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温暖化の原因は人間が排出するCO2だけではない!
【今日のひとこと】 2008年3月17日

地球温暖化は、人間が排出する二酸化炭素が増えたことが原因――。

これが、地球温暖化をめぐる「定説」です。新聞を読んでもテレビを見ても、それを前提とした温暖化防止対策が奨励されています。

でも、温暖化の原因はそれだけでしょうか?

私が留学しているイギリスでは、温暖化が太陽活動によるものだと主張する科学者が少なくありません。先日、英国王立研究所の「金曜講話」を聞きに行きました。180年の歴史を持つこの行事は、著名な科学者が、科学に関心のある一般の人たちに、自分の研究についてわかりやすく魅力的に解説することをモットーにしています。

私が聴いたのは、太陽活動と地球温暖化の関係を調べている科学者の講話でした。彼女は「太陽観測の歴史が浅いので、データをこれからもっと積み重ねていかなければ、はっきりしたことは言えない」と言いながらも、「人間の活動だけが温暖化の原因と決めてしまっていいのか」という問題提起をしました。

確かに、解明作業が現在進行中の科学には、多くの謎や不確実さがあります。地球温暖化もその一つです。ただ温暖化に関しては、科学的な論争が決着するまで待っていると、取り返しのつかない結果になりかねません。だから「確からしい」とされる原因(人間による二酸化炭素排出)について対処しているわけです(これを「予防原則」と呼びます)。

もちろん、ほかにも確からしい原因があれば、それについてもきちんと調べのが科学的な態度といえるでしょう。私たちにとってもっとも身近な星・太陽。その新たな謎が解明されていくのは楽しみです。
(元村有希子・毎日新聞科学環境部記者=ロンドン留学中)