8月6日 (水) 4時限目 「STAP細胞はなぜ迷走したのか」

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  本庶 佑 先生
静岡県公立大学法人 理事長 (文化勲章) 

 

 


今の日本の科学を語る上で、避けては通れないSTAP論文問題。
本庶先生は、この講義を始めるにあたり「この講義の主な目的は、科学とはどういう姿勢で臨むべきか考えてもらうため」と話しました。

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科学者は、さらなる科学の発展のために、自分の研究成果を世界に発表し、共有しなければなりません。自然科学における論文は、世界中に新技術や新発見を発信するための手段なのです。

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論文は世界中の研究者に読まれ、さらなる研究によって、「ほとんどの場合否定されてしまう」と先生は言います。何年経っても正しさが揺るがない論文はほんの僅かで、そういった論文の内容を集めたものが教科書になるのだそうです。
しかし、それでも教科書に載っていることの全てが正しいわけではありません。「教科書の中にも、必ず嘘がある」と先生は断言しました。「納得できない時は、『なぜ?』と思うことが科学にとって大切」と、科学に対する姿勢を強調しました。

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STAP細胞の論文では、マウスの細胞がSTAP細胞に変化した証拠として、免疫細胞がそれぞれ特有に持っている遺伝子の目印を利用したと記されていました。しかし、論文ではその証拠は不十分で、加えて後日にその目印が見つからなかったという訂正さえあったのです。「新事実が発見されたら、その証拠が正しいのか疑わなければならない」と、先生は繰り返しました。
また「偶然の発見も大切にして欲しい」と先生は訴えました。免疫を利用したがんの治療法が偶然の発見から産まれたことを例に挙げ、免疫療法の仕組みをわかりやすく教えてくれました。

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講義の終わりには、「好奇心、疑うこと、偶然の発見を大切に、こういった科学をする上での心構えは、日常生活でも重要だ」と話していただきました。「教科書には誤りがある」という先生の言葉を聞いて、塾生たちの科学への見方は大きく変わったのではないでしょうか。

(1期生 佐々木駿)

 


※授業の動画の公開は終了しました。


 

【講師ご紹介】

1942年生。医学博士。京大医学研究科博士課程終了後、米国のカーネギー研究所、NIHで客員研究員。
1974年帰国、東大医学部助手、阪大医学部教授等を経て、1984年京大医学部教授。

以降、京大遺伝子実験施設長、京大医学研究科長、医学部長に就任。
2005年退官後に、京大医学研究科客員教授。

現在、静岡県公立大学法人理事長。その他、高等教育局科学官、日本学術振興会学術システム研究センター所長、内閣府総合科学技術会議議員を歴任。日本学士院会員。
2000年度文化功労者。昨2013年・文化勲章受章。