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「第39回 国際物理オリンピック」日本代表ベトナムへ
【第32回】 2008年7月23日

「第39回 国際物理オリンピック」に出場する日本代表の結団式が、7月19日、東京ステーションコンファレンスで、行われました。

今回、日本代表となった5名は、昨年夏に行われた「物理チャレンジ2007」で、424人の中から日本代表候補として選ばれ、その後の研修や合宿などを経て代表に決定されました。
決定された日本代表選手は、

吉田 周平くん (広島県、広島大学付属福山高等学校 3年)

松元 叡一くん (東京県、筑波大学付属駒場高等学校 3年)

松久 勝彦くん (愛知県、東海高等学校 3年)

赤堀 将太郎くん (京都府、洛南高等学校 3年)

村下 湧音くん (兵庫県、灘高等学校 3年)


の5人です。(写真左から)

『国際物理オリンピック』 は、物理への興味・関心、そして能力を高め合うと共に、参加国における物理教育が国際的な交流を通じて、一層発展することを目的としたものです。

世界各国・地域から高校生が集まり、理論・実験問題に挑む、物理の国際的コンテスト。「第1回大会」は1967年、ポーランドで行われました。以来、毎年開催国を変えながら、参加する国や地域の数は増え続けています。今年のベトナム・ハノイ大会には、85の国・地域が参加。  日本は、3回目の参加になります。各国の選手たちは、7月20日~29日の10日間、次のプログラムに挑戦します。

理論問題と実験問題 (各5時間かけて解く)

開催国に根ざした様々なイベントに参加することによっての国際交流

日本は、第37回シンガポール大会(2006年)に、初めて代表団を派遣。初参加国の中ではトップの成績でメダルを獲得しました。昨年の第38回イラン大会(2007年)では、金メダル2個、銀メダル2個、銅メダル1個と、さらに好成績を納めました。

そして今年の日本代表者5名は、期待と希望を胸に、出場への意気込みを次のように述べました。

「金メダルを獲れるように頑張ります。」(赤堀くん)

「自分が選ばれて光栄です。特訓をして、昨年より随分と変わった自分は、再インストールした感じ。良い結果を土産に帰ってきたい。」(松久くん)

「今まで勉強してきたことを、充分発揮したい。積極的に交流したい。」(松元くん)


「日本代表として周りから期待されるが、ひとつずつ今までやってきたことを信じて、期待に応えていきたい。また初めて会う、同じ興味をもった外国の高校生達との交流を楽しみたい。」(吉田くん)

中でも、今年で3年連続出場となる、灘高等学校の村下湧音くんは、チームリーダーとして参加。今までの経験を活かし、更なるチャレンジ精神をみせて、

「今年度もまた、交流やコンテストの両面で、注目に値するチームとなるよう、頑張ります。声援よろしくお願いします。」

『国際物理オリンピック』へ日本代表団派遣を支援している、物理チャレンジ・オリンピック日本委員会委員長: 北原和夫 先生(国際基督大学) は、日本代表団に対し、

「代表のみなさんは、とにかく楽しんできてほしい。いろんな国の人たちと交流し、物理の仲間を作ってきてほしい。これが一番の目的です。そして10年後、20年後に、世界的な協力関係が出来ると素晴らしい」

と励ましの言葉を送っていました。

また、北原先生はインタビューに対し、日本の物理レベルは着実に上がっているとし、日本の科学教育の、今後の発展性について次のように述べました。

「日本の科学分野における教育は、物理・生物・化学・情報・数学の各分野がお互いに手を取り合ってやっていければいいかなと思っています。(日本がこれまでオリンピック参加に踏み込めなかった理由として) 広く科学を伝えなければいけないという事で、トップを伸ばすか、裾野を広げるかという議論が続き、なかなか踏み出せなかった。しかし、いわゆるコンテストではなくて、その後のネットワークをつくるという事が大事ということが、わかったんです。まだ日本と海外の物理教育の違いはあります。理科教育の改革が必要でしょう。日本代表の彼らが、今後その窓口となって、良い経験をしたものを広めてくれればいい。これから10~20年後が楽しみです。」

日本代表する5名の高校3年生に、日本の科学教育が育んできたものが託され、そして彼らの貴重な経験や知識が、さらに物理が好きな日本の仲間たちに伝えられていくことを期待します。

(事務局:松尾直子)