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フェニックス火星へ、そしてエコな宇宙の食卓
【今日のひとこと】 2008年5月27日

 
火星上のフェニックス想像図
日本時間2008年5月26日午前8時53分、火星に NASAの探査機フェニックスが着陸しました。これから、火星の北極に近い高緯度の着陸場所で、水や有機物があるかが調べられます。

火星の周回軌道からの観測で表面の浅い層にも水があることがわかっていたり、また南極でみつかった火星隕石の中に有機物である多環芳香族炭化水素が発見されていますが、フェニックスによる現地探査で何が新しくわかるか楽しみですね。

わたしたちは、科学者を火星に送り生命探査をするために、火星での食料や酸素を現地で農業をして供給しようという計画をたてています。

火星にはスーパー・マーケットもコンビニエンス・ストアはありません。みなさんは、体の大きさにもよりますが、一日に空気を8,000リッター(10 kg)吸い込み、酸素を500g以上使います。水は最低30kg(シャワーや洗濯でたくさん使うと200kg)使います。地球ではなにげなく吸い込む空気も、宇宙では人間が吐き出す二酸化炭素から酸素に変換しないといけません。それを植物の力でおこなおうというのが宇宙農業の考えです。肥料には、人間の排泄物や食べられなかった植物を堆肥にしてもちいます。

いろいろな作物のなかで何を育てようかと、人間が健康に暮らすために必要な栄養を狭い火星農場で栽培するには、どんなものがよいかを調べました。

コムギよりはコメ、タンパク源にダイズ、ジャガイモより食物繊維の豊富なサツマイモ、ビタミンなどがゆたかな緑黄色野菜、植物性食材では足りない栄養素があり、また火星で樹木を育てるということもあって、カイコのさなぎ、水田でイネを栽培しその水中にはドジョウという組み合わせが、栄養抜群で栽培面積も少なくてよいことがわかりました。

植物の光合成により食料ができれば、酸素も水も再生することができます。水は葉からの蒸散水を凝縮してつかいます。アカウキクサ(水棲のシダでラン藻が共生しており窒素肥料をつくる)の浮かぶ小さな田んぼに、黒米の芽生えが顔をだしたところです。

 
クロマイの芽生え    



1人一日分の食材です。どんな献立にしようかという研究も進んでいます。長寿で健康な生活をささえる日本食が火星での食卓をかざります。まえに紹介したキムチも健康・乳酸菌食品として加わるでしょう。サツマイモの一部を、アフリカの人たちの好物であるキャッサバにおきかえるのもよいかもしれません。とてもエコな食事です。火星に行く前に、日本発の宇宙食を地球で流行させようと思っています。世界の食料・農業問題解決の切り札になります。


フェニックス火星着陸画像ソース:http://fawkes3.lpl.arizona.edu/images.php?gID=0&cID=8

宇宙農業:http://surc.isas.ac.jp/space_agriculture/
宇宙キャッサバ:http://www.isas.ac.jp/j/mailmaga/backnumber/2007/back167.shtml
(山下雅道・JAXA宇宙科学研究本部理学博士)