生物チャレンジ2008 2次試験の様子はこちら
8月21日~24日、筑波大学(茨城県つくば市)で行なわれた、「生物チャレンジ2008」の2次試験が、24日の表彰式で終わりました。全国から2482人の応募があった1次試験を通過した77名が挑みました。
初の表彰式
表彰式ではまず、高校2年生以下から、第20回国際生物学オリンピック日本代表選手選考のための、3次試験へと進む15人が発表されました。
昨年までの2次試験は、25人から選ばれた10人に、後から結果が通知されるだけでした。今年は、「生物チャレンジ」に衣替えしての初めての大会。表彰式会場には茨城県の副知事をはじめ、来賓が数多く招かれ、これまでにない厳かな雰囲気でした。
アイウエオ順に名前を呼ばれ、15人が舞台に整列。この中から、3次試験を経て、来年、筑波大学で開かれる国際生物学オリンピック日本代表が選ばれます。
メダル贈呈も
その後、前半の二日間で受けた実験試験の結果、金メダル10名、銀メダル11名、銅メダル19名が選ばれ、表彰されました。
成績最優秀者に贈られる、茨城県知事賞に選ばれたのは、高校3年生の内海邑くん。内海くんは、今年の7月にインドで開かれた、第19回国際生物学オリンピック日本代表で、銀メダル受賞者です。来年は高校を卒業してしまうため、国際大会には出場できません。3次試験に進む後輩の日本代表候補に向けて、「今年は銀メダルまでしか取れなかった。来年、ぜひ頑張って金メダルを取って、そして楽しんできてください」とエールを送りました。
第2位のつくば市長賞に選ばれたのは、同じく7月の国際大会に日本代表として挑戦、銀メダルを獲得した大河原健太郎くん。高校2年生の大河原くんは、もちろん、3次試験に進みます。昨年に続いての代表選手への意気込みを聞くと、「今年銀をとったので、(来年も代表選手になって)金メダルを期待されるが、とにかくベストを尽くして、その結果に金があればいいと思って頑張ります」と至って冷静。しかしこの冷静さの裏には、生物学への熱い想いが隠されているようです。
期待を寄せる関係者たち
2次試験の総評として、石和貞男・国際生物学オリンピック日本委員会運営委員長は、「皆さん優秀な成績を修め、甲乙つけがたい結果だった。特に、高校1、2年生や女子生徒の皆さんが健闘していたのが嬉しい」と評価し、「今日終わる北京オリンピックのスポーツと同じように、学問でも、常に自分の自己ベストを目指してほしい」と励ましました。
また、毛利秀雄・同委員会委員長は、「ここで苦労したもの同士、互いに連絡を取り合ってほしい。ここで学んだことを繰り返し思い出しながら、今後ますます才能を磨いてくれれば嬉しい」と、生徒の今後の飛躍に期待し、また「毎年、金メダルまであと一歩のところ。実力通りやれば良い色のメダルは確実に取れる」と、日本で開催される来年の国際大会に向けて、将来の日本代表に想いを語りました。
今回の2次試験の内容は、実験試験。初日の21日は、ハマグリやホタテ、またμm単位の藻類の細胞の観察実験。二日目は黒色細胞の観察や、酵母のエタノール発酵の実験でした。緊迫した空気が漂う実験室には、チャレンジする生徒の、機材の音や、解答を記入する音が響きます。初めて見る生物や、構造の分かりにくい生物も多かったようですが、皆さんとても真剣に取り組んで、手を動かしていました。
23日と24日は、筑波大学の教授達による、グループワークと、最先端研究体験。「ショウジョウバエの野外採集・同定と分子マーカーによる確認」や、「受精卵へのES細胞injection」、「イモリの再生観察」など、普段学校ではなかなか触れることのできない機材や試料を扱う実験や研究に、生徒達は積極的に取り組んでいました。
筑波大学あげてのプレオリンピック
「生物チャレンジ」になり、これまでの25人から、80人に増えた2次試験挑戦者を迎えた筑波大学。会場では、生物学オリンピック日本委員会の運営委員のほかに、筑波大学の教授、そしてボランティアの筑波大学の学生が数多く見られました。来年の国際大会開催に向け、校舎の改修や、実験器具の整備など、細かい準備が進み、この2次試験の間にも、教室からは改修中の校舎も見られました。国際大会では200人以上を迎える予定です。
表彰式の後には、別れを惜しみつつ、連絡先を交換する姿も多く見られ、皆さんこの4日間で、試験以上のことを学んだ様子でした。いよいよ国際大会に向けた日本代表が選ばれる、11月の3次試験、そして初の日本開催となる来年7月の第20回国際生物学オリンピック。今から期待が高まります。
3次試験へ進む15人などの2次試験の詳細、生物学オリンピックに関しては、こちら
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