8月10日 1時限目
「国際化学オリンピック プレイベントの実験」
宮本 一弘 開成中学校・高等学校教諭
いよいよ講義最終日。
トップバッターとして、宮本一弘先生の登場です。
2010年に日本で開催される国際化学オリンピックにあわせて、より多くの人に化学の面白さを届けるために行われているイベントの実験を行いました。
普段学校で行われている実験の器具は、意外と高価なもの。今回の実験では、高価な器具をそろえずに、身近にあるものを使って簡単にできるように工夫されたものばかりです。
まず1つめの実験は、水の電気分解。
通常はH型のフラスコを使いますが、今回使うのは、魚の形をした醤油さし。
それにゼムクリップをまっすぐに伸ばして、電極として差し込みます。
電極がうまく取り付けられたら、醤油さしの中に、染色剤などとして使われるミョウバンの水溶液をいっぱいに入れると、あっという間に実験装置の完成!
電極の端を9V電池につなげると…
ミョウバン水の中の電極に、泡がつき始めました。
自分の手の中の、小さな装置の中でおきた変化に、目を凝らす塾生たち。
「陽極と陰極のどちらの方が、いっぱい泡がついていますか?」と先生。
水を電気分解すると、陽極には酸素、陰極には水素が1:2の割合で発生するのです。
醤油さしいっぱいに気体がたまったら、それをライターに近づけてみます。
すると…「ポンッ」と小さな爆発が!
酸素と水素が1:2の割合で出来た気体は、点火したときに激しく反応します。
小さな容器を使うことで、安全に爆発が体験できるように工夫されているのです。
次は水の電気分解で起こる陽極、陰極の変化を観察します。
今度は、2つの角型醤油さしに、電極を1つずつ取り付けます。醤油さしの中に、硫酸ナトリウムに酸性・アルカリ性がわかるBTB溶液を加えたものを入れ、電極を電池につなげると…酸素が発生する陽極は、酸性を示す黄色。水素が発生する陰極は、アルカリ性を示す青色になりました。
鮮やかな色に変化する水溶液に、各テーブルから歓声が上がりました。
最後に少し余った時間を利用して、先生からおまけの実験をプレゼント。
手のひらで、クエン酸と重曹の粉末を混ぜます。この状態では、何も変化はありません。
では、そこに水を垂らし溶かすと、たちまち反応し、泡を立てはじめます。「普段の実験で水溶液を使うのは、その方が反応しやすいからです。」と先生。
「今日実験したように、水はいろいろな不思議をもっています。みなさんもいろいろと実験してみてください。」と、メッセージを送りました。
(事務局・大野)
宮本 一弘 先生 プロフィール
開成中学校・高等学校教諭。
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