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たたら操業
【今日のひとこと】 2008年7月28日

 「たたら操業」の様子
先日、勤務校の理化学部の生徒が、部の活動として「たたら操業」を実施しました。この活動は7年間続いており、部の中で代々受け継がれています。

「たたら操業」とは、以前にも「今日のひとこと」欄の中で触れましたが、昔の鉄の製法です。鉄は、現在は製鉄所の溶鉱炉で鉄鉱石(主成分は酸化鉄《Ⅲ》)とコークスから作られていますが、「たたら操業」では砂鉄と炭から作られます。

砂鉄は四酸化三鉄が主成分です。この四酸化三鉄を炭(炭素)で還元することによって、鉄を作るのです。現在の製法も原理的には同じですが、昔の人はこの酸化還元反応を利用して鉄を作っていたのです。

砂鉄は、神奈川県にある稲村ヶ崎の海岸までとりにいきました。一度の操業には20~30kgの砂鉄が必要となるので、操業数回分の100kgを部員全員でネオジム磁石を使ってとります。操業の前日は、煉瓦を組み立てて炉を作ります。当日は朝8時から火をつけて、夕方の3時か4時には鉄が出来ます。

今回も大きな鉄の塊(玉鋼)ができました。とても大変な作業ですが、鉄が出来たときの気分はとても良いものです。
(宮本一弘・開成中学校・高等学校教諭)