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ケイソウについて そしてチャートの日本名
【今日のひとこと】 2008年5月01日

前回プランクトンについて書きましたが、そのなかにケイソウ(珪藻)も挙げました。ケイソウを光学顕微鏡で見る限り、長方形または楕円のような薄く平たいものに見えてしまうようですが実はちがいます。よく弁当箱のようと形容されるように大きい「ふた」の中に一回り小さい「底」が入った構造をしていますので立体なのです。ゾウリムシも草履(ぞうり)のように薄いものではなくラグビーボールのような立体です。

ゾウリムシをよく観察していると、この立体が回転しながら進むのがわかりますね。ケイソウも本当に多くの種類がありますが電子顕微鏡で見ると「弁当箱」であることがわかります。(「ケイソウ  電顕」などとして検索してみるとよいかもしれません。)とにかく、様々な模様・構造をもったケイソウの殻の電子顕微鏡写真には感動します。

さらにハネケイソウやクチビルケイソウのようにおもに単独で生活するものもあれば、オビケイソウやヌサガタケイソウのように縦または横にいくつか連なって生活するものもあり興味がつきません。(並んだヌサガタケイソウがすべるようにずれる運動を授業中にとらえる生徒もときどきいます。)

なお、中学1年で学んだ生物由来の堆積岩のうち、貝殻・サンゴやウミユリの骨格・フズリナ(=紡錘虫)の殻などはおもに石灰質=炭酸カルシウムでできており、「石灰岩」になるのでした。貝殻も石灰岩も白いのでこちらはイメージしやすいです。

一方の「チャート」はおもに珪酸質=二酸化ケイ素でできた殻をもつ放散虫(=ラジオラリア)・カイメン(英語でスポンジ!)・そしてこのケイソウなどからできたとされます(もっとも珪藻土にもなるのですが)。

ちなみにチャート(chert)に対する日本語は無いのかと聞く生徒がよくいるのですが、角岩や燧岩(すいがん)という名前が一応あります。「燧」の字は尾瀬の燧ケ岳に使われているとおり「ひうち」、火打ち石のことなのです。

時代劇で見かける、または仏壇にあるような火打ち石が実はチャートなのです。
(牧野  崇・品川区立荏原第一中学校教諭)