各分野で活躍する講師陣と講義テーマを順次ご紹介!(時間割順)

五神 真
創造性の育成塾 塾長・理化学研究所 理事長

  • 講義テーマ
光量子科学の最前線への招待

学生時代に「ガラスはなぜ透明か」ということを物理学で考えたらどうなるか、ということがきっかけで光と物質の研究に入り込み、気がつくと40年余り、光と量子科学の研究の最前線でハラハラドキドキしながら研究を続けてきました。 この間、半導体エレクトロニクスの飛躍的な進歩によってレーザー技術や光技術が格段に進歩し、それが物理学の飛躍的に進歩をもたらしました。科学の発展を国内外の仲間や学生達と共に体験してきました。そんな中、2015年から6年間東京大学の総長となり、また2022年4月からは理化学研究所の理事長に就任し、桁違いに広く、そして深い知の世界が広がっていることを体感しています。光量子物理学の面白さを紹介しながら、皆さんに科学研究がいかにワクワクするものか、お伝えしたいと思います。

  • 現職

国立研究開発法人理化学研究所 理事長
東京大学大学院理学系研究科 特任研究員
東京大学未来ビジョン研究センター 客員教授

  • 略歴

1973年私立武蔵高校卒業、1980年東京大学理学部卒業、1982年同大学院理学系研究科物理学専門課程修士課程修了。1985年理学博士(東京大学)。
1983年同大学理学部助手、1998年東京大学大学院工学系研究科教授、2010年同理学系研究科教授、2012年同副学長、2014年同理学系研究科長を経て、2015年4月から2021年3月まで東京大学第30代総長。
2021年4月から同理学系研究科教授、2022年4月から理化学研究所理事長。2023年3月東京大学定年退職。 その他、
日本学術会議会員(第23、24期)、未来投資会議議員、科学技術・学術審議会委員、産業構造審議会委員、知的財産戦略本部本部員、内閣府・量子技術イノベーション会議・座長などを務め、現在は、経済産業省半導体・デジタル産業戦略検討会議・有識者委員、Beyond5G推進コンソーシアム・会長他。

  • 研究業績

専門は光量子物理学、物性物理学。
光量子物理学研究の第一人者であり、光と物質の相互作用と量子現象の研究、コヒーレント光技術、ナノ構造と光の相互作用に関する研究といった、光量子科学の広い分野を研究対象とし分野をリードする研究を推進。これら学術の産業応用への重要性、最先端の国内外の研究者連携のプロジェクトも多数統括してきた。
2015年から東京大学総長として執務を行いながら、現在も科学研究費助成事業の研究代表者としても研究・論文執筆活動を続けている。

  • 受賞歴・著書等

主な受賞:第15回日本IBM賞(2001年)、第14回松尾学術賞(2010年)

Fellow of the American Physical Society(2012年)、Fellow of the Optical Society of America(2013年)。「電波の日」総務大臣表彰(2021年)。

著書:
『変革を駆動する大学:社会との連携から協創へ』(東京大学出版会)(2017年)
『大学の未来地図:「知識集約型社会」を創る 』(ちくま新書)(2019年)
『新しい経営体としての東京大学』(東京大学出版会)(2021年)The University of Tokyo as a New Type of Management Entity: The Challenge of Creative Collaboration for the Future (University of Tokyo Press). (2021年)

  • 7月30日 14:00~

上田 正仁
東京大学大学院 理学系研究科(物理学専科)教授

  • 講義テーマ
考える力の鍛え方

現在、世界は日々大きく変化しており、昨日までの常識をそのまま当てはめることができません。これからの時代を生き抜くためには目まぐるしく変化する状況を、自分の頭で分析して判断する考える力が要求されます。考える力は、研究において創造力を発揮するために必須の力ですが、学業においてももちろん重要です。抜群の成績で大学に合格する人が、大学に入ってから伸びるとは限りません。また、社会で頭角を現す人が勉強で苦労したという話はそれほど珍しいことではありません。実は、人生の各段階で優秀層はガラッと入れ替わるのです。それはなぜか。そもそも考える力や創造力は天賦のものなのか。実は、考える力は意識的な努力の積み重ねによって向上させることができます。そして、そのような意識的な努力を続けられるかどうかが、社会で頭角を現す人とそうでない人の差となるのです。講義では、このことについて皆さんと対話を通じて考えてみたいと思います。

