「光と影と色の探究」髙田 太樹 東京学芸大学附属世田谷中学校

実験

3日目最後は、東京学芸大学附属世田谷中学校の高田太樹先生の実験です。
冒頭、先生は、「観察する、疑問に思う、考える。この3つを身につけてほしいと思います」と塾生たちに投げかけました。

最初に、先生は、色の着いた長いゴムと直径5㎝ほどのリングを塾生に配りました。
そして、先生がゴムを輪にしてリングと重ね、落とすと…リングがゴムを通っている!?
塾生からは、大きな歓声が上がります。

マジシャンのように技を披露する髙田先生

塾生たちも見よう見まねで挑戦しますが、なかなかうまくできません。「どうすればできるのか?」いう観察力が試されます。上手く出来ず、悔しがりながらも観察と実行を繰り返えしていました。

塾生たちも挑戦

続いて、先生は光について話しはじめます。
レーザーの通り道が見えるのは、周囲の粒子に反射しているということ。先日行われたパリオリンピック開会式で、エッフェル塔を照らすレーザーの軌跡がはっきり見えていたことを取り上げ、「あれ?開会式は雨が降ることを想定されていた?」や、「天使が降りてくる時に光がカーテンのように見えるけど、その場所、ほこりっぽくない?」など、常に疑問を持つことの大切さを、笑いを交えて話しました。

 その後、先生は塾生たちに美しい天の川を見せました。注目すべきは夏の大三角。七夕神話で有名なこの3つの一等星ですが、それぞれ地球からの距離は違います。光の速さは秒速およそ30万㎞で、つまり、今見えている星は、それぞれ違う過去の姿なのです。

遠くの星に思いをはせていると、「そんな星を君たちにもプレゼントしよう!」と、先生は世界に40枚しかないオリジナル分光版を塾生に配りました。光を波長によって分けてみることが出来る分光版。塾生たちは、蛍光灯や、教室内の様々なものを観察しました。

18期生限定のオリジナル分光版
様々なものを観察

さて。残り時間も少ないですが、ここからが本題です。
色は赤・緑・青の3色で構成されている訳ですが、これは本当なのでしょうか?
特別なルーペを使って、実際にパソコンやスマホの画面を見てみると、実際に3色の色しか使われていないことが分かります。続いて塾生達に配られたのは、3色のライト。それらで同じ場所を照らしてみると、3色が重なった場所は、白く浮かび上がります。では、影はどうでしょうか。実は、影は黒だけじゃない!いろいろな色の影を作ってみよう!ということで、実験開始です。
3色のライトのうち複数を違う角度からフィギュアに当てると、フィギュアの背後に1色しか光があたっていない部分が現れます。この部分の影の色は、当たっている1色の光の色になるのです。

班で協力して影を観察

さらに、白い光を用いての実験も行います。白と赤を違う角度から同時に当てます。理論上は赤の光が当たっていない部分は白になるはずですが……なんと影の色は緑。これは目の錯覚だと先生は言います。その後も様々な錯覚の画像や動画に、「なんで!?」の声が止まない塾生達。どうしても納得いかず、様々な方法で観察していました。


先生は、「知らないことを知るのが大事」として、ガリレオの「誰かにものを教えることなんてできない。その人が自分で気づく手助けをするだけだ」といった先人達の言葉で講義を締めくくられました。

(16期生 下川夕馨)