ビッグバンからの電波を測る(高倉 隼人 4期生 東大天文学専攻/JAXA宇宙科学研究所)
5限目はOBOGによる話で、「ビッグバンからの電波を測る」と「科学オリンピックに挑戦しよう」の2部構成です。
第1部は、「ビッグバンからの電波を測る」。
この合宿にOBして参加している4期生の高倉隼人くんによる講義です。「天文学のイメージはどんな感じですか」という問いかけから、塾生たちのあまり知らない天文学の世界に招待してくれました。
天文学と言われて普段イメージする姿は、夜、見晴らしのいいところに行って天体望遠鏡をのぞき込むというような姿だと思いますが、天文学者の見るものは、人の目で見ることのできるものだけではありません。高倉君はTMT、ALMA、ひとみという三種類の望遠鏡を紹介し、「可視光で見えない宇宙もあるし、観測できるのも夜だけじゃない。肉眼で見えている宇宙はごく一部に過ぎない」と、自身の研究に関係のある電波望遠鏡の話へと入っていきました。
可視光で見た宇宙と電波で見た宇宙の違いを、炎色反応の実験や酸化被膜の厚さと色の関係の話、固有振動の話など、これまでの夏合宿での実験などと絡めて説明してくれました。今までに学んだ知識をつなげることで、塾生の理解もより深まっていきます。
そして、実際の研究内容の話に。高倉くんはLiteBIRDというプロジェクトに参加し、インフレーション仮説の証明のため、Bモード偏光という特殊な偏光を観測するための電波望遠鏡を開発しているそうです。塾生にとって近い存在であるOBの話ということもあり、難しい専門的な話も比較的身近に感じられたことでしょう。
(6期 野々宮 悠太)