  • 略歴

1986年 東京大学理学部物理学科卒業
1988年 東京大学大学院理学系研究科物理学専攻修士課程 修了
1991年 理学博士取得 (東京大学)
1988年 日本電信電話株式会社基礎研究所 研究員
1992年 東京大学物性研究所嘱託研究員 (日本電信電話株式会社基礎研究所と兼務)
1994年 広島大学工学部第二類電子物性大講座助教授
2000年 東京工業大学大学院理工学研究科物性物理学専攻教授
2008年 東京大学大学院理学系研究科物理学専攻教授

  • 研究業績

大学院で最初に行った研究は光子数の連続測定の理論です。その後、メゾスコピック系の物理や多自由度系のトンネリングの研究を行いました。原子気体のボース・アインシュタイン凝縮が実現されてからは冷却原子気体の研究を行いました。また、情報と熱力学とを融合する研究を行いました。最近は、非平衡開放量子系や機械学習の基礎の研究を行っています。

  • 受賞歴・著書等

2002年 (財)松尾学術振興財団 松尾学術賞
2007年   文部科学省 文部科学大臣表彰科学技術賞研究部門
2008年  (財)仁科記念財団 仁科記念賞
2009年  日本学術振興会 日本学術振興会賞 
著書 ・「東大物理学者が教える『考える力』の鍛え方」 ・「東大物理学者が教える『伝える力』の鍛え方」 他

  • 7月31日 9:00~

山形 俊男
海洋研究開発機構 アプリケーションラボ 特任上席研究員

  • 講義テーマ
異常気象と気候変動の関係を考える

最近、猛暑や集中豪雨などの異常な気象現象が世界各地で起きています。こうした異常気象の具体例を紹介し、背景に何があるのかを考えましょう。気象現象が起きるのは地表からだいたい10キロ上空ぐらいまでで、対流圏と呼ばれています。一方、地球の表面の約70%は海で覆われていて、海上を吹く風が蒸発を活発にして、大気に水蒸気を補給しています。この水蒸気が大気中を上昇すると冷やされ、水滴となって落下してきます。時には集中豪雨をもたらすこともあります。海面から蒸発する時に必要だった熱は水滴になるときに再び大気中に放出され、上昇流を活発にして、そこに吹き込む風を強めます。放出された熱は猛暑のもとになり、強まった風は海面での蒸発をさらに活発にします。こうした大気と海のやりとりは、時として組織化されて巨大な気候変動現象を生み出しますが、この代表が昔から知られているエルニーニョ現象です。このように異常気象と気候変動現象は関係しているのです。
講演者らはどのようにして世界の海の気候変動現象を発見してきたのか、それをどのようにモデル化し、発生の予測や予測情報の社会応用を行っているのかをお話しましょう。

  • 現職

海洋研究開発機構 アプリケーションラボ 特任上席研究員、東京大学名誉教授

  • 略歴

九州大学応用力学研究所 助手、助教授;米国プリンストン大学地球流体力学プログラム 客員研究員; 東京大学 理学部地球惑星物理学科 助教授、教授;国際太平洋研究センター(ホノルル)プログラムディレクター; 海洋科学技術センター(現:国立研究開発法人海洋研究開発機構)地球フロンティア研究システム気候変動予測プログラムディレクター;東京大学 大学院理学系研究科副研究科長、研究科長/学部長 ;海洋研究開発機構 アプリケーションラボ 所長;京都大学 宇宙総合学研究ユニット 特任教授などを歴任;(現) 海洋研究開発機構アプリケーションラボ 特任上席研究員

  • 研究業績

世界の海に生起する海流や巨大渦などの大規模現象や海洋起源の気候変動現象の解明において多くの先駆的な業績を挙げ、世界の大気海洋変動予測科学を推進してきた。特に熱帯太平洋のエルニーニョ現象の発生理論を初めて提唱し、気候変動予測の基礎を構築した。また、インド洋の海洋大気結合現象である「インド洋ダイポールモード」現象を発見、命名し、気候変動におけるインド洋の役割についての理解を根本的に塗り変えた。また、従来のエルニーニョ現象とは異なる「エルニーニョもどき」現象の発見や、中緯度域の領域的な気候変動現象である「沿岸ニーニョ/ニーニャ」現象の存在を初めて指摘し、短期気候変動の理解と予測の研究において世界を牽引し続けている。一連の成果は、海流変動予測の実用化、世界最先端の予測精度を持つエルニーニョ現象の2年予測、ダイポールモード現象予測、および沿岸ニーニョ現象であるニンガルー・ニーニョやカリフォルニア・ニーニョの予測の成功へと結実し、所属機関からの予測結果は学界のみならず、防災、感染症対策、農業などにおいて国際的に利用されている。

