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スルメイカのオス・メスの見分け方
【今日のひとこと】 2008年2月27日

皆さんは、スルメイカのオスとメスを外見だけで(解剖せずに)見分ける方法、ご存知ですか?


メスの口のまわりの精子
僕は全く知らなかったのですが、先週の日曜日、大阪市立自然史博物館で「イカ・タコの体のつくりを調べよう」という催し物の補助スタッフをさせていただいたとき、学芸員の先生に教えてもらいました。

その見分け方は、「口のまわりに白いつぶつぶがあるのが、メス」「右第4腕と左第4腕(腹側の2本の足)の大きさや形が違っているのが、オス」です。

なぜスルメイカのメスは口のまわりに白いつぶつぶがあるのか、なぜオスの右第4腕と左第4腕は大きさや形が違うのかというと、生殖のしかたに秘密があります。


オスの交接腕と左第4腕(下が交接腕)
スルメイカは、オスが「精莢(せいきょう)」という精子の詰まったカプセルみたいなものを体内に持っていて、メスとの交接の際、交接腕という足を使って精莢をメスの口に突き刺します。その交接腕が右第4腕なので、オスでは大きさも形状も左第4腕と違っているのです。そして、精莢がメスの口に刺さった刺激によって精莢から精子が飛び出し、メスの口のまわりに精子が付着します。それが、白いつぶつぶなのです。

ところが、交接の時点ではメスは産卵できるほど成熟していないので、その後3~6ヶ月間、受精することなく、メスの口のまわりには精子が付いたままなのです。そして、いよいよメスが成熟して産卵する時期になると、漏斗(総排出口)から卵が出てきて、口のまわりに付いている精子と触れて受精完了、という仕組みです。

スルメイカは、交接にいたる前に求愛行動を行います。メスと出会ったオスは、足を前にして泳いだり(普通は胴体を前にして、漏斗から水を噴射して進みます)、収縮胞を調節して体色を変化させたりします。メスは、目の前のオスが気に入らない場合、さっさと逃げます。ただし、うっかりしていると、オスに無理やり精莢を突っ込まれたりすることもあるそうです。

脊椎動物の求愛行動では、たいていオスがダンスしたり、歌ったり、強いところを見せたりして、いい遺伝子を持ってるぞとアピールしてメスに選んでもらうシステムですが、スルメイカも同じですね。


動脈系を赤・静脈系を緑で染色したスルメイカ
もちろん、スルメイカは軟体動物で、脊椎動物より「下等」とされているわけですが、イカ・タコ類は無脊椎動物の中では最も知能が高いと言われており、ヒトの2歳児には開けられないようなネジ式のふたのついたビンもタコは軽々と開けられるくらいです。

ほんとに、生物の多様性と、それをもたらした進化は神秘だと感じます。折りしも、2月12日はチャールズ・ダーウィンの誕生日(今年は生誕199年です)。これからも、進化と生物の多様性についていろんなことを勉強したいと思います。

皆さん、今度、魚屋さんで丸のままのスルメイカを見つけたら、オスかメスか見分けてみてください。
(中山敦仁・1期塾生)