就任、2020年6月からは同大学 放射線健康管理学講座 主任教授および放射線医学県民健康管理センター健康コミュニケーション室長を務める。
研究業績:
福島第一原子力発電所事故後、南相馬市や相馬市をはじめとする被災地域の医療現場に関与しつつ、避難が及ぼす健康影響や災害関連死の実態解明に取り組んできた。放射線による直接的影響の評価にとどまらず、避難や生活環境の変化がもたらす間接的健康影響に焦点を当てた研究を継続的に行っている。これまでに国内外で200本を超える論文を発表し、その成果は国連報告書等にも引用されている。得られた知見は、原子力災害対応や要配慮者支援に関する政策提言、制度設計、医療・福祉体制の改善に活用されている。
受賞歴・著作など:
福島原発事故後の医療支援や住民との対話を通じた放射線教育・健康管理の実践により、明日の象徴賞(2012年)、安藤忠雄文化財団賞(2020年)、みんゆう県民大賞(2021年)、科学ジャーナリスト賞特別賞(2025年)などを受賞している。これらは、現場に根ざした活動と社会的貢献が高く評価されたものである。
津田 雄一 JAXA宇宙科学研究所 副所長、はやぶさ2拡張ミッションチーム長
現職:
宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙科学研究所副所長
はやぶさ2拡張ミッションチーム長
略歴:
1975年広島県生まれ.
1994年桐朋高校卒.
1998年東京大学 工学部 航空宇宙工学科卒.
2001年東京大学 大学院 工学系研究科 航空宇宙工学専攻 修士課程修了.
2003年東京大学 大学院工学系研究科 航空宇宙工学専攻 博士課程修了.
2003年JAXA宇宙科学研究所助教,2015年同准教授,2020年同教授.
2008-9年 ミシガン大学およびコロラド大学ボルダー校 客員研究員.
2009年 小型ソーラー電力セイル実証機イカロス サブチームリーダー.
2011年 はやぶさ2プロジェクトチーム プロジェクトエンジニア.
2015年 はやぶさ2プロジェクト プロジェクトマネージャ.
2025年 JAXA宇宙科学研究所副所長
研究業績:
「M-Vロケット」の開発,小惑星探査機「はやぶさ」の運用に従事.また,ソーラーセイル宇宙船「イカロス」のサブチームリーダーとして,世界初のソーラーセイル技術の実現へと導いた.小惑星探査機「はやぶさ2」の開発にあたっては,プロジェクトエンジニアとして技術開発を指揮.2015年より「はやぶさ2」のプロジェクトマネージャ.「はやぶさ2拡張ミッションチーム長」.
専門分野は宇宙航行力学、宇宙機システム、太陽系探査.
受賞歴・著作など:
・受賞歴
学術振興会賞,内閣総理大臣顕彰,文部科学大臣表彰,市村学術賞,IAA Laurels for team achievement award等.
・著作
「はやぶさ2 最強ミッションの真実」(NHK出版)
「はやぶさ2の宇宙大航海記」(宝島社)
「はやぶさ2のプロジェクトマネジャーはなぜ「無駄」を大切にしたのか?」(朝日新聞出版)
上田 正仁 東京大学大学院理学系研究科教授
現職:
東京大学大学院 理学系研究科(物理学専科)教授
略歴:
1986年 東京大学理学部物理学科卒業
1988年 東京大学大学院理学系研究科物理学専攻修士課程 修了
1991年 理学博士取得 (東京大学)
1988年 日本電信電話株式会社基礎研究所 研究員
1992年 東京大学物性研究所嘱託研究員 (日本電信電話株式会社基礎研究所と兼務)
1994年 広島大学工学部第二類電子物性大講座助教授
2000年 東京工業大学大学院理工学研究科物性物理学専攻教授
2008年 東京大学大学院理学系研究科物理学専攻教授
研究業績:
大学院で最初に行った研究は光子数の連続測定の理論です。その後、メゾスコピック系の物理や多自由度系のトンネリングの研究を行いました。原子気体のボース・アインシュタイン凝縮が実現されてからは冷却原子気体の研究を行いました。また、情報と熱力学とを融合する研究を行いました。最近は、非平衡開放量子系や機械学習の基礎の研究を行っています。
受賞歴・著作など:
2002年 (財)松尾学術振興財団 松尾学術賞
2007年 文部科学省 文部科学大臣表彰科学技術賞研究部門
2008年 (財)仁科記念財団 仁科記念賞
2009年 日本学術振興会 日本学術振興会賞
著書
・「東大物理学者が教える『考える力』の鍛え方」
・「東大物理学者が教える『伝える力』の鍛え方」
・「創造力のレッスン」(PHP新書)
山形 俊男 東京大学名誉教授、国立研究開発法人 海洋研究開発機構 特別上席研究員
現職:
海洋研究開発機構 アプリケーションラボ 特任上席研究員、東京大学名誉教授