  • 受賞歴・著書等

受賞等:日本気象学会学会賞、日本海洋学会岡田賞、学会賞、宇田賞、米国気象学会スベルドラップ金メダル賞、国際海洋科学協会プリンスアルバート一世金メダル、藤原賞、米国ウッズホール海洋研究所バー・シュタインバッハ学者、米国気象学会フェロー、米国地球物理学連合フェロー、日本地球惑星科学連合フェロー、南京情報科学技術大学榮譽教授、海外院士、フランス海洋アカデミー外国人連携会員、紫綬褒章、瑞宝中綬章 他
著書等:数十年から数百年の気候変動を決める海洋。岩波講座地球惑星科学11巻「気候変動論」69-101. 岩波書店;地球温暖化と予測科学・技術の進展。地球温暖化ビジネスのフロンテイア。23-52. 国際書院;地球史における海と地球の変遷。コモンズとしての海。22-45. 西日本出版社

  • 7月31日 10:40~

天野 浩
名古屋大学 教授

  • 講義テーマ
The pleasure of challenging the impossible 出来ないことに挑戦する楽しみ

皆さんには、興味があってやりたいけど、自分にはそんなことはできっこない、と思い込んでいるようなことはありませんか? これまでの人生の中で、自分の能力や才能はこれくらい、とか自分の性格はこうだから、そのような研究は向かない、というように、自分の経験や身近な人の意見を元に自分の行動パターンを制限してしまうことをアンコンシャスバイアスと定義します。このアンコンシャスバイアスは全ての人が持っており、世界的に著名な研究者も例外ではありません。新しい発見やイノベーションというのは、この多くの人が持っているアンコンシャスバイアスに気がつき、それを乗り越えるために努力した若い人達によってもたらされることがあります。この講義では、例として青色LEDの研究開発を紹介し、皆さんがアンコンシャスバイアスを乗り越えるために普段から気をつけておくべき事などを、皆さんと一緒に考え、議論します。

  • 現職

名古屋大学未来材料・システム研究所 未来エレクトロニクス集積研究センター長・教授

  • 略歴

1988-1992 名古屋大学工学部助手
1992-1998 名城大学理工学部講師
1998-2002 名城大学理工学部助教授
2002-2010 名城大学理工学部教授
2010-2015 名古屋大学大学院工学研究科教授
2015-現在 名古屋大学未来材料・システム研究所
未来エレクトロニクス集積研究センター長・教授

  • 研究業績

名古屋大学工学研究科博士課程在学中に赤﨑勇教授と共に行った研究において、世界に先駆けて青色LEDの開発の作製に必要な技術を確立し、高輝度青色LEDの開発において重要な功績をあげた。

  • 受賞歴・著書等

2001 丸文学術賞
2002 武田賞
2003 SSDM論文賞
2008 日本結晶成長学会論文賞
2014 文化功労者顕彰,文化勲章,ノーベル物理学賞
2015 科学技術分野の文部科学大臣表彰,中日文化賞,日本結晶成長学会第10回業績賞及び赤﨑勇賞
2016 応用物理学会化合物半導体エレクトロニクス業績賞

  • 7月31日 13:30~

岡野 栄之
慶應義塾大学医学部 生理学教室 教授

  • 講義テーマ
iPS 細胞技術と健康長寿

次の流れで講義します。
1. 我が国における少子高齢化の状況と課題について
2. これを打開する技術は何か?
3. 再生医療と先制医療について
4. 幹細胞とは?
5. iPS 細胞とは?
6. iPS 細胞を用いた脊髄損傷の再生医療
7. iPS 細胞を用いた認知症創薬研究 8. iPS 細胞研究:今後 10 年の展開

