基本粒子を求めて-20~21世紀の物理学の発展 特に理論物理学-(有馬 朗人 塾長)
いよいよ第14回夏合宿のスタート。最初は、有馬朗人塾長による講義です。
全国から集まった40名を眺め、有馬先生は、「まず、なぜ創造性の育成塾を始めようと思ったのかをお話しします」と講義を始めました。
近年、発達が著しいAIは、人間よりも正確に膨大な情報を記憶し処理することができます。
「しかし、AIが人間に勝てないものがある。それは創造性です。」と有馬先生。
そうした創造性を育ててほしい、また日本の若い君たちにはそれができることを伝えたいいう思いでこの塾を始めたと言います。
講義では、基本粒子の姿を追い求めた物理学の歴史を振り返りながら、日本人がいかに創造性豊かであるかを、若い塾生たちに伝えます。
今から100年以上前の20世紀初頭。物理学の世界では、原子の構造についての大論争が起こっていました。
まず、原子模型について。現在は、中心に原子核があり、その周りを電子がまわっていることが常識となっていますが、その形に落ち着くまでには様々な論争がありました。
有名なのが、1903年にイギリスのJ.J.トムソンが発表した「西瓜模型」。そしてもう一つ、同じ年に日本の長岡半太郎が唱えたのが、原子核の周りに電子が回っているという「土星模型」でした。
その後、1911年にイギリスのラザフォードの実験によって原子核が発見され、現在の原子模型が発表されますが、世界中の物理学者に先駆け、最も早く現在の原子模型に近い形を発表したのが長岡半太郎だったのです。有馬先生は、「これは、日本人としてとても自慢に思っている。通常は“ラザフォードの原子模型”というが、私は“長岡・ラザフォードの原子模型”と言いたい。」と力強く語りました。
他にも、「光は波か粒子か」という論争では、当初、イギリスのニュートンが「光は粒子だ」という説を、オランダのホイゲンスは「光は波である」という説を唱えました。
その後、ニュートンと同じイギリスのヤングが、光源の前に壁とスクリーンを置いて光の干渉性を観察する実験(ヤングの実験)により、「光は波である」というホイゲンスの主張を立証。
有馬先生は、「いくら大先生のニュートンが”光は粒子だ”と言っても、ヤングは別の考えをもって実証した。だから、先生が言うことを疑ってみたり、疑問に思うことも大切なんだよ。」と有馬先生は言います。
この他にも、物理学史に起こった様々な事柄を紹介。「まだまだ伝えきれていない。続きは最終日の閉塾式の時に話します」と言って締めくくりました。
(事務局 大野)
講義を動画でご覧いただけます。
映像の公開は終了しました。(23.8.28)
スマートフォンなどモバイルデバイスはこちら