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成績低迷の日本の対策(上)
【第7回】 2008年2月1日

今回は、シリーズ「科学オリンピックへの道」第4回の「科学オリンピックに見る世界の中の日本」でご紹介した、アジア、世界における日本の成績低迷の問題点に対する、取り組みと、考えられる解決法などをご紹介します。

開催時期で不利な日本の対策
まずは、開催時期に関する問題です。科学オリンピックの開催時期が7月から8月であるために、日本の出場選手は高3の1学期が終わって夏休みの時期、他国の出場選手は9月入学のため高3を終了した時期と、1年弱の差があることは第4回で紹介しました。

しかし、日本以外にも、5月に学年が改まるインドやタイは、欧米と肩を並べる好成績を収めています。その背景には何があるのでしょうか。実は、そういった国々では、高校を卒業した生徒が、大学入学を遅らせてオリンピックに出場しています。

国際生物学オリンピックの規定では、高校を卒業しても、その先の教育に進む前の生徒であれば出場が認められています。そこで、大学側から、オリンピック出場を理由に、入学の延期を認めてもらうのです。

オリンピックを目標に勉強してきた高校3年生の生徒達は、高校を卒業して、大学への入学を決め、そしてオリンピックへ出場して帰国、他の生徒達に少し遅れて大学に入学します。そうすることで、オリンピックでの高成績を維持しています。これにはやはり、大学と国の理解と協力がなければできません。

日本では、まだ科学オリンピック自体の認識が弱く、こういった出場選手の特別措置などができないのが現状です。そこで、今、取り組んでいるのは、大学の施設などを使った特別教育をいかに強化するかです。

出場が決まった選手の地域の大学に協力を求め、施設を使わせてもらったり、教授に協力してもらうなど、高校教育以上の知識を得ることができるような体制作りに取り組んでいます。

しかし、国際生物学オリンピックの規定では、選手がオリンピックに向けて、大学などで勉強できる期間なども制限されています。この規定の中で、どれだけ出場選手の学力が強化されるかが鍵になりそうです。
成績低迷の日本の対策 (下)