  • 略歴

1959年1月26日 生まれ
1983年 慶應義塾大学医学部卒業
1983年 慶應義塾大学医学部生理学教室(塚田裕三教授)・助手
1985年 大阪大学蛋白質研究所(御子柴克彦教授)・助手 
1989年 米国ジョンス・ホプキンス大学医学部生物化学教・研究員
1992年 東京大学医科学研究所化学研究部(御子柴克彦教授)・助手
1994年 筑波大学基礎医学系分子神経生物学・教授
1997年 大阪大学医学部神経機能解剖学研究部・教授
2001年 慶應義塾大学医学部生理学教室教授 
2007年 慶應義塾大学大学院医学研究科委員長 
2008年 オーストラリア・Queensland大学客員教授 
2015年 慶應義塾大学医学部長
2017年 慶應義塾大学大学院医学研究科委員長 (~2021)
2022年 米国Massachusetts Institute of Technology客員教授 

  • 学会活動

・ 2007年 第28回 日本炎症・再生医学会 会長
・ 2008年 第31回 日本神経科学大会 大会長
・ 2015年 第14回 日本再生医療学会 会長
・ 2021年 International Society for Stem Cell Research・ International Symposium 大会長
・ 2022年 第33回 日本末梢神経学会 学術集会 大会長
・ 現在の役職: 日本再生医療学会 (理事長), 日本神経化学会(前・理事長),
International Society for Stem Cell Research(ISSCR, Vice President, 2023 July 1~)
日本炎症再生医学会(出版担当理事), 日本末梢神経学会(理事), 日本脳科学関連学会連合(副代表)

  • 主な受賞歴

1998年 北里賞
2001年 塚原仲晃賞
2004年 東京テクノフォーラム21ゴールドメダル賞,
2004年 Distinguished Scientists Award (イタリアCatania大学) ,
2004年 日本医師会医学賞
2006年 文部科学大臣表彰・科学技術賞
2008年 井上学術賞
2009年 紫綬褒章
2011年Johnson & Johnson Innovation Award
2014年 The first prize of the 51st Erwin von Bälz Prize
2016年 Molecular Brain Award
2016年 Faculty Award for Internationalization 2016
 (Impact factor Most Outstanding Award) (慶應義塾大学)
2017年 DGD Editor-in-Chief Prize
2020年 第18回高峰記念第一三共賞
2022年 上原賞
2022年 持田記念学術賞

  • 7月31日 15:30~

藤原 大介
キリンホールディングス執行役員 ヘルスサイエンス研究所長

  • 講義テーマ
社会に科学の価値を届ける

企業での研究は、実際に商品やサービスの形にして消費者に届けるところまでが仕事。日本初の免疫機能食品を例にとって、研究のはじまりから事業化までのストーリーから、研究を実社会に届けることの意義を実感してもらいたいと思います。

  • 略歴

1995年 東京大学大学院 農学生命科学研究科 修了
1995年 キリンビール株式会社 基盤技術研究所 入社
1999年 博士号(農学)取得
2005年 理化学研究所 免疫・アレルギー総合研究センター 客員研究員
2005年~2007年 カリフォルニア大学ロサンゼルス校医学部 ポストドクトラルフェロー
2014年~ 東京大学大学院 農学生命科学研究科 非常勤講師
2020年 キリンホールディングス株式会社 ヘルスサイエンス事業部部長

  • 研究業績

・免疫機能性表示素材プラズマ乳酸菌の発見と開発
・アレルギー・眼炎症予防素材KW乳酸菌の発見と開発
・制御性樹状細胞誘導物質麹ステロールの発見
・植物外皮新規免疫賦活物質リグニン配糖体の発見
・ビール酵母における酢酸エステル生成制御機構の解明 など

  • 受賞歴・著書等

1999年 日本生物工学会 生物工学論文賞
2000年 日本生物工学会 生物工学奨励賞(江田賞)
2004年 フジサンケイグループ 先端技術大賞 特別賞
2016年 日本農芸化学会 技術賞
2020年 日本食品免疫学会 産業賞
2021年 ジャパンレジリエンスアワード STOP感染症大賞・金賞
2021年 関東地方発明表彰 発明奨励賞
2021年 日本食糧新聞社 新技術・食品開発賞
2021年 食創会 第26回安藤百福賞 優秀賞
2022年 日本農芸化学会 技術賞
2023年 第11回技術経営・イノベーション大賞 文部科学大臣賞
2023年 令和5年度全国発明表彰 恩賜発明賞 など 

