3時限目は昨日に引き続き、近隣の文京区立第六中学校で実験を行いました。開成中学・高等学校で教鞭をとられている小笹 哲夫先生の講義の元、「食品に含まれる着色料を調べる」というテーマで実験を行いました。冒頭、「過酸化水素水を手にこぼしてしまったんだよね。」という先生のユニークな「事故紹介」に塾生たちは笑っていました。
実験ではまず、ろ紙に水性ペンで書いた丸をペーパークロマトグラフィーという方法で、色素を分けました。ペーパークロマトグラフィーは、ろ紙に水が毛細管現象で吸い上げられるときに色素が流れに乗って色ごとに分かれていくというものです。先生によると、色素の紙への吸着力と水への溶けやすさが綺麗な分離を実現しているそうです。塾生は色が分かれていく様子を熱心に観察していました。
次に、本題の食品に含まれる着色料を調べました。
今回調べるのは、かき氷のメロンシロップです。先ほどと同じようにペーパークロマトグラフィーにかけてみますが、うまくいきません。
「なんでうまくいかないのか考えてみよう。」そう先生が塾生に問いかけると、塾生たちは活発に議論を行っていました。「まずシロップの中に何が入っている?」と問いかけられると塾生たちは「砂糖」や「香料」などの内容物を書き出していました。そう、シロップには、色素以外にも様々なものが入っているのです。着色料だけ取り出す必要があります。
内容物から着色料を取り出すために使うのは、羊毛です。シロップが入っている試験管に羊毛を入れて加熱し、羊毛に着色料を吸着させます。先生によると、これは「毛糸染色法」という方法とのことでした。
メロン色に染まった毛糸をアルカリ性溶液中に入れて加熱し、溶液の中に着色料を再び溶かしました。加熱している際、何人かの塾生が毛糸に付いた小さい気体に興味を持ち、先生の「今回のアルカリ性水溶液はアンモニア水なので、加熱でアンモニアが出てきたと思います」という解説に納得した様子でした。
その後、アンモニア水を蒸発皿で蒸発させ、着色料を取り出しました。そして、それを再びペーパークロマトグラフィーにかけると、ついに黄色と青の混合物であることがわかりました。
実際にシロップの原材料表示を見ると「黄色」と「青色」の表示がありました。
この組み合わせは緑色の水性ペンも同様で、ペーパークロマトグラフィーにかけると、メロンシロップと同じく黄色と青色が出てきました。
先生によると「分離は調べるときの出発点」だそうです。「分離に関する計画が立てられるようになってほしい」との言葉に、塾生たちは真剣に考えていました。
(16期生 辻巻 輝)