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研究について

【今日のひとこと】 2008年11月10日

ノーベル賞の受賞に関連して「研究とは?」という話題が盛り上がっていますね。とってもいいことだと思います。身近な?を感じ、自分なりに調べることがまず一歩ですね。

私が授業を受け持つ学校の新入生に毎年、話すことがあります。

「なぜ石けんで体を洗い、シャンプーで髪を洗い、歯磨き粉で歯を磨くのか?これを考えたことがありますか?」という質問です。たいていは皆、ぽかーんとしていますが、そんなこと考えたこともない!という生徒、何おもしろいこと話すのかなこの先生!という表情の人もいます。

実は、私は中学生のときに、「何で歯は歯磨き粉で洗うのか、石けんじゃダメなのか」「一回やってみよう」と石けんで歯を磨いたことがあるのです。「なあーんだ、泡立ちもいいし、口の中がきゅっきゅした感じになって石けんのほうがさっぱりするじゃん」などと思っていたのですが、口をすすいだら石けんでは歯を磨かない方がいいことがよくわかりました。臭いがきつく、一日中、水も米も石けん味でひどい目に遭いました。そのとき「歯磨き粉ってよくできているんだなぁ~」「口の中って肌よりずっと敏感なんだなぁ~」とつくづく感心したものです。

その後、歯磨き粉で髪を洗い、シャンプーで体を洗うなどをした結果、それぞれの商品はしっかり用途を考えられて製造されているんだな~と、バリバリになった髪をなでながら一人納得していたものです。当たり前なんですけれどね。

でも、当時の私はこのとき、与えられたものをただ受け入れるのではなく、ちょっとした疑問を実際に確かめてみることで、少しだけ、自分のものの考え方が深まった気がしました。実際に歯磨き粉について文献などで調べてみると、私にとって意外なことがたくさんあることに気づきました。こうした自分で確かめることの積み重ねが、自分を理科の教師の道に導いたと思います。

皆さんもどんなことでもいいので確かめることの大切さを忘れないで下さい。きっと自分にとって得るものがあるはずです。

ただし、自分で例に出していて申し訳ないのですが、ものを口にする実験は、危険ですからやめましょう。添加物など口の中に入れる物質の危険性を、しっかりと知っておく必要があります。

皆さんが商品を購入する際にも、製品の中にどんな成分が含まれているかを考えて購入できるようになったらすばらしいですね。
(小林 輝明・新宿区立新宿中学校主幹)