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動き始めた2009年生物学オリンピック
【第5回】 2008年1月18日

東京では先日初雪が観測されたそうですが、皆さんの地方はいかがでしょうか。

さて、来年2009年に日本で開催される国際生物学オリンピックの準備がいよいよスタートしました。科学オリンピック日本開催であると同時に、「理科離れ」「理系の学力低下」などが指摘されている時だけに、官・学関係者の熱意が込められた内容です。

今月9日に開かれた国際生物学オリンピック日本委員会の運営委員会(委員長、石和貞男・お茶の水女子大名誉教授)では、「科学(生物学)に興味と関心を持ち、理科の学力浮揚を目指すチャンス」と、とらえました。
この目標に沿った計画では……

(1) 国内選考を例年の4ヶ月前倒し
(2) 1次選考選抜者を例年の25人から80人に大幅に増やす
(3) 国内選考会の名前も「生物チャレンジ2008」と改める

……など日本開催へ向けて強化されたメニューが並んでいます。


スケジュール繰り上げ
1点目は、今まで10月上旬だった応募の締め切りを、6月6日に繰り上げ、その後の大会までの日程が全て約4ヶ月早まりました。これは、国際生物学オリンピックに参加する選手が選抜されてから、実際に出場するまでの特別教育の期間を長くするためです。

今まで約4ヶ月だった特別教育の期間が、スケジュールを繰り上げることで約7ヶ月となりました。この特訓期間で、選抜者には近くの大学で実験器具を借り、教授による特別教育を受けたり、インターネット上で問題を解くなどの教育が受けられる予定です。応募の期間は約4ヶ月と、今まで通りです。

一時選抜通過者が80名に
2点目は、第1次試験で選ばれる学生が、今までは25名だったのが、80名まで増えたこと。1次選抜での人数を増やすことで、より多くの人にこのチャンスに参加してもらおうという狙いです。

選考会の看板を変えた
そして3点目は、名前が変わったこと。今までの、「第○回~大会国内予選」の名前を改め、「生物チャレンジ(年)(○○大会国内予選)」となりました。オリンピック出場のためのチャレンジではなく、「生物チャレンジ」をした学生の中から選ばれた4人がオリンピックに出場するという、根本的なコンセプトの変化です。

これは、国際生物学オリンピックを目指すだけではなく、もっと幅広く国内で生物学への興味や関心を持って、チャレンジしてもらうことを目指しています。

以上の3つの点が、大きく変わったところです。この変化の背景に共通してあるのは、より多くの人に、生物学への興味を持って、チャレンジしてもらおうという想いです。 同委員会の今回の応募者の目標は2000人を超えることと高く設定。(2007年応募者は1400人)

多くの人にチャレンジしてもらうことで、国際生物学オリンピックを目標としながら、日本全体の科学(生物学)のレベルを上げ、日本の社会に役立つ人材を育成する。その実現のために、生物チャレンジにどんどん挑戦してください。
(事務局:伊奈恵子)
取材協力:国際生物学オリンピック日本委員会・日本科学技術振興財団