_blank
     
有馬塾長の朝日新聞記事「たいせつな本」を読んでください
【今日のひとこと】 2008年4月18日

4月13日の朝日新聞「たいせつな本」欄に有馬塾長先生のお話が載っていました。塾生の皆さん、そしてその他の皆さんにもぜひ読んでいただきたいと思い、有馬先生と朝日新聞の許可を頂いて下にコピーをおきました。

有馬先生が一冊の本に感激して自分の進路を若くして決め、世界の原子核物理学者になったことは、すばらしいことと思いませんか。先生は高名な歌人ですが、この本がそのきっかけになったようにも思えます。それもまたすばらしいことです。

実は、この本、アインシュタイン、インフェルト『物理学はいかに創られたか』は、私にも大切な本でした。高校生のとき、図書室で何気なくこの本を見つけて読み始めました。数式を使っていないので一見やさしく感じたのですが、どうしてどうして内容の奥深さに最後まで理解することが出来ず、途中で挫折しました。受験勉強もおろそかにして読んでいたことを思い出します。

私は、その内容をすべて理解することは出来ませんでしたが、この本の影響で、大学では物理学の勉強に進もうと最終的に決心しました。大学に入ってから、有馬先生の理論の授業にも出席しました。他の秀才と比べて理論ではとても太刀打ちできないことがわかりましたので、「自然を素直に見る」(東大宇宙線研究所長室にある有馬先生の額より)観測・実験に進みました。

幸い大学院ではノーベル賞受賞者小柴昌俊先生に拾っていただき、それからずっと楽しく研究生活を送ることができました。

2008年4月13日 朝日新聞
(戸塚洋二・東大特別栄誉教授、文化勲章)