酸・アルカリの色の変化を考える(宮本 一弘 開成中学校・高等学校)
グループ発表も終わり、午後は開成中学・高等学校の宮本先生による実験です。
前半は酸性・アルカリ性の実験です。指示薬と言えば、BTB溶液やフェノールフタレイン液が有名ですが、今回は紫芋から抽出した紫色の溶液を用いて酸性やアルカリ性の溶液を加えて色の変化を観察します。
最初に小瓶に入った謎の透明の液体が配られました。匂いを嗅いでみると、消毒薬?虫よけスプレー?のような匂いが…正体はかゆみ止めの「キンカン」でした。キンカンはアンモニアがメインでアルカリ性ですが、メンソール等の香料も入っているため悪臭はしません。このキンカンを紫芋液に滴下すると、溶液がアルカリ性になり、青色~緑色になりました。
この溶液に、今度はドライアイスを加えます。ドライアイスを石灰水(水酸化カルシウム溶液)に入れると濁ることからわかるように、ドライアイスは二酸化炭素でできています。
ドライアイスを先程の紫芋液+キンカン液に加えると、泡と煙を出しながら赤紫色になりました。二酸化炭素は水に溶けると酸性になるので、紫芋液がアルカリ性~中性~弱酸性と変わるため、このような色の変化となります。さらに、キンカン液を加えるとまたアルカリ性の青色になりますが、ドライアイスからの二酸化炭素ですぐに赤紫色に戻ります。注意深く観察すると赤紫色になる前に一瞬だけ最初の色である紫色になるのがわかります。
後半は電気分解の実験です。
硫酸ナトリウム溶液にBTB溶液を加えたものを、クリップと醤油さしで作った電極に充填し、電池をくっつけて電気を流していきます。気体の発生量とBTB溶液の色の変化に注目して見ていると、電池の+側の溶液は青から黄色に変化し、どうやら、中の溶液は酸性になっているようです。-側の方は青いままですが液面が低くなり、気体の発生量が多いことがわかります。
今回実際に確認はしていないものの、この実験での反応式を考えると、+側からは酸素、-側からは水素が発生していると思われます。水素は酸素の2倍発生するため、-側の方が気体の発生量が多くなり、また+側では酸素が発生する際に、酸の素である水素イオンが発生するために酸性になるとのことでした。
片づけるまでが実験です。皆で使った溶液や道具を元に戻して、この時間の実験は終了となりました。
なお、今回の実験は日本化学会発行の「化学だいすきクラブ ニュースレター」に載っているそうです。(中学生以下で興味のある人はhttps://kdc.csj.jp/より定期購読をしてみてください。無料です!)。
(2期 貴田 浩之)