8月5日 2時限目
「炭素繊維にかける夢」
榊原 定征 東レ株式会社 代表取締役社長
"Innovation by Chemistry"をスローガンに掲げる、東レ株式会社の代表取締役社長である榊原定征先生。
最初に東レに関する紹介ビデオを見た後、ご自身の幼少時代について話し始められました。
うなぎや鳥を捕まえるのが得意だったというほど、自然に囲まれて幼少時代を過ごした榊原先生は、高校時代に自らの人生を決める雑誌の記事に出会います。
それは、「夢の新材料 将来は飛行機の材料に!」という、アルミより軽く、鉄より強い炭素繊維発明の記事でした。
将来はアルミに代わって飛行機の材料になるかもしれないというその記事に、「自分も技術者になって、炭素繊維でできた飛行機を飛ばしたい」という夢を持ったそうです。
大学時代は工学部で化学を専攻し、繊維会社である東レで、炭素繊維の研究に没頭。
アクリル繊維を蒸し焼きにしてできる炭素繊維は、分子をナノレベルで整列させることで、鉄の4分の1の比重で、10倍の強さを実現しました。
この日は、その炭素繊維でできた釣り竿やゴルフシャフトなどを持参。
実際に手にした塾生は、その軽さに驚いていました。
飛行機を作るという夢に、少しずつ近づいていった榊原先生。
極限の安全性が求められる飛行機に対応するために、度重なる改善が続きました。
最初は機体の一部に採用。
それから30年近くをかけ、やっと飛行機の全構造材に採用され、現在では機体のほぼ半分が炭素繊維で作られるに至りました。
往来の機体に比べ、20%の軽量化、20%の燃料節減を実現した"オール炭素繊維航空機"。
高校のときに持った夢を、40年以上かけて実現しました。
「夢を持ち続けることが何よりも大切」と語る榊原先生。
先生の次の夢は、炭素繊維で自動車の軽量化を図ることです。
この日教室に運びこまれた自動車のフードは、塾生が片手で持ち上げられるほどの軽さ。
「安全の面からも、ぜひ採用してもらいたい」という榊原先生は、車のほかにも風力発電や燃料電池、人工衛星など身の回りの暮らしを快適にするためのたくさんの炭素繊維の使用用途を紹介し、まさに「炭素繊維にかける夢」を熱く語りました。
(事務局・伊奈)
榊原 定征 先生 プロフィール
日本経団連副会長。総合科学技術会議議員。
ストリーミング動画
動画の公開は終了しました。
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授業で使われた資料
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