1時限目は、「東大物理学者が教える『考える力』の鍛え方」の著者であり、東京大学大学院理学系研究科教授の上田正仁先生の講義です。
「創造性の鍛え方がわかる人はいますか?」という上田先生の問いかけに、頭をひねる塾生。上田先生は「『考える力』は生まれつきの才能ではありません。意識的かつ不断の努力で鍛えることができます。」と、にこやかに講義を始められました。
上田先生曰く、優秀さの評価基準となる力には三つあり、人生の各段階で変化するそう。大学入学までは、類型化された問題を正しく手順に従って解くスキルである「マニュアル力」、大学では、一つの能力を長時間考えて答えまでたどり着く力である「考える力」、大学院や社会では、自ら課題を見つけて独自の解決策を編み出す力である「創造力」が重要視されるようになります。この変化を理解して、心の準備をすることが大切だと、上田先生は塾生に伝えます。しかし、基準が変化するからといって他の力が不要になるわけではありません。「マニュアル力」を基盤として「考える力」があり、それを土台として「創造力」があるため、社会では三つの力の総合力が試されます。
次に「考える力」の鍛え方について。
「わからない」という状況にはさまざまなパターンがあり、一番多いのは「何がわからないのかわからない」という状況です。このとき、立ち止まって疑問を言語化する努力をすることで、問題が明確になり、「ここがわからない」という状況へ一歩前進することができます。このような意識的な訓練を積み重ねることで、人が気づかないことに対する感度が増し、結果として、「考える力」が鍛えられます。他にも問題の核心を掴むための「地図メソッド」や研究テーマの選択法など、創造的なことをするために重要な考え方について話す上田先生。「ぜひ夏休みの課題で実践してみてください。」と塾生にメソッドの実践を奨励しました。
最後に、物理学史上最大の天才として有名なアインシュタインを例に出し、「成功の究極の鍵は『諦めない人間力』」だと上田先生は塾生に伝えます。大盛況となった質疑応答では、疑問を言語化し「考える力」の鍛え方を実践する多くの塾生の姿が見られました。
創造性の育成塾もいよいよ折り返しの時期。育成塾OGとして、残りの期間も塾生たちが「考える力」を鍛え、「創造性」を育んでいく姿を見るのが楽しみです。
(11期 岸田彩花)