今日のひとこと
本当のエコってなんだろう? バードストライクと風力発電
【今日のひとこと】
2008年10月01日
突然ですが、みなさんは、「バードストライク」という言葉を知っていますか?
一般的にバードストライクとは、鳥類が、飛行機や電車などに衝突して死傷することをいいますが、今回、私が紹介したいのは、「風力発電」でのバードストライクです。
風力発電は、地球温暖化に資する技術の一つとして注目され、数が増え続けています。私の住んでいる地域にもたくさんの風車があり、そこは猛禽類が海外から日本に渡ってくるときの中継地点として有名で、毎年多くの渡り鳥が飛来してきます。その渡りの時期に、猛禽類が風力発電のブレードに巻き込まれ、多くが犠牲になるのです。
実際、ブレード自体ははゆっくりまわっていますが、モーションスミア現象によって鳥達は高速の羽が見えず、反対側の景色が透けて見えるために、気づかずに衝突してしまうのです。北海道では、特別天然記念物に指定されているオジロワシの死体もかなりの数、見つかりました。たった1基のタービンで年間54羽が犠牲になったこともあります。希少価値のある生物の死は、特に重大な問題です。
海外では、しっかりとした環境調査がされた上で、風力発電を設置しているので、被害はほとんどないのですが、日本は、環境影響評価法の適用外なので、費用も出ず、十分な対策が練られていないのです。さらに、風力発電は、発電量に比べて建設費等のコストが高くつき、エネルギー収支がよくない事実や、建設場所周辺の調査不足など、様々な問題が無視されつつあるのです。
もちろん、鳥が可愛そうだ!とか、風力発電が悪いからやめろ!というわけではありません。もっと発電効率が良く、環境や生物に配慮した風力発電の方法を考えてほしいのです。環境問題に対する取り組みも、複眼的に見なければいけないと感じています。自然との釣り合いをどうとっていくか。これから大きな課題になってくると思います。
最後に、日本鳥類保護連盟からのお知らせです!
バードストライクと思われる被害鳥を発見したら、
◇確認した日時
◇確認した場所
◇鳥の種名
◇風車とのおおよその距離
◇風車の写真
◇被害鳥の写真
◇バードストライクと判断した理由
(例)身体が切断されていた、風車の直ぐ近くに落ちていた、実際に衝突を見たなど
<連絡先>
調査室 藤井:fujii@jspb.org へご連絡下さい とのことです。
余談ですが、これから10月、11月とワシタカの渡りの季節がやってきます!たまには、空を見上げてみてくださいね。
(渡辺 奈央・1期塾生)
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