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7月29日 1時限目

有馬 朗人 塾長(元 東京大学総長・元 文部大臣)
「開塾式」


冒頭、天津外国语大学附属外国语学校の赵先生から、有馬先生に記念品が贈られました。赵先生は、「偉大な有馬先生にお会いできてうれしい。今回の塾で学生たちは、かけがえのない経験をすると思います」とあいさつされました。


開塾式は、有馬塾長の「皆さんに創造力を育ててほしい」との一言から始まりました。
数十年前までは「東洋人の科学技術力は西洋人よりも劣っている」と言われることもありましたが、有馬先生は、「そんなことは決してない、東洋と西洋の考え方の違いを活かしていこう」と、塾生たちに語り掛け、本題の対称性に関する話に入ります。


自然界には、虫や結晶の形など様々な対称性が見られます。人工物である絵画や建築物などにも対称的なものが多く、特に西洋では、絵画や建築物、庭園など、古代から現代に至るまで対称的なものが好まれてきました。紫禁城に代表される中国の建造物も対称的な構造をしていますが、一方で中国の絵画や庭園に対称性はあまり見られません。
さらに、法隆寺をはじめ日本の多くの建築物は非対称的な構造をしており、また日本画や日本庭園も非対称的な構図となっています。「庭石を対称的に配置してはどうかと提案したら怒られた」という先生の学生時代のエピソードは、塾生の笑いを誘いました。こうした対称性に対する文化の違いは、西洋では木々が対称的な形をしていますが、アジアは風が強く樹木が非対称的な形であるなど、風土に由来すると考えられています。



さて、自然科学における対称性はどうでしょうか。
多くの物理現象では、併進対称性や回転対称性など、対称性が保たれます。運動量保存則やエネルギー保存則が成り立つのもこうした対称性のおかげです。

しかし、ベータ崩壊という現象では、パリティと呼ばれる量の対称性が保存されないことが実験により明らかになりました。西洋の研究者は実験の誤りを疑いましたが、中国の科学者が対称性は破れ得ることを予言し、それを実証しました。また、南部先生による自発的対称性の破れの発見や、益川先生・小林先生による物質と反物質が対称的に存在していない理由の解明など、日本人は物理学における非対称性において大きな成果をあげています。
こうした背景には、西洋では対称性が尊ばれるが、中国では対称性は破れても良いと考えられ、日本ではむしろ対称性は破れるのが普通だと考えられるという、文化的な考え方の違いが自然科学の研究にも影響しているのではないか、と先生は言います。



最後に、「基礎的なことを広くきちんと学べ」「常に好奇心を持ち、自分の好きなことに向かって進め」「心身ともに健全であれ」と塾生たちにメッセージを送り、開塾式を終えました。


(4期生:高倉 隼人)

 


 


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