9:00~

 高畠 勇二 先生
 全国中学校理科教育研究会 顧問

 

 


 

以前は中学校で理科を教え、現在はエネルギー・環境理科教育推進研究所で活動する高畠先生。中学校における放射線教育の充実を目指していらっしゃいます。

0803_takahata_01

まず、放射線にあまりなじみのない塾生たちに、簡易放射線測定器「はかるくん」を提供。電源を付けるだけで、その場の放射線量を表示してくれます。試しに、室内の放射線量を測定してみると、平均値は約0.07~0.1µSv/h (毎時マイクロシーベルト)になりました。

 

0803_takahata_02

次に、湯の花に器械を当ててみます。ある塾生が、平均値は「 (湯の花に当てる前後で) 0.07から0.12µSv/hに増えた。」と報告すると、「そうだとしても、湯の花から放射線が出ていると言えるのか。」という質問を投げかけます。

放射線を取り扱うのが困難な理由として、存在が見えないこと、そして、一部は自然界からもともと放出されていることが挙げられます。人の体からも、1秒間に数千個の放射線粒子が発射されています。そのため、低い線量を観測した場合、それが特定の物質に由来するのかは断定しづらいのです。

 

0803_takahata_03

先生ご自身は電気に興味があり、日本の発電所が工場・家庭のために安定して電力を供給できるのはすごいことだと言います。

東日本大震災で起きた福島原子力発電所の問題にも注目し続けているといい、現地の状況を写真で紹介しながら、「福島の現状を考えてほしい。そして自分ができることをやってほしい。」と訴えます。海外からの塾生に対しても、日本が抱えている問題を世界各国で共有していくことの重要性を伝えました。

 

0803_takahata_04 0803_takahata_05

ここからは、放射線についての実験。放射線とは、エネルギーを持った粒子または電磁波のことで、α線、β線、γ線、X線、中性子線、重粒子線などがあります。

今回は放射線を目で見られるように、「霧箱」を作成します。

プラスチックケースにエタノールを入れ、放射性物質で覆ったランタンを設置し、ラップを掛けます。それをドライアイスの上に置いて冷却し、エタノールの蒸気を冷やします。ここで部屋の明かりを消すと…、直線状の「雲」がポツリポツリと、現れては消えていきます。放射線が通った軌跡に、飛行機雲のような「もやもや」が発生するのです。

 

0803_takahata_06

このように意外にも身の回りにある放射線は、便利な性質もたくさん持っています。その一例として、ラジアルタイヤに使用されているプラスチック素材の性能について、実演がありました。まず、放射線を当てていない素材をお湯につけて加熱すると、伸びやすくなりました。しかし、放射線を当てた素材をお湯につけると、今度は縮んで固くなりました。この違いに、塾生たちは驚くばかり。放射線によって分子の架橋構造に変化が生じていたのです。

 

0803_takahata_07

高畠先生は、「科学技術は便利だが、一歩間違えば我々を脅かす存在」だと言います。

「これから、私たちは放射線とずっと付き合っていかなくてはいけないのです。どういうことに気を付けねばならないでしょうか。」と塾生に問いかけ、授業を締めくくりました。

 

(1期生 中山敦仁)