略歴:
九州大学応用力学研究所 助手、助教授;米国プリンストン大学地球流体力学プログラム 客員研究員; 東京大学 理学部地球惑星物理学科 助教授、教授;国際太平洋研究センター(ホノルル)プログラムディレクター; 海洋科学技術センター(現:国立研究開発法人海洋研究開発機構)地球フロンティア研究システム気候変動予測プログラムディレクター;東京大学 大学院理学系研究科副研究科長、研究科長/学部長 ;海洋研究開発機構 アプリケーションラボ 所長;京都大学 宇宙総合学研究ユニット 特任教授などを歴任;(現) 海洋研究開発機構アプリケーションラボ 特任上席研究員
研究業績:
世界の海に生起する海流や巨大渦などの大規模現象や海洋起源の気候変動現象の解明において多くの先駆的な業績を挙げ、世界の大気海洋変動予測科学を推進してきた。特に熱帯太平洋のエルニーニョ現象の発生理論を初めて提唱し、気候変動予測の基礎を構築した。また、インド洋の海洋大気結合現象である「インド洋ダイポールモード」現象を発見、命名し、気候変動におけるインド洋の役割についての理解を根本的に塗り変えた。また、従来のエルニーニョ現象とは異なる「エルニーニョもどき」現象の発見や、中緯度域の領域的な気候変動現象である「沿岸ニーニョ/ニーニャ」現象の存在を初めて指摘し、短期気候変動の理解と予測の研究において世界を牽引し続けている。一連の成果は、海流変動予測の実用化、世界最先端の予測精度を持つエルニーニョ現象の2年予測、ダイポールモード現象予測、および沿岸ニーニョ現象であるニンガルー・ニーニョやカリフォルニア・ニーニョの予測の成功へと結実し、所属機関からの予測結果は学界のみならず、防災、感染症対策、農業などにおいて国際的に利用されている。
受賞歴・著作など:
受賞等:日本気象学会学会賞、日本海洋学会岡田賞、学会賞、宇田賞、米国気象学会スベルドラップ金メダル賞、国際海洋科学協会プリンスアルバート一世金メダル、藤原賞、米国ウッズホール海洋研究所バー・シュタインバッハ学者、米国気象学会フェロー、米国地球物理学連合フェロー、日本地球惑星科学連合フェロー、南京情報科学技術大学榮譽教授、海外院士、フランス海洋アカデミー外国人連携会員、紫綬褒章、瑞宝中綬章 他
著書等:数十年から数百年の気候変動を決める海洋。岩波講座地球惑星科学11巻「気候変動論」69-101. 岩波書店;地球温暖化と予測科学・技術の進展。地球温暖化ビジネスのフロンテイア。23-52. 国際書院;地球史における海と地球の変遷。コモンズとしての海。22-45. 西日本出版社
大隅 典子 東北大学大学院医学系研究科教授
現職:
東北大学経営戦略本部アドバイザー
東北大学大学院医学系研究科 教授
略歴:
東京医科歯科大学歯学部卒、歯学博士。同大学歯学部助手、国立精神・神経センター神経研究所室長を経て、1998年より東北大学大学院医学系研究科教授。2006年より同大学総長特別補佐、2008年にディスティングイッシュトプロフェッサーの称号授与。2018〜2024年度、東北大学副学長(広報・ダイバーシティ担当)、附属図書館長を務める。内閣府健康・医療戦略参与等を歴任。第20〜22期日本学術会議第二部会員、第23〜25期同連携会員。TWAS Associate Member、EMBO Associate Member。
研究業績:
専門分野は発生生物学、分子神経科学、神経発生学。これまで、脳がどのようにできあがっていくのか、つまり「脳の発生」や「神経の発達」のしくみを研究してきました。特に、赤ちゃんが母親の子宮の中にいるときに、脳の神経細胞がどのように作られ、どのように正しい場所に移動して、繋がりを作っていくのかを、マウスなどの実験動物を使って調べています。最近では、父親が年をとることで子どもの脳の発達にどんな影響があるのか、また、その原因が「エピゲノム」と呼ばれる遺伝子の働き方の変化に関係しているのではないか、というテーマにも取り組んでいます。これらの研究を通じて、自閉スペクトラム症などの発達障害の原因を理解し、将来的にはその予防や支援につなげることを目指しています。高校生の皆さんにも、神経発生学に興味をもってもらえると嬉しいです。
受賞歴・著作など:
「ナイスステップな研究者2006」、 「和 4年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 理解増進部門」などを受賞。近著として『脳からみた自閉症 「障害」と「個性」のあいだ』(講談社ブルーバックス)、『脳の誕生 発生・発達・進化の謎を解く』(ちくま新書)、『個性学入門』(共同編者、朝倉書店)、『小説みたいに楽しく読める脳科学講義』(羊土社)、『女性が科学の扉を開くとき』(監訳、東京化学同人)など多数。