8月6日 2時限目
「自然な眠りを求めて -ロゼレムの研究開発」
宮本 政臣 武田薬品工業㈱ 医薬研究本部副本部長
睡眠障害治療薬である、「ロゼレム」という薬を開発した、武田薬品工業株式会社の医薬研究本部副本部長の宮本政臣先生。最初に、睡眠の役割と、その特徴を紹介しました。
まだまだ謎の部分が多い睡眠。自然な睡眠の状態を薬の投与で再現することは非常に難しく、従来の睡眠薬は、様々な活動を抑制することで睡眠の状態を作り出す「鎮静型睡眠」の誘発剤でした。しかし、それでは副作用が多く、睡眠薬の歴史は、睡眠の謎を追及し、そしていかに副作用の少ないものを開発するかということが大きな課題でした。
宮本先生らが注目したのは、睡眠サイクルを調節している「メラトニン」というホルモン物質。この物質の受容体に選択的に作用する化合物の開発に臨みます。そしてできたのが、「ラメルテオン」というロゼレムの成分。
何回もの猫や猿などの動物でのテストを通して、仮説を立て、それを実証するということを繰り返して開発したラメルテオン。
この新しい化合物は、世界各国の製薬会社と争った末に武田薬品が特許を取り、副作用のほとんどない睡眠薬となりました。
睡眠という、身近ながらも謎の多い現象の研究と、睡眠薬開発の逸話に塾生も聞き入っていました。
(事務局・伊奈)
宮本 政臣 先生 プロフィール
薬学博士。日本薬理学会理事。
ストリーミング動画
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授業で使われた資料
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