記念シンポジウム「こころと知性への挑戦」
左から 、司会の尾関章氏(朝日新聞論説委員)、
利根川進教授(マサチューセッツ工科大)、
トーステン・ヴィーゼル名誉教授(ロックフェラー大)
理化学研究所(独立行政法人)の「脳科学総合研究センター」は創立10周年を迎え、24日午後、東京千代田区の経団連ホールで、記念シンポジウム「こころと知性への挑戦」を開きました。(動画)
同センターは世界的にも先駆的な取組みをしていることで知られ、このシンポには……
■ 野依良治・同研究所理事長
■ 利根川進・マサチューセッツ工科大(MIT)教授
■ トーステン・ヴィーゼル=ロックフェラー大名誉教授
■ 3人のノーベル賞(化学、生理学・医学賞)受賞者
■ ジャック・ションコフ=ハーバード大教授
■ 伊藤正男・同センター特別顧問(文化勲章受章者)
■ 甘利俊一・同センター長、金沢一郎・日本学術会議会長
脳科学界を代表する科学者たちが参加、講演とパネルディスカッションで各氏が脳科学の現状、今後の展望について意見を吐露しました。
野依理事長は冒頭挨拶で、「20世紀までは物理、化学、生物など人間を取り巻く世界を客体としてとらえてきたが、21世紀は "人間とは何か。心と感性の分野" の解析へと向かっている。この10年、センターは脳の記憶、アルツハイマーなど多くの成果を生んでいる」と述べました。
伊藤氏は「脳は "知る、守る、創る、育む" 機能として捕らえてきました。最近のヒットとしては自閉症感受性領域の研究がある」と、センター10年の軌跡を振り返りました。
佐倉 統・東大教授で同センター客員研究員は「脳科学研究に対する社会の期待」をテーマに講演、「社会は一般教養としての科学から個々人の生活、人生を実現するツールとしての科学をとらえるようになった。脳科学に対する一般からの関心は高まっている。科学予算の3~5%を社会との科学コミュニケーションに充てるべきである」との提案をしました。 |