手形から考える動物の暮らし(川島 紀子 文京区立第六中学校)

今回の実験は、手形の分類から始まります。手元に配られた6枚のカードには、様々な動物の手形。
「それぞれの特徴を観察して、グループに分けてみてください」と川島先生。
塾生たちは、お互い議論しながら2つのグループに分類しました。カードにあったのは、チンパンジー、ニシゴリラなど霊長類のものと、イヌ、モルモットなどその他の哺乳類の手形。指の本数などで分類できます。

今回の講義のテーマは「進化」。
主に霊長類の観察を通して、動物の進化の過程を学びます。
「ピカチュウがライチュウになる“進化”は、生物の“進化”と同じ?」先生の質問に、塾生はみな違うと答えます。
「ピカチュウは、進化というより昆虫の変態に近いよね」との先生の言葉には、教室が笑いに包まれました。進化について少し確認したところで、次の課題に移ります。

次の課題は、類人猿の手と足の模型を見て、それらの機能を予測するというものです。観察対象の動物にはヒトも含まれており、塾生はみな自分の手を見つめます。中には靴下を脱いで足を観察する塾生も。
自分と霊長類の手足を比較して、拇指対向性はあるか、平爪か、指が長いかなど、形態の特徴を熱心に書き留めていきます。「ヒト以外のサルの手だと、モノとかをつかみづらそう」という塾生もいました。観察が終わった後は、先生からそれぞれの霊長類手足がもつ役割について説明があり、それぞれの霊長類が生活に適応した手足の形態をもっているということを確認します。

最後の課題は、霊長類が住む気候区分の予測です。今までで学んだことを生かし、動物園での霊長類の生活を記録した動画から、手足の形態や移動方法、尾の長さなどを総合的に観察して、動物が住む環境を予想します。

先生は最後に、「サルを知ることはヒトを知ること」という日本モンキーセンターのポリシーを紹介してくれました。ヒトは約450種の霊長類の中の1種に過ぎないということを覚えておく必要がある、というメッセージで講義を終えました。

長い時間、世代を経て、様々な環境に適応してきた生物。塾生たちは今回の講義で、霊長類の形態観察を通して、我々ヒトを含むダイナミックな生物の進化や適応の流れを実感できたのではないでしょうか。
(7期 野村 俊貴)