見学先 事前学習(瀬戸 治夫 東京都立小石川中等教育学校)
3限目は「駒門風穴と柿田川湧水について」と題して、瀬戸治夫先生による屋外学習の事前学習です。「合宿に来て写真はとりましたか?明日の屋外学習でも写真撮る人多いと思うけど、写真を撮るよりも先にその場所のこと知ってほしい」と先生の講義が始まりました。
例年、屋外学習は、箱根の大涌谷と柿田川湧水を訪れていましたが、今年は箱根山の噴火警報レベルがレベル2となり、大涌谷に行くことができなくなってしまったため、代わりに駒門風穴に行くことになりました。これらはともに富士山の溶岩に関連しており、先生はそのことを地質学的にわかりやすく説明してくださいました。
まずは、駒門風穴についての解説です。この風穴は約1万年前の三島溶岩流によってできた全長409mの溶岩洞穴で、民家と畑の間という意外な場所に入り口があります。
ここで、この風穴を構成しているのは、どんな溶岩なのか?と、3択の問題を画像のヒントとともに出題。浅間山のような「塊状溶岩」、ハワイの言葉で“足が痛い”という意味の「アア溶岩」、表面が“滑らかで砕けていない”という意味の「パホイホイ溶岩」。
正解は、「パホイホイ溶岩」。選べた塾生はほぼおらず、驚いた様子でした。これは、三島溶岩が玄武岩質の流れやすい溶岩であることを表しています。
次は柿田川湧水についてです。柿田川は国道沿いの崖からいきなり現れる珍しい川だそうで、これは、水を通しやすいクリンカー層と緻密な溶岩からなる不透水層の2層があることによって起こることを、図を用いて丁寧に説明されました。また、湧水近くにある小浜池の水位と、地下水の量の関係性にも触れ、水位の低い今年は地下水の量が少なく、地下水が勢いよく湧き出すのを見るのは難しいとのことでした。
最後に先生は「百聞は一見に如かず。実際に見てみると印象が変わるし、新しいことにも気づきます。写真を撮るよりも先に、まずは心に焼き付けてください」とまとめました。
「知っているからもういいや」という姿勢では新たな発見はできませんし、一方で知識のない状態では見えるものも見えてきません。知識の習得と実際の体験の両方があってこそ多くが学べ、成長ができるのだということが、塾生にも伝わったことでしょう。ここで紹介した以外にも、塾生は多くのことを教わりました。明日の屋外学習では、是非ともその知識を体験に変えていってほしいです。
(6期 野々宮 悠太)