8月5日 (月) 2時限目 「原子の世界の好きと嫌い」
兼 龍盛 先生
江戸川学園取手中・高等学校 教諭
毎年、この合宿で楽しい実験をして下さる兼先生。まずは、今日登場する物質の化学式を分かりやすく説明します。
そして実験開始。どれも透明で一見区別がつかない、エタノール、プロパノール、ブタノール。その見分け方について考えます。
3つをそれぞれ試験管に取り、それに水を加えます。すると、ブタノールだけに界面と呼ばれる透明な境目ができ、2層に分かれました。ブタノールと水は仲良くならないので、2つに分かれるのです。大掛かりな装置を使わなくても、このように水を入れれば見分けがつきます。兼先生は、「今後、限られた時間や予算の中で研究をしていく中で、物質の特性を捉え簡単な方法を考えるのはとても大事」と言います。
続いて、残る2つのうち、どちらがブタノールかを見分ける方法。
ヘキサンをブタノールの入った試験管に入れます。ここでは界面は出来ません。次に、ヘキサンが入った試験管に水を入れると、こちらには界面ができます。兼先生は、それぞれの化学式を示しながら、「水の形によく似たものは水に溶け、油の形に似たものは油に溶けるということ。」と言い、「本当はこういったものを見せられればいいが、目には見えない。君たちの想像力で分子・原子の世界をのぞいてほしい」と話します。
最後に、エタノールの見分け方。2本の試験管に同じ量の食塩を入れ、その中にそれぞれ同じ量の水とエタノールを入れ、撹拌します。すると、エタノールに食塩は溶けません。これがエタノールの特性です。
まとめに兼先生は、「1マイル走の奇跡」という話をしてくださいました。
その昔、“4分の壁”が絶対に破られることはないと言われた1マイル走。医師からも「人間の肉体では不可能で危険」と提言するほどでした。しかし、ある一人の選手が4分の壁を破る記録を出すと、その後すぐに、4分を切る選手が続出。つまり、“4分の壁”は、できないと勝手に決めていた壁だったのです。
兼先生は、「心の障壁をぶち壊してください。君たちには想像力と可能性がある。これからの成長に期待します。」と、講義を締めくくりました。
(事務局 大野涼子)