さまざまな化学反応 ~色と光と時間の化学~(大西 琢也 東京学芸大学附属小金井中学校)

夏合宿の後半から司会進行をつとめてくださった大西先生が、白衣姿で登場です。先生が理科に興味を持ったきっかけを少し話した後、「さまざまな化学反応 ~色と光と時間の化学~」と題して溶液の色の変化を楽しむ4つの実験が始まりました。

実験➀:時計反応
この実験は6人ずつの班に分かれて行います。班の人数が増える分、各自の分担が重要になってきますが、お互いにコミュニケーションを取り、一つ一つ課題をこなしていきました。
ヨウ素酸カリウム水溶液と濃度の異なる亜硫酸水素ナトリウムを含むデンプン溶液を、それぞれ混ぜ合わせます。時計反応という名前通り、この実験では溶液の色が変化する時間が重要になってきます。亜硫酸水素ナトリウムの濃度が高くなるにつれ、溶液を混ぜ合わせた後から色が変化するまでの時間が長くなるのですが、実験には失敗がつきものです。濃度の順番通りに変色していったグループもあれば、そうならなかったグループもありました。しかし、突然起こる色の変化に驚き、「おおっ」と、あちこちから声があがりました。

 

実験②:振動反応
ヨウ素酸カリウム水溶液とマロン酸、硫酸マンガンを含むデンプン溶液、そして過酸化水素水の3液を調製して、これらを混ぜ合わせます。時計反応と違い、今度は色の変化が一回だけではなく、黄色→青色→黄色→青色…と変化が繰り返し続いていきます。反応の終わらない溶液に釘付けの塾生ですが、「しゅわしゅわと音が鳴っている」「色の変化の間隔が短くなっている」「色が濃くなってきている」と、ただ単に色が変わることだけでなく、それ以外の発見もできました。

 

実験③:信号反応
水酸化ナトリウム、ブドウ糖、インジゴカルミンを水に溶かしてPETボトルの中に入れ、ただ振るだけのシンプルな実験です。水道水中のインジゴカルミンは青色でしたがPETボトル内で混合液にして振ると緑色に変わり、その後、安静にして根気よく待つと、緑→赤→黄色と順に色が変化していきます。この実験は難易度が高く、きれいな色の変化を確認するために試薬量の調整が重要なのですが、たくさんの塾生が実験を成功させ色の変化を堪能することができました。

 

実験④:ルミノール反応
刑事ドラマや推理小説の現場検証などでおなじみのこの反応ですが、実際に見たことのある塾生は少なかったのではないでしょうか。今回は、血液を使うわけにはいかないので、ヘキサシアニド鉄(Ⅲ)酸カリウムで代用しました。黄色のヘキサシアニド鉄(Ⅲ)酸カリウム水溶液に、先生が調製したルミノール試薬を加え、その後の変化を観察するのですが、特に変わったことは起こりません。しかし、先生が講義室の蛍光灯を消すと…なんと、黄色い溶液がほんのり青色に光っています。皆、暗くしないと見ることができないその光を、不思議そうに見つめていました。

色が変化する様々な化学反応を自分の手で成功させた塾生は、化学の世界にきっと魅せられたことでしょう。最後に大西先生は、「化学反応には、時間がかかる。一見わからない場合もある。だからこそ、反応が起こるまで我慢強く待ち、様々な角度から観察することを大切にしてほしい。」と実験を締めくくりました。

先生から提供される実験課題だけでなく、自分で見つける課題に対してもここで学んだことを生かしていってほしいと感じました。

(6期 野々宮 悠太)