  • 8月1日 9:00~

大島 まり
東京大学大学院情報学環/生産技術研究所 教授

  • 講義テーマ
医用画像×シミュレーション×AI ~医療の新しい展開を考える~

世界第2位の死因である脳卒中を取り上げる。動脈硬化症による重度狭窄症の場合には、脳卒中、特に脳梗塞のリスクを軽減するために血管再建術を行う。適切な手術を行うためには、術後の脳内の血液循環を予測することが大事である。そこで、講義では、医用画像とシミュレーションを組み合わせ、さらにAIを導入することで、各患者に対応できる予測医療に向けたバイオメカニクスについて講義をする。物理(流体力学)、数学(シミュレーション)、そしてデータサイエンス(機械学習)について解説し、最新の計算バイオメカニクスと医学・医療にける今後の展開について触れる。

  • 略歴

東京大学大学院工学系研究科原子力工学専攻 博士課程を修了、博士(工学)。
1992年より東京大学生産技術研究所の助手として勤務、講師、助教授を経て、2005年教授に昇任。2006年より東京大学情報学環 教授と生産技術研究所 教授を兼務、現在に至る

  • 研究業績

主な研究内容はバイオ・マイクロ流体工学。脳動脈瘤や動脈硬化症などの循環系疾患のための血流シミュレーション統合システムの開発に取り組んでいる。また、2011年より東京大学生産技術研究所 次世代育成オフィスの室長を務め、STEAM(Science, Technology, Engineering, Arts, and mathematics)教育にも取り組んでいる。
大学院時代にMITに留学。Engineer’s Degreeを修得。1995年から1996年の一年間、米国のスタンフォード大学へ客員研究員として留学。2017年一般財団法人 機械学会会長を務めた。

  • 主な著書
  1. 東京大学出版会,『科学コミュニケーション論の展開』, 「第12章 科学コミュケーションと初等中等教育」, 東京大学出版会,pp. 195-211(2023)
  2. 佐久間一郎, 秋吉一成, 津本浩平編 『医用工学ハンドブック』, 「第2編医用工学の基礎知識第3章シミュレーション1 全身循環のマルチスケール血流シミュレーション」, (株)エヌ・ティー・エス(2021) 
  3. 大隅典子, 大島まり, 山本佳世子著, 『理系女性の人生設計ガイド 自分を生かす仕事と生き方』, 「第2章 悩みながらたどり着いた「これだ!」という研究」,「第9章 対談・本当に好きなものを探しながら柔軟な生き方を」, 講談社(BLUE BACKS)(2021) 他
  • 主な受賞歴
  • 文部科学大臣表彰科学技術賞(文部科学省)(2022年4月)
  • 日本計算工学会フェロー認定(2021年11月)
  • 日本工学会フェロー認定(2019年6月)
  • 第25回業績賞(日本機械学会バイオエンジニアリング部門賞)(2017年1月)
  • 8月1日 10:40~

清水 博
日本生命保険相互会社 代表取締役社長 社長執行役員

  • 講義テーマ
無限の可能性をつかみ取る

皆さんの未来には無限の可能性が広がっています。それらをたぐり寄せ、つかみ取って欲しいと思います。
研究者になることをぼんやりと夢見ていた田舎のガリ勉は、大学院入試に不合格となり、考えもしなかった生命保険会社への就職を選び、努力を続けた結果、社長になりました。
夢をたぐり寄せつかみ取ることができなかった現在62歳の私が、中学生の頃の14歳の自分に向けて、未来を開くためのアドバイスをします。
皆さんにも参考になれば嬉しいと願いつつ。

  • 略歴

1961年徳島県鳴門市生まれ。
京都大学 理学部卒業後、日本生命保険相互会社へ入社。
保険数理人(アクチュアリー)の資格を有する。入社以来、企画・主計・商品開発部門などでキャリアを形成。
また、30代前半に九州大学経済学部の客員助教授を3年間、40代前半にロンドンへの留学を1年半経験するなど、多岐にわたるキャリアを経験。

その後、法人営業部門では、日本を代表する大企業のお客さまに対し、ニーズに応じたきめ細やかなコンサルティングを自ら率先して実践し、お客さまである企業と従業員の団体保険・団体年金の受託拡大に邁進。
資産運用部門では、60兆円を超える資産を運用する指揮官として、長期安定的に収益を生む堅牢なポートフォリオの構築を牽引。 2018年4月より同社 代表取締役社長へ就任。

  • 8月2日 8:50~

津田 雄一 
JAXA はやぶさ2プロジェクトマネージャ

  • 講義テーマ
「はやぶさ2」と太陽系探査

日本の小惑星探査機「はやぶさ2」は,6年間,52億キロメートルの宇宙飛行の末,昨年12月に無事地球に帰ってきました.訪れたのは人類未踏の小惑星リュウグウ.そこで4基のロボットによる地表面探査,2度の着陸/サンプル採取,人工クレーター生成など,数々の成果を挙げました.帰還カプセルの中には,リュウグウのサンプルが5.4gも入っていました.険しく難しいリュウグウの探査を完ぺきにこなしたはやぶさ2の宇宙の旅を振り返りながら,太陽系探査の意義,面白さ,難しさについて紹介します.

  • 現職

宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙科学研究所 教授
はやぶさ2プロジェクト プロジェクトマネージャ

  • 略歴

1975年広島県生まれ.
1994年桐朋高校卒.
1998年東京大学 工学部 航空宇宙工学科卒.
2001年東京大学 大学院 工学系研究科 航空宇宙工学専攻 修士課程修了.
2003年東京大学 大学院工学系研究科 航空宇宙工学専攻 博士課程修了.
2003年JAXA宇宙科学研究所助教,2015年同准教授,2020年同教授.
2008-9年 ミシガン大学およびコロラド大学ボルダー校 客員研究員.
2009年 小型ソーラー電力セイル実証機イカロス サブチームリーダー.
2011年 はやぶさ2プロジェクトチーム プロジェクトエンジニア.
2015年 はやぶさ2プロジェクト プロジェクトマネージャ.

  • 研究業績

「M-Vロケット」の開発,小惑星探査機「はやぶさ」の運用に従事.また,ソーラーセイル宇宙船「イカロス」のサブチームリーダーとして,世界初のソーラーセイル技術の実現へと導いた.小惑星探査機「はやぶさ2」の開発にあたっては,プロジェクトエンジニアとして技術開発を指揮.2015年より「はやぶさ2」のプロジェクトマネージャ.専門分野は宇宙航行力学、宇宙機システム、太陽系探査.

  • 受賞歴・著書等

・受賞歴

学術振興会賞,内閣総理大臣顕彰,文部科学大臣表彰,市村学術賞,IAA Laurels for team achievement award等.

・著作

「はやぶさ2 最強ミッションの真実」(NHK出版)
「はやぶさ2の宇宙大航海記」(宝島社)
「はやぶさ2のプロジェクトマネジャーはなぜ「無駄」を大切にしたのか?」(朝日新聞出版)

  • 8月2日 10:40~

杉山 将 
理化学研究所 革新知能統合研究センター長

  • 講義テーマ
人工知能研究のこれまでとこれから 

人工知能で用いられる機械学習は,コンピュータに人間のような学習・予測能力をもたせる技術です.本講義では,機械学習によってなぜ予測ができるようになるのか,その原理を解説します.そして,雑音や情報不足に対処するための最新の機械学習技術を紹介します.最後に,将来の人工知能研究が向かうべき方向について,みなさんと議論できればと思います. 

  • 現職

理化学研究所 革新知能統合研究センター センター長
東京大学 大学院新領域創成科学研究科 教授

  • 略歴

1974年大阪生まれ.2001年東京工業大学博士課程修了.同大学助手,准教授を経て,2014年より東京大学教授.2016年より理化学研究所革新知能統合研究センターのセンター長を併任.機械学習の基礎理論とアルゴリズム開発に従事. 

  • 研究業績

・非定常環境に対する機械学習技術の開発:Sugiyama, M. & Kawanabe, M. Machine Learning in Non-Stationary Environments: Introduction to Covariate Shift Adaptation, MIT Press, 2012. 
・密度比推定に基づく汎用的なデータ解析技術の開発:Sugiyama, M., Suzuki, T., & Kanamori, T. Density Ratio Estimation in Machine Learning, Cambridge University Press, 2012. 
・統計的強化学習技術の開発:Sugiyama, M. Statistical Reinforcement Learning: Modern Machine Learning Approaches, Chapman and Hall/CRC, 2015. 
・弱教師付き学習技術の開発:Sugiyama, M., Bao, H., Ishida, T., Lu, N., Sakai, T., & Niu, G. Machine Learning from Weak Supervision: An Empirical Risk Minimization Approach, MIT Press, 2022. 

