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7月28日 1時限目

渡部 潤一 国立天文台 副台長
「宇宙生命は存在するか?ー天文学からのアプローチー



創造性の育成塾第11回夏合宿の最初の講義。
緊張する塾生の様子を見て、 「まだはじめだから、緊張しているかな、食事のあとだからリラックスして聴いてください」と渡部先生は教室の雰囲気を和らげて、お話をはじめました。



暗黒エネルギー、暗黒物質を例に挙げ、「宇宙はまだまだ謎に満ちている」ことを強調する先生。
宇宙に生命は存在するのか、という究極の問いにも、天文学からのアプローチがかけられようとしているといいます。

生命の材料はどこで生まれたのか?
地球のような水の惑星はあるか?
水があれば、生命は必ず発生するか?
生命は進化して、必ず文明を持つのか?
先生のお話は順々に宇宙生命へと迫っていきます。


「第2の地球候補はこの銀河系に一億個もある」と先生は言います。銀河系の広さを実感してもらおうと先生が紹介したのは、宇宙の構造をシミュレートできるソフト「Mitaka」です。一千億もの星が集まって銀河系をつくっている様子を見て塾生たちは息を呑みます。
しかしながら、これだけ地球候補があると考えられていても、地球外生命の探査は難しいそうです。惑星の大気に含まれる酸素を検出しようとしても、それは富士山の山頂の100ワットの電球を飛び回るショウジョウバエの羽の色を見るようなもので、現在の望遠鏡では能力が足りないのです。

それを克服しようと、巨大で高性能な望遠鏡の建設が計画されていて、「みなさんが大学生や大学院生になる頃には、宇宙生命の証拠が見つかるかもしれない」と先生は語ります。塾生は大型望遠鏡への期待に胸を膨らませたようでした。
「宇宙にはまだまだ多くの謎が残されていますが、夜に空を見上げればいつでも宇宙を眺めることができます。この講義をきっかけに星を眺めることを少しでも楽しんでほしい」。
先生はそう講義を締めくくりました。宇宙に思いを馳せる面白さを塾生たちも実感できた様子でした。

(1期生:佐々木 駿)

 


 

※授業の動画の公開は終了しました。

 


現職

自然科学研究機構 国立天文台副台長、教授
総合研究大学院大学:数物科学研究科天文科学専攻 教授、理学博士。

略歴

1960年 福島県会津若松市生まれ。福島県立会津高等学校卒。東京大学理学部天文学科卒。
1987年 東京大学東京天文台助手、国立天文台・光学赤外線天文学研究系・助手、同広報普及室長、
天文情報センター長、教授を経て、2012年より現職。
太陽系の中の小さな天体(彗星、小惑星、流星など)の観測的研究。特に彗星・流星を中心に太陽系構造の進化に迫る。国際天文学連合では、惑星定義委員として案の策定に従事し、準惑星という新しいカテゴリーを誕生させた。一方で、天文学の広報普及活動に尽力している。


著書

「太陽系の果てを探る」(東京大学出版、布施哲治氏と共著、2004)
「新しい太陽系」(新潮社新潮新書、2007年)
「ガリレオがひらいた宇宙のとびら」(旬報社、2008年)
「星空からはじまる天文学入門」(化学同人、2009年)
「天体写真でひもとく 宇宙のふしぎ」(ソフトバンククリエィティブ・サイエンスアイ新書、2009年)
「天文・宇宙の科学 恒星・銀河系内」、「天文・宇宙の科学 宇宙・銀河系外」
「天文・宇宙の科学 太陽系・惑星科学」、「天文・宇宙の科学 天体観測入門」(大日本図書、2012年)
「面白いほど宇宙がわかる15の言の葉」(小学館101新書、2012年)
「大彗星、現る」 (吉田誠一、渡部潤一共著、KKベストセラーズ)
「巨大彗星-アイソン彗星がやってくる」(渡部潤一、誠文堂新光社、2013年)

受賞歴

1997年 日経サイエンス25周年記念論文賞最優秀賞受賞

2008年 平成20年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 科学技術賞(理解増進部門)
    「新しい惑星定義の理解増進ならびに普及啓発」


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