宇宙生命は存在するか?―天文学からのアプローチ―(渡部 潤一 国立天文台 副台長)
2時限目は、渡部先生による天文学の講義です。
「宇宙はまだまだ謎に満ちています」と渡部先生。先生によると、宇宙にはわかっていないことが多く、確実視されていることについても予想外の結果になることがあるそうです。世紀の大彗星になると予想されていたアイソン彗星がバラバラになって蒸発してしまった時に、予測が外れて先生自身が大変混乱したというエピソードを通じて、塾生の心をつかみます。
今日の講義は、地球以外に生命が存在するかについてです。地球外生命体という一見SFのようなテーマについて、天文学の見地から、「生命の材料はどこから作られるのか」「水が存在する星は宇宙にあるのか」「水の惑星に生命はいるのか」「生命の中でどのくらいが文明を持つのか」と、いくつかのトピックにわけて分かりやすく説明していきます。
昔は観測が困難であった地球型の惑星が、現在は高性能な望遠鏡の開発や、恒星の周期的な光の変化を観察するトランジット法などにより観測できるようになり、地球のような水の惑星は数多くあることがわかってきた、と先生は言います。また、天体観測シュミレートソフト「MITAKA」で宇宙の星の多さを実感し、塾生からは感嘆の声が漏れました。
「人類は、宇宙の中心にいるわけではなく、知的文明としては未熟である」と先生は語ります。私たちは、人類よりとてつもなく進んだ文明をもつ生命体に囲まれて生きているのかもしれません。銀河系の端で生きる生命体のひとつとして、少しずつでも知的に成熟していってほしいという先生のメッセージが感じられた講義に、塾生も終始聴き入っていました。
質疑応答では、素朴な疑問から専門的な質問まで多くの手が上がりました。
(7期 野村 俊貴)
講義を動画でご覧いただけます。
映像の公開は終了しました。(23.8.28)
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