
4時限目は、2015年にニュートリノ振動現象の発見によりノーベル物理学賞を受賞された、東京大学宇宙線研究所教授で前所長の梶田隆章先生の講義です。「ニュートリノと重力波で探る宇宙の謎」をテーマに、先生の研究の軌跡をたどりました。

電荷を持たないニュートリノの観測は、ニュートリノがごく稀に原子核と衝突し、荷電粒子が放出された時に発生する光を捉えることで行われます。超新星爆発で放出されるニュートリノの検出はより困難ですが、カミオカンデが世界で初めて観測し、スーパーカミオカンデへと受け継がれていきました。
近年、梶田先生が取り組んでいるのが、重力波の観測です。重力波による空間の歪みは、地球と太陽間の距離に対してほんの水素原子1個程度だそうです。したがって観測には、巨大な装置と高い感度が求められます。重力波観測装置であるKAGRAは、能登半島地震を乗り越え、さらなる改良が進められているそうです。
このように世界中の研究者が積み重ねてきた技術によって観測が進んでいるニュートリノや重力波は、超新星爆発の歴史や、中性子連星の合体による重金属の生成など、宇宙の成り立ちに関わる謎を解き明かすカギです。ミクロとマクロを行き来する先生のお話に塾生は熱心に聞き入っていました。

「自然科学の研究は、世界中と協力して、神秘を少しずつ解き明かしていく楽しい仕事です。夢を大切に。そして魅力を感じたら、ぜひ自然科学研究の世界に入ってもらいたい」と講義を締めくくった梶田先生。

質疑応答では講義内容に関することはもちろん、「ずっと一つのテーマの研究を続けるのは怖くないのか」という質問にもまっすぐに答えてくださいました。これからさまざまな夢を追っていく塾生たちの心に、深く刻まれた講義だったと感じました。
(9期 森下 翌花)