  • 受賞歴・著書等

・2007年IBMファカルティ賞
・2014年科学技術分野の文部科学大臣表彰 若手科学者賞 
・2017年日本学士院学術奨励賞 
・2017年日本学術振興会賞
 ・2019年Google AI for JapanグーグルAI重点研究賞 
・2022年科学技術分野の文部科学大臣表彰 科学技術賞 
・2022年FIT船井業績賞 

著書:
・杉山 将.統計的機械学習:生成モデルに基づくパターン認識,オーム社, 2009. 
・杉山 将.イラストで学ぶ機械学習:最小二乗法による識別モデル学習を中心に,講談社, 2013. 
・井手 剛, 杉山 将.異常検知と変化検知,講談社, 2015. 
・杉山 将.機械学習のための確率と統計,講談社, 2015. 

  • 8月3日 9:40~

鈴木 寛
創造性の育成塾 塾長代理・東京大学/慶応義塾大学 教授

  • 講義テーマ
SDGs・VUCA・AI 時代を生きる君たちへ 

今、世の中は 250 年ぶりの大変革を迎えつつあります。例えば、AI(人 工知能)の台頭により、現在ある多くの仕事が近い将来には無くなって しまうと予測されています。また、これまでの社会で通じてきた様々な 「常識」が通用しないような想定外の危機(災害やパンデミック)が次々 と我々に襲いかかって来ています。このような時代を生き抜くためには どのような能力が必要なのか。「SDGs」や「VUCA」など、これからの時代 を理解するための必須のキーワードとともに、この問いを皆さんと一緒 に考えていきたいと思います。

  • 現職

東京大学公共政策大学院教授、慶應義塾大学政策メディア研究科教授、
社会創発塾塾長、日本サッカー協会参与、OECD 教育政策アドバイザー

  • 略歴

1982年3月 灘高等学校卒業
1986年3月 東京大学法学部卒業
1986年4月 通商産業省入省(~1999年3月)
1999年4月 慶應義塾大学環境情報学部助教授(~2001年3月)
2001年7月 参議院議員(〜2013年7月)
2003年11月 参議院文教科学委員会理事(~2007年、2009年1月~2009年7月、2011年10
月~2013年)
2004年8月 裁判官訴追委員(~2005年10月)
2007年9月 参議院政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会委員長(~2008年12
月)
2009年9月 文部科学副大臣(二期)(~2011年9月)
2014年2月 慶應義塾大学政策・メディア研究科教授(~現在)
2014年2月 東京大学公共政策大学院教授(~現在)
2014年10月 文部科学省参与(~2015年2月)
2015年2月 文部科学大臣補佐官(四期)(~2018年10月)

  • 研究業績

政策形成過程、政策デザイン、教育政策、医療政策、情報政策、NPO マネジメ ント、社会起業、情報社会、知価社会、ネットワークコミュニティ、医療・教育などのソーシャルヒューマンサービスの公共政策、科学・社会・イノベーシ ョン、情報教育などを 1997 年以来、ほぼ継続して教鞭をとり続ける。とりわけ、 「情報社会におけるソーシャル・イノベーション、ソーシャル・プロデュース」 をテーマに、通産省時代の 1995 年に自主ゼミを設立。中央大学総合政策学部、 慶應義塾 SFC、東大駒場キャンパスで続けてきた、いわゆる「すずかんゼミ」 の卒業生はじめ教え子は 1000 名を超え、IT ベンチャー、社会起業家、NPO 活動 家、官僚、メディア、教育、医療、産業界などで活躍中。例えば、被災地復興 ボランティア(人づくり、まちづくり)に関わる有力な活動をしている人材の 多くが、ゼミ出身者かゼミと強い関係をもっている。

  • 著書等

『先生復活―にっぽんの「先生」を再生する 』(2007 年 ヒトメディア)
『「熟議」で日本の教育を変える』(2010 年 小学館)、 『テレビが政治をダメにした』(2013 年 双葉新書)
『熟議のススメ』 (2013 年 講談社)
『ドラえもん社会ワールド 政治のしくみ』(2015 年 小学館) 他多数

  • 8月3日 10:40~