物理オリンピックの体験から(蘆田 祐人 東京大 助教)・化学オリンピックについて(Zongping Gong 東京大大学院)
国際科学オリンピックについて、金メダリストの蘆田先生とGong先生から講話をいただきます。
まず、2009年の国際物理オリンピックで金メダルを獲得した蘆田先生に、自身の参加経験についてお話しいただきました。物理オリンピックに参加するには、まずは国内予選である「物理チャレンジ」を突破する必要があります。その第1チャレンジはマーク式の筆記試験と実験レポートがありますが、「実験レポートは自由度が高く差がつきやすいので、特にきちんと取り組むと良いでしょう」とのこと。
第1チャレンジには毎年2000人程度が参加し、上位70人が第2チャレンジに進みます。第2チャレンジでは、3泊4日の合宿の中で理論試験や実験試験を受け、10人が選抜されます。その後、添削指導や冬合宿に参加し、春合宿にて日本代表の5人が決まります。国際大会では、理論・実験試験のみならず、国際交流や観光の時間もあります。また、先生は引率役員としての経験もあり、問題の翻訳や採点交渉など、大会裏側でのスタッフの大変な面も話してくださいました。
続いては、国際化学オリンピック金メダリストの中国出身のGong先生のお話です。
国際化学オリンピックも、日本代表は物理オリンピックと同じようなプロセスで選ばれます。
Gong先生からは、中国での選抜方法についても紹介していただきました。中国では、まずは省の代表として、4万人の中から上位6人に選ばれ、その後、各省の代表200人の中から国家代表4人が選ばれるそうで、その熾烈な競争に塾生たちは驚いた様子です。2010年にはあと少しのところで国家代表を逃し、また一から選考を受けなければならないのかと落ち込んだGong先生ですが、先輩からもらった「次は君の番だよ」とのメッセージに励まされ、翌年は、見事に国家代表に選ばれ、2011年国際化学オリンピックトルコ大会で、金メダルかつ総合1位を獲得されました。
2人が口を揃えておっしゃるのは、国際科学オリンピックへの参加を通じて様々な人たちと出会ったことが、いかに大きな財産になったかということです。「同じような興味や志を持った同世代の仲間と知り合い、刺激を受けて切磋琢磨したことが、参加して最も良かったことです」と蘆田先生。Gong先生も、現在自分が共同研究をしている人たちは不思議と国際科学オリンピックのメダリストばかりだと言い、「これはただの偶然なのでしょうか、それともメダリストどうしは惹かれあうのでしょうか。私は後者だと思います。自分を優秀にすることで、優秀な人たちと出会える確率が確実に高まるはずです」と話されました。
講義後には、国際科学オリンピックに挑戦しようと思った理由などについて質問が挙がり、塾生たちは大きな刺激を受けたようです。
(4期 高倉 隼人)
講義を動画でご覧いただけます。
映像の公開は終了しました。(23.8.28)
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