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2009年、生物学オリンピック日本開催。ダーウィン生誕200年
桜が咲き始めた3月23日午後、「中学生・高校生への生物進化学のすすめ」のサブタイトルで、国際生物学オリンピック・ハイスクールフォーラムが東京有楽町の朝日ホールで開かれ、生物学オリンピック挑戦を目指す中・高校生と、その父兄らが参加しました。
開会の挨拶で、生物学オリンピック日本委員会の毛利秀雄委員長(東大名誉教授)が、「来年2009年は第20回国際生物学オリンピック(IBO)が日本で開催される。この年はダーウィン生誕200年、「種の起源」発表150年にあたる記念の年でもある。「生物の年」として世界的に各種の催しが繰り広げられる」ことを紹介した。最後に「多くの人が生物学に興味を持って欲しい、若い中高校生は生物学オリンピックに挑戦して欲しい」と呼び掛けた。
<第1部:ハイスクールレクチャー>
1.「生き物をめぐる『なぜ?』:ダーウインと博物学」
講師:長谷川眞理子・日本進化学会会長(総合研究大学院大学教授=先導科学研究科・生命共生体進化学専攻)
(要旨)
●生物は名前が付いているだけで180万種、それだけ多様である。
●どんな生物もしていることは
1.「生きて」2.「複製して(繁殖して)」3.「個体は死ぬ」。
●生物は歴史の産物で、すべての種は38億年で繋がっている。
●生物学の『なぜ』は生物が
1.「どうやって」
2.「どういう道筋を立て」
3.「何のために」
4.「祖先のどれから」
この四つの「なぜ」を探求する学問である。
2.「血液が凍らない魚の謎―地球環境の変動と生物の進化」
講師:太田竜也・総合研究大学院大学准教授(先導科学研究科・生命共生体進化学専攻)
(要旨)
南極海に棲むノトセニア亜目の魚、マジェランアイナメ(銀ムツ、メロも仲間)は地球環境の変動によって南極海に閉じ込められた低水温の中で、血液が凍らないように進化した。その仕組みを話した。
3.「ふたつでひとつ―ともに生きる植物と昆虫の進化」
講師:横山潤・山形大学准教授(理学部・生物学多様性講座担当)
(要旨)
植物は動物のように動いて餌を捕って生きていない。植物は動かないで生きる。植物は(光合成で)炭水化物を自分で作れるので動かないで済む。繁殖(受粉)は水、風、動物に頼る。
動物(昆虫など)と「共生」することによって受粉し、子孫を残こしている。
<第2部:国際生物学オリンピックが2009年に「つくば市」にやって来る>
「世界大会日本代表が同窓会を結団」
日本は第16回2005年大会(北京)が初参加、以後17回(アルゼンチン)、18回の2007年(カナダ)と計3回出場。代表は毎年4人なので、これまでに計述べ12人(2回出場が3人)が出場している。このうち、メダルは銀1個、銅8個獲得。この日の参加者は7人、残り2人も含め全員が、同窓会として、後輩への助言、生物学オリンピックの広報活動への参加を申し合わせた。
「国際生物学オリンピック2009つくば」にようこそ
沼田 治・IBO2009つくば組織委員会実行委員長(筑波大学生命環境科学研究科教授)が取組みの経過を説明した。
2009年7月12日~19日に筑波大学を会場に開かれる第20回世界大会への準備は着々と、進められており、この日、いくつかの催しを初めて公表した。期間中に実施される「交流会」は世界遺産・日光東照宮と、つくば学園都市が誇る世界的な先端研究施設の見学。同大の教職員、学生がホスト役のスポーツ、芸術の交流、体験会。地元の団体、市民が協力して催す「つくばナイト」では特別に盆踊りのための櫓(やぐら)を組み、“日本の夏祭り”を再現してオリンピック参加者を歓迎する。
(この日のフォーラムは、来年の「IBOつくば大会」成功を願ってのプレ・イベントでした。ひとりでも多くの中・高校生の同オリンピックへ挑戦を呼び掛けていました